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側付きたる者毒味は必須!

幕間〜貴妃付き女官のひとりごと〜

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 青褪めた顔に、不自然なほど頑なな下半身。
 それから、女官長が彼女の主人宛に差し入れた物を鑑みると自ずと答えは導かれる。

ーー星羅様は、亜琉皇后が口にされる前に試したのだわ。

 悪いことをした、と鳴莉は思った。
 あの茶葉の凶悪さは身をもって知っている。
 少しでも意識を逸らすと漏れ出てしまう強烈な欲求。焼き切れそうな理性。想像するだけで鳴莉の下腹部もキュウと悲鳴をあげてしまい、慌てて思考を逸らした。
 そんななか、弱みを見せられない貴妃の侍女相手の対応をしてのけたのだ。
 我慢しているのはバレバレだったけれど、あのお茶を飲んでいたのならば話は別。初めてであの程度で済んだならば上出来である。それに免じて鳴莉は行儀良く見なかったことにしてあげた。

 先日の歓迎の宴を思いおこす。
 澪嶺の皇后は、異国から迎えられるのが慣例だ。それゆえこの国特有の長い宴に耐えられない者も、中には存在したという。

 当代の皇后は年若く、彼の国では成人していないというからどうなることかと思っていたものだが、彼女は立派に皇后をつとめてみせた。
 退出される際の歩みは小柄な体躯を加味しても非常にゆったりしていたけれど、道中に水滴を遺すこともなく会場を辞すことに成功している。
 裏に戻ってから一悶着あったことは風の噂で知っているが、表沙汰にしなかっただけで貴妃たちの間では評価に値するとみなされた。
 3代前、ピサニアから嫁いできた皇后など、儀式と宴にかけての間に2度も水溜りを作ってしまったという話をすれば、貴妃たちの不安と安堵が伝わるだろうか。

 とくに当代の帝には妃たちが表に出さないように我慢しているのを見て楽しむ悪癖がある。あまりにも耐え性がないようでは生き残れない。
 そしてそれは、妃たちにお仕えする女官にも言えることだ。日々の業務はもとより、儀式や宴ともなれば妃以上の時間不浄場トイレに行けないことも当たり前。さらに主が失敗してしまえば水音を聞きながらの処理が複数発生する。それでも平静を装い成し遂げることが求められる。
 鳴莉自身、今日は一度も不浄場トイレに行けていない。星羅はきっと気がつかなかっただろう。澪嶺の後宮は抱え込んだ秘水おしっこを悟らせない女官が大勢いる。皇后付きである以上、星羅にも求められる技能だ。

ーー亜琉様も星羅様も、きっとここで生きていける方ですわ。

 そんなことを考えながら、鳴莉は星羅の部屋を後にした。とうの昔に貯水量の折り返しを迎えた秘水おしっこも、暴れ狂う尿意も、その身の内に秘したままーー
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