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1章 少年期

魔女との出会い2

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「使者? 何のことだ? それにこの森で暮らしているだと?」

 俺は使者と言われたことに内心焦りながらもステータスを確認した。

 デイス=アイデン
 lv130
 ランクS
 称号 『孤高の魔女』

 HP     3500
 MP   13000
 筋力   2000
 体力   1900
 敏捷力   730
 魔力    12000
 魔法防御  10300
 知力   7600
 運   70

 スキル  『火魔法Ⅹ』『水魔法Ⅹ』『光魔法Ⅹ』『闇魔法Ⅹ』『空間魔法Ⅷ』『無詠唱』『MP上昇Ⅹ』『魔力上昇Ⅹ』『魔力操作Ⅹ』『魔物調教Ⅹ』『錬成Ⅹ』

 ユニークスキル 『魔眼』『魔女の極み』『念話』

『孤高の魔女』
 ・魔法系のステータス上昇
 ・不老になる

『魔眼』
 ・スキルを使って相手のステータスを確認できる。(称号、スキルも確認可能)

『魔女の極み』
 ・任意の魔法スキルをレベルⅩで3つ習得可能

『念話』
 ・任意の相手と念話できる。(上限は5人)

「うむ、私はこの森で暮らしている魔女だ。でまぁ、最近この森で私が大切に育てていたオーク達が先ほど一瞬で氷漬けにされたのでな。様子を見に来たら使者が居たということだ」

「あの、クリシュ様? 使者というのは何ですか?」

「ん? 小僧はその子に使者ということを伝えてないのか?」

 魔眼も持ってるし、言い逃れはできないか? いや俺1人なら無理だが、アリスと一緒なら逃げるくらいはできるか?

「いや、あいつが言ってることは俺にもよく分からないよ。とりあえず転移で逃げよう。無理だったら戦おう」

「ちょっと待ちな! 小僧が小娘に使者ってことを伝えていないとは思わなかったんだ。それについて怒ってるなら謝る。けどな、使者について知ってる人間がここにいるんだ。事情を聞きたいとは思わないのか?  それと、使者について知ってる人間は信頼できるやつなら多い方が良いと思うぞ?」

 確かにデイスが使者のことを知ってるのは気になるし、アリスにも伝えなきゃならない日は来るだろうから潮時かな。

「はぁ、分かったよ。けど、小僧とか小娘はやめろ。名前で呼んでくれ」

「いいだろう、戦いたいわけじゃないしな。今日は挨拶だけのつもりだったが、とりあえず転移するからついてきな」

「ちょっと待て、とりあえず、ここにいるオーク達は回収させてもらうぞ? アリスがオークキング食いたいって言ってたからな」

「あぁ、メニュースキルってやつか。便利だなそれ」

「便利だぞ、習得できるように頑張ってみれば?」

「使者特有のスキルだろう? 私には無理だな。さて、そろそろ転移するぞ」

 ーー

 俺たちが転移したのは洞窟の前だった。

 カモフラージュも何もなくて岩肌にぽつんと穴が開いている。

「ここに住んでいるのか? こんなに分かりやすい洞窟だったら誰か入ってきちゃうんじゃないか?」

「そんなことは今までないな。そもそもここは周りにとんでもない化け物達が闊歩してるんだ。人がたまたま来るってこともないし、あったとしても門番がいるから入って来るような奴はいない」

 確かに周囲には3体ほど化け物がいるな。

「ほら、さっさと中に入るぞ」

 俺たちは魔女に促されて洞窟に足を踏み入れた。
 洞窟の中は思ったよりも広くて、壁や床には木が敷き詰められ、魔法道具を使っているのか明るかった。

「空間魔法を使って作ったんだ。中々良いところだろう?」

「確かにすごいですね。部屋の中みたいです」

「あぁ、居心地もいいしな」

「お褒めの言葉ありがとう。まぁそこらへんに座ってくれ。2人とも紅茶でいいか?」

「俺は砂糖多めで頼む」

「私はできればアイスで」

 デイスは俺たちの注文通りの紅茶を持ってきてくれ、一口飲んでから口を開いた。

「さてクリシュ、君はリリー様の使者ってことでいいのか?」

「そうだ。でもまずはアリスに使者についての説明をしたい。話はそれからでいいか?」

「そこから説明しないと話についていけないだろうからな」

 俺はアリスに使者について
 ・異世界から来たこと
 ・願いとしてリリーと結婚を考えていること
 以外の全てのことを教えた。

「クリシュ様は英雄様ではなく神の使者様だったのですね! やっぱりクリシュ様はすごいです!」

「まぁこの世界で神の使者って周りに言うと色々問題がありそうだったからアリスには言ってなかったんだ。ごめんな。信頼してないわけじゃないってことは信じて欲しい」

「もちろんです! 私も周りには絶対に言わないので安心して下さいね!」

「ありがとう。使者ってことは2人だけの秘密な?」

「はい!! 2人だけの秘密……ロマンチックです……」

「いや、私も知ってるから2人だけではないんだが……そんなに睨まないでくれアリス。悪かったって」

 ーーアリスがすんごい顔で睨んでいた。

「まぁいいです。でもクリシュ様はリリー様の使者様なんですよね? リリー様は魔神だから魔法がすごいっていうのは分かるんですけど、クリシュ様は剣もすごいですよね?」

「私もそれを知りたかったんだ。なぜ魔神の加護だけでなく剣神の加護もあるんだ?」

「俺にもよく分からないんだ。ただ前世ではよくこのってのを使ってたから、偶然ついちゃったんじゃないか?」

「ふむ、刀ね……。いや、待てよ? クリシュ。お前マルコやルカって名前に聞き覚えはあるか?」

「マルコ? ルカ? んーーないかな」

「そうか……なら私もそこは分からないな」

「で、その名前はどっから来たんだ?」

「ん? お前知らないのか? 転生者だろ? そいつらはこの大陸にある国を作った王だぞ?」

「えーーっと、俺は前世じゃ修行に明け暮れてたから知らなかったんだろうな」

 嘘は言ってないぞ。
 知らないのは地球で育ったからなんて言えないしな。
 異世界から来たなんて言えば余計に混乱を招くだろうし、いつかは言ったとしても今は目の前のやつをそこまで信頼してない。

「ふーーん、まぁいいか。さて、そろそろ私の話でもしようかね」

「そうだな、聞かせてくれ。お前が使者についてなぜそこまで詳しいのか」

「使者って言葉は私も知りませんでしたし、あなたも使者なんですか?」


「いんや、私は使者じゃない。使者は全員転生者だからみんなクリシュと同じくらいの年齢だろうな。私が使者って言葉を知ってる理由はな、私が初代の使者とパーティを組んでたからだよ。今のアリスと同じようにな」
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