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側付きたる者毒味は必須!

茶葉の威力

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 何があってもいいように、自室の環境を整える。水気に弱いものは仕舞い込み、服装も汚れても構わないものに着替えてしまった。
 例のお茶はほんの少量。あくまで毒味を言い訳に茶器の三分の一程度の量だけ作っておいた。

 おそるおそる匂いを嗅ぐと、ほのかに花のような香りが混ざっている気がした。えいと一思いに煽ってしまう。味に変わったところはなく、茶会で出てきても気づかないだろう。

 ここからは効果が出るまでじっと待つまで。
 星羅が最後に秘水を解き放ってからかれこれ1時間が経過している。通常なら、あと3、4時間は尿意に悩まされる心配はない。
 凶悪な作用を持つお茶とはいえ、量は抑えた。そんなに急激な変化はないだろうとたかを括っていたがーー甘かった。

 20分も経てば下腹部に重みを感じ、微かな尿意の兆しが出てきた。恐るべき即効性である。
 彼女たちは知る由もないことなのだが、シトーレン人の方が体質的に効果が出やすくなっていたのだ! 個人差はあるとはいえ、澪嶺人ならば訓練を始めたばかりの幼女でもここまでの効果は出ない。女官長も想定し得なかった事態だ。

 事前に聞いていた効果が効果だけに、星羅は効きすぎてるなんて気付きもしない。大量の秘水おしっこを抱え込む腹に手を添えて、気を逸らすために息を整えていた。
 そうしている間にも秘水はなみなみと注がれ続け、尿意は急激に駆け上る。
 1時間も経てば、あの宴が終わった時と同じくらいの秘水おしっこが星羅を苦しめていた。

(こんなものに、3時間も耐えるなんて……。それも、シトーレンでは子どもといえる年齢の娘が! 道理で平然としていたわけだわ……)

 効きすぎによる勘違いなのだが、それを指摘できる人は誰もいない。星羅の中では澪嶺淑女の膀胱はシトーレンの王族並みということになっていた。
 まあ、つまり、星羅が澪嶺の後宮で舐められないためにはこの試練に打ち勝たなければならないわけで。実際のところ、星羅の力は澪嶺淑女の平均には及ばない。悲しいかな、年齢で考えれば迷うことなく下位層だ。
 皇后に付けられる女官はいろんな意味でエリート。星羅の膀胱が同僚の中で最弱なのは紛れもない事実だった。

 ふぅふぅ荒い息を吐きながら、星羅は必死に荒れる秘水おしっこを鎮めようとする。目線は無意識に用意した馬桶おまるに向かい、慌てて逸らすのを繰り返していた。
 もう、なんとか決壊を免れたあの日と同じくらい辛かった。秘所を直接押さえはしないものの、盛大に擦り合わせた太腿を摩り気を紛らわす。人目があったからどうにか取り繕っていた初日よりも酷いありさまだ。

 利尿作用以外の遅効性の副作用があったらとここまで耐えてきたが、もうやめてしまってもいいのではないか。馬桶おまるに手を伸ばしたその時、来客を知らせる鐘が鳴った。
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