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王女、捕まる
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ユーフィミア・カスミ・グラウカ第3王女は危機に瀕していた。
魔王の住まう城のてっぺん。
比喩ではなく、最も高いフロアにある魔王の執務室の真上には風にさらされる牢が存在する。
ユーフィミアは魔王城に踏み込んですぐにトラップにかかり、この牢に転送されてしまったのだ。
癒しの術を操るユーフィミアは勇者一行に同行していた。
彼女自身、勇者の仲間である自覚はあったし、勇者たちも彼女を対等な仲間として扱った。
だからこそ、ユーフィミアはこんな初歩的なトラップに引っかかった自分が許せなかった。
囚われのオヒメサマでしかない自身が情けなかった。
それでも、勇者の仲間としての矜持も、王族の誇りもある。決して魔王には屈しないと誓い、仲間の助けを待つのであった。
大きな鳥籠のような形をした牢の周囲、ほどよく離れた位置を見張りの魔物が飛んでいる。
もともと標高の高い土地に建てられた魔王城の最上部。漂う空気は冷えており、重り付きの足枷をつけられて満足に動けないユーフィミアは身震いした。
捕らわれてからどれくらい時間が経っただろうか。太陽の動きからして2、3時間程度か。
そうあたりをつけたユーフィミアはそっと重みを訴える己の下腹部に手を当てた。
(見張りの魔物が飛んでいるなら、幹部には辿り着いていないでしょうね。まだ半分にも到達してないかもしれないわ)
いくら孤高を体現する高貴な王女様と言えど、人間なのだから生理現象はやってくる。
経験則に則ればまだまだ余裕があるのだが、こういうものは精神状態に依存するところが大きいのだ。貴婦人の膀胱にも限界はある。
魔術師のような型の白いローブは身体をすっぽり覆っているが、あくまで戦闘用なので付与された術式は防御一辺倒。防寒具としての機能は薄い。
その上遮るもののない城のてっぺんは冷たい風が吹き遊び、少女の生白い肌を弄んでいる。
コンディションは良いとは言えない。
さらに魔王城に辿り着くまでに2時間ほどぶっ続けで戦闘を繰り広げ、侵入する前に仲間の怪我を治し、魔力回復ポーションを飲んでいる。
ユーフィミアが最後に用を足してから少なくとも4時間は経過しているのだ。
彼女はキュッと股間に力を込めて、脳裏に過ぎった最悪の事態をかき消した。
魔王の住まう城のてっぺん。
比喩ではなく、最も高いフロアにある魔王の執務室の真上には風にさらされる牢が存在する。
ユーフィミアは魔王城に踏み込んですぐにトラップにかかり、この牢に転送されてしまったのだ。
癒しの術を操るユーフィミアは勇者一行に同行していた。
彼女自身、勇者の仲間である自覚はあったし、勇者たちも彼女を対等な仲間として扱った。
だからこそ、ユーフィミアはこんな初歩的なトラップに引っかかった自分が許せなかった。
囚われのオヒメサマでしかない自身が情けなかった。
それでも、勇者の仲間としての矜持も、王族の誇りもある。決して魔王には屈しないと誓い、仲間の助けを待つのであった。
大きな鳥籠のような形をした牢の周囲、ほどよく離れた位置を見張りの魔物が飛んでいる。
もともと標高の高い土地に建てられた魔王城の最上部。漂う空気は冷えており、重り付きの足枷をつけられて満足に動けないユーフィミアは身震いした。
捕らわれてからどれくらい時間が経っただろうか。太陽の動きからして2、3時間程度か。
そうあたりをつけたユーフィミアはそっと重みを訴える己の下腹部に手を当てた。
(見張りの魔物が飛んでいるなら、幹部には辿り着いていないでしょうね。まだ半分にも到達してないかもしれないわ)
いくら孤高を体現する高貴な王女様と言えど、人間なのだから生理現象はやってくる。
経験則に則ればまだまだ余裕があるのだが、こういうものは精神状態に依存するところが大きいのだ。貴婦人の膀胱にも限界はある。
魔術師のような型の白いローブは身体をすっぽり覆っているが、あくまで戦闘用なので付与された術式は防御一辺倒。防寒具としての機能は薄い。
その上遮るもののない城のてっぺんは冷たい風が吹き遊び、少女の生白い肌を弄んでいる。
コンディションは良いとは言えない。
さらに魔王城に辿り着くまでに2時間ほどぶっ続けで戦闘を繰り広げ、侵入する前に仲間の怪我を治し、魔力回復ポーションを飲んでいる。
ユーフィミアが最後に用を足してから少なくとも4時間は経過しているのだ。
彼女はキュッと股間に力を込めて、脳裏に過ぎった最悪の事態をかき消した。
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