上 下
6 / 6

失敗とは一瞬の油断が原因である

しおりを挟む
 水の音がする。
 とぷとぷこぼれて、地面を叩く水音がする。

 それは、つまり、自分以外の誰かがもらしたということではないか。
 湊の処理能力の下がった頭はそう判断をくだした。

 おもらしした。条件達成。外に出れる。おしっこできる。もう、すぐに!

 そう結論付けた瞬間、僅かに気が緩み、じょ…じょわ……と大きめのおちびりをしてしまった。

「……っふぅ……んんんんっ…………」

 なんとか途中で止めたものの、溢れ出したおしっこはスカートの下に着込んだジャージまでもを湿らせた。

 でもとめられたからまだもらしてない。

 周囲の会話に気を配る余裕などなかった溶けた頭の湊はそう考えた。
 じゃあ誰がもらしたんだろう。あの口うるさい眼鏡だといいな。

 顔を上げてすぐ見えたマリンは、右手で股を押さえ、左手は耳を塞ぎ、半泣きになりながら必死に耐えている。

 それならば凪沙がもらしたのだろう。あれだけ人をコケにしてくれたのだ。こっちだって嘲笑わらってやらなきゃ気が済まない。

 凪沙の足元には水溜りがあった。少し位置がズレていることに首を捻ったけれど、動いたのだろうか。
 そして、凪沙の手には空のペットボトル。

 ……ペットボトル?

 よく見たら小刻みに震える凪沙の足は濡れていない。タイツなら内股を伝うはずなのに、乾いたままだ。

「え……?」

 頭が真っ白になる。
 視界に映る凪沙が勝利の笑みを浮かべている気がした。

「うそ……やだ……っひぃ……」

 受け入れたくない現実に、括約筋が緩む。
 しゅい…しゅいいと漏れだしたおしっこは、もう止められなかった。

「あっ……あ……あああ…………」

 勢いを増したおしっこはジャージを濡らしながらも衰えず太ももを伝って膝伝いに地面へと注がれる。
 スカートごと押さえつけていたせいで、そこまでぐっしょり濡れてしまった。
 パンツも、ジャージも、スカートも、至る所がびしょびしょで色を変えるほど派手な被害。
 けれど水音の小さな静かな決壊だった。

 酷使したお股はじんじん痺れて力が入らない。大量に蓄えていた苦痛の元は流れ出てしまったからお腹はすっかりからっぽ。
 6時間越し、しかも1L飲んだうえでの放尿は気持ちよかった。快楽だった。
 しかしピークを過ぎてしまえば絶望でもあった。下半身を包む生温かさが気持ち悪かった。
 もう止めようと思えば止められそうだったけれど、投げやりな気分でやめてしまった。
 踵押さえの体勢のままの湊の下の水溜りは、どんどん広がっている。

 最後の1滴まで出し切ってしまったその瞬間、湊は元の部室の扉の前に放り出されていた。
 条件達成。ミッションコンプリート。
 「おもらし」したので領域から無事出られたというわけだ。
 ぐしょぐしょの下半身だけが、変態怪異の名残りだった。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

徹夜でレポート間に合わせて寝落ちしたら……

紫藤百零
大衆娯楽
トイレに間に合いませんでしたorz 徹夜で書き上げたレポートを提出し、そのまま眠りについた澪理。目覚めた時には尿意が限界ギリギリに。少しでも動けば漏らしてしまう大ピンチ! 望む場所はすぐ側なのになかなか辿り着けないジレンマ。 刻一刻と高まる尿意と戦う澪理の結末はいかに。

我慢できないっ

滴石雫
大衆娯楽
我慢できないショートなお話

聖女の仕事は聖水作りです!?

紫藤百零
大衆娯楽
聖水=聖女のおしっこ!? 聖女の唯一にして最重要な仕事、それが聖水作り。聖水の原料を摂取しては、おしっことして排出するのだ。 尿意高まる新素材に挑戦された新米聖女アリステアの運命やいかに!!

エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので

こじらせた処女
BL
 大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。  とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…

おしっこ我慢が趣味の彼女と、女子の尿意が見えるようになった僕。

赤髪命
青春
~ある日目が覚めると、なぜか周りの女子に黄色い尻尾のようなものが見えるようになっていた~ 高校一年生の小林雄太は、ある日突然女子の尿意が見えるようになった。 (特にその尿意に干渉できるわけでもないし、そんなに意味を感じないな……) そう考えていた雄太だったが、クラスのアイドル的存在の鈴木彩音が実はおしっこを我慢することが趣味だと知り……?

6年生になっても

ryo
大衆娯楽
おもらしが治らない女の子が集団生活に苦戦するお話です。

「学校でトイレは1日2回まで」という校則がある女子校の話

赤髪命
大衆娯楽
とある地方の私立女子校、御清水学園には、ある変わった校則があった。 「校内のトイレを使うには、毎朝各個人に2枚ずつ配られるコインを使用しなければならない」 そんな校則の中で生活する少女たちの、おしがまと助け合いの物語

能力実験者になったので思う存分趣味(注おもらし)に注ぎ込みたいと思います

砂糖味醂
大衆娯楽
能力実験者に抜擢された、綾川優 すごい能力ばかりだが、優が使ったのは、おもらしを見るため! うまく行くのかどうなのか...... でも、実験者になったからには、自分の欲しい能力使わせてもらいます!

処理中です...