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日曜日の習い事、月曜日の放課後の習い事

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日曜日
 まずは乗馬がそこそこできるので、だだをこねて鷹狩りへ父と兄たちについていって参加した。
 これなら普通の令嬢なら絶対に参加しない。


許婚がいる。



「あれ?!」

「クラリベルもハミルトン侯爵様の娘だね、一緒に狩りが出来て嬉しいよ」

ニコニコと笑うエリオットと父兄たち。

 しまった逆に貴族の男性が好むのだから許婚がいても不思議ではなかった。これでは許婚と接点ができてしまう。

調査不足だった。

 もう一度だだをこねて辞めるべきだったのだが正直ハマった。

 弓の手入れから自分だけの矢尻作り、木の目印決めやテントへの拘りなど楽しすぎて許婚ともかなり会話がはずんでいる。学園内ではあまりしゃべらない無口な令息たちも無邪気な一面が見られて気さくに話せるので友人も増えたと思う。

弱点?も見つけたかもしれない。

 エリオットはあまり狩りが得意ではないらしく、私に狩りについての伝統や、愚痴混じりの教鞭を語る人に矢をかけては謝罪していた。

 私には害がないけれど、私に近づいてくる人に必ずギリギリ近くまで矢が打ち込まれるので、彼が怖いと感じていたのは秘密だ。
 皆んな笑って許しているんだから、鷹狩りではよくあることなんだろう。
 兄たちなんか笑い転げて「よくやった!」とエリオットを褒めている。
 なるほど、危険で野蛮だから令嬢には人気のない習い事なわけだわ。

 もし婚約破棄されると知っていなければ、エリオットのうっかりな腕前が可愛いと思えたかもしれない。



 余談だが、他の攻略対象である女ったらしな伯爵子息は1日何回もエリオットに射掛けられても笑って許していたから印象が変わった。
 女ったらし役の彼が参加してる時点で辞めるつもりでいたし、何回も手を握られて口説かれた時は破廉恥すぎてひいた。これがゲーム内ではイケメンスチル!となっていた前世の自分の美意識を疑ったけど、実は凄い懐の深い人なのかもしれないと思い直した。画面越しではわからなかった。
なるほど攻略対象なだけあると感心したけれど、許婚のかっ開かれた目からの視線が気になって賛辞を口に出せなかった。何回も手を握られたことを笑って許すだけにしよう。



結局、兄たちにも押されて習い事が一つ決まってしまった。

 狩りの腕を磨いておけば、最悪一人で逃げた時に獲物が獲れればご飯にありつけるだろうし売り物にもなる。デメリットはない。令息たちとの縁も増えるなら学園での情報ももらえるし、将来コネに使えそうだ。令嬢である私が参加することが珍しいらしく、優しく対応してもらえている。

問題が起きる前にこのまま交流を深めていくつもりだ。











月曜日

 ウキウキしながら学校へ登校する。
 今日は一年間の講義を決める日だった。
 友人たちと話し合いながら、前世の知識を活かして講義はエリオットとヒロインがいない講義を選んだ。
 かなり快適な学園生活のスタートをきれた。


放課後は家と正反対の貧民街へ向かう。
 日曜日とは別方向にいこうと、慈善事業で子どもたちに読み書きを教えるボランティア講師に参加することにしたのだ。
 人の前に立つことが学べるが、かなり不人気な習い事である。これなら知り合いもいないし、新しい人材が見つかるかもと浮き足立ってボランティア講師の輪に入った。




許婚がいる。


「なぜ?!」
「クラリベルもこの国の未来を考えてくれるんだね、嬉しいな。一緒に国を支える下地作りを頑張ろうね!」

眩しい笑顔の許婚の家が、そういえば慈善事業に力を入れていて

【子どもから国を作っていく】

が方針だと思い出した。
 記憶が戻ったあたりから、彼の家の方針には関わらないようにしていたから忘れていた。
 子どもたちの無邪気な笑顔に負けて、週に一回は講師をすることになった。
 自分でも忘れていた計算式や許婚の苦手分野がわかって、互いの苦手を補う勉強会の約束まで決まった。更に距離が近づいてないだろうか。気のせいだろうか。



まだ7日ある週の内に2日、休みと放課後の予定が決まっただけだと、自身を奮い立たせる。1日はクラブ活動で安全な1日を確保している。

後4日、3日分の放課後と1日の休日を許婚と接点のないものにすればいいのだ。
大丈夫、きっと大丈夫!
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