魔王でした。自分を殺した勇者な婚約者などお断りです。

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最終話

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 リヨネッタ16歳 最終話
 
 夏休みの間にほんの少しだけ関係が変わったリヨネッタとスティーブ。
 今は密かにリヨネッタも結婚を待ちわびていた。

 あれからお互いをお互いが意識し過ぎて相手に集中し、夏休みがあけても二人で光の棟に引きこもってしまいダヴィデが迎えにくると言った事件もあったが、無事にはまたいつものような関係に落ち着いた。


 それからもう一つ事件があった。 
 リヨネッタがはっきりと幸せを感じるようになった同時刻、実はダヴィデの呪いがとけていたのだ。
 彼は、伝説の勇者一行の1人、絵画の中の僧侶びじんそっくりになっていたのだ。家系としても僧侶そっくりになっても不思議ではなかったのだが、宰相と宰相夫人を綺麗に足して割ったその姿は女性にも見まごう美しい男児になっていた。

 彼は光の棟にひきこもる二人に会いに来て、それはそれは驚かせたのだった。

「面会に来ましたよ、新婚生活中すみませんね。ご両人。」
「連れないことを言うな友、よ…?え、フローグではない!?」
「呪いがとけたんだな、ヴィー。良かった!!」

 1人は冷やかしをかねた報告に、一人は悲鳴をあげ、一人は純粋に喜んだ。
 三者三様に反応をして、彼らは仲良くその後もお茶を楽しんだ。

(初めて会った時にフローグという確信が無かったのは、ダヴィデはフローグの生まれ変わりではなかったからか。まぁ、よい。ダヴィデもまた妾の大事な友人だからな。何も変わらぬ。)

 内心がっかりしながらもリヨネッタは納得をしていた。彼女のそばに緑紫色のカエル顔スライムが増えていることに気が付くのは、もう少し後だった。



 色々あった夏休みがあけて王子と令嬢は仲良く喧嘩?をしていた。

「これだから勇者は乙女心がわかっておらぬ。焼きヘビを食らうのは妾のたしなみだぇ。」
「ふん、生意気なこと言うのはこの口か?」

 ボリボリと食べている彼女のヘビの炭火焼きを反対からかじり、ポッキーゲームのようにして彼は顔を近づけていく。
 口が重なって数秒で、リヨネッタの悲鳴があがった。

「ぎゃー!妾の食料!!」
「ざまぁみろ、魔王め。」

 ダヴィデと護衛達はとめようとしていたが、突然のことに凝視してしまった。

「あれ?喧嘩してたのでは…どうしてこうなりました?」
「どういうことです?いまのキスの流れでしたか??」
「お二人の距離が何かおかしくないですか??」

 最初はめちゃくちゃ口喧嘩してるように見えたのに、仲良くゲテモノを一緒に食べて喧嘩を口喧嘩を再開した二人。しかも、またキスが始まった。

「いま王子がリヨネッタ嬢の顔をつかんで手を出そうとしているようにみえて…??」
「止めようしたのですが、キスをし始めて、あれ、ある意味手を出してますが…??」
「仲が良くないとキスしませんよね?んん?」

 混乱する護衛達に、ちょっと悟った顔のダヴィデが口を開いた。

「つまりずっと僕らは、不仲な喧嘩に見せかけた痴話げんかに巻き込まれてました?もしや…」
「…あぁ、王子良かったですねぇ!!」
「ヤモリをリヨネッタ様の口に入れているのをみた10年前は肝も冷えましたが、仲良くヘビを食べる中になって…!!」
「リヨネッタ様といつか殺し合うんじゃないかと心配しておりましたが、ここにきて痴話げんか!!本当によかった!!」

 もうわずかで結婚する二人は、五歳のときから振り回し、心配をかけてきた護衛達をやっと安心させたのである。


 リヨネッタとスティーブは無事に16歳になって学園を卒業した。
 卒業までにも二人の間には沢山のすれ違いもあったが、無事に2人は盛大な結婚式をあげた。


 後に、リヨネッタが「勇者の国」だった国の名前を変えたり、貧しい国を救ってそのまま国土を広げたりと、色んな改革を国で起こすことになる。
 また二人の子供のことで過保護になったリヨネッタと、将来を心配して勉強うるさい親になるスティーブが喧嘩をする日々がくるが、それもまた幸せになるお話。


 かつて自分を殺した勇者を愛し、世界を愛することになった彼女は、後世で世界の偉大な人物として名が残った。

 皆がリヨネッタを知らぬものはいなくなり、 人々の記憶に残る形で彼女は世界掌握をしたのだった。

 【完】


 ここまで読んで下さりありがとうございました。



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