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幼皇后は宴で限界!
最後の最後で
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時間が過ぎるのが恐ろしく長く感じられた。水音が耳にこびりついて誘惑する。隣の陛下は憎々しいし、尿意は爆発しそうだしで、アルムの内心はぐちゃぐちゃだ。
音楽が切り替わるとともに始まった最後の演目は全く集中できなくて、ただひたすらに早く終わるのを祈っていた。
手拭いがじんわり湿ってきた。限界は刻一刻と近づいている。
「……っ」
尿意の波に小さく喉が鳴る。ああ、あと少しなのだ。がくがく震えそうになる内腿を抑え込み、アルムはじっと動かずやり過ごす。
と、ここで、ようやく最終演目が終わり、あとは皇后の言葉を残すのみとなった。これさえ終われば、陛下の次に場を辞すことが許される。
アルムはまだ完全には波の去っていないまま、微笑みの仮面を貼り付けて立ち上がった。その拍子に今日一番の量が溢れたけれど、もうあとは進む以外の選択肢はない。
「皆さまのおかげで、今宵も無事、月酔の宴を終えることができました。並びに、このような稀なる盛大な宴にしてくださったことを感謝いたします。最後になりますが、澪峯の繁栄を支えるべく、私たち妃一同陛下をお支えいたしましょう」
用意していた挨拶は、途中声が震えつつもなんとか言い切ることができた。主催の状態は予想されるものだから、略式なのが通例だ。だが、腹を圧迫する一礼は作法よりも浅くなってしまったし、その拍子にまた溢れた。手拭いは湿り気という言葉では収まらないほど水気を含んでいる。吸いきれなかったおしっこがつぅーと腿をつたう。裳の内側は水を弾く素材でできているから、外には見えていないことだけが救いか。
こうして、なんとか体裁を繕い、宴を終わらせ、あとは席を辞すだけだ。
会場内では平然とした姿を意識して(もちろん限界なのはバレバレだけれど)姿勢良くゆっくり歩いていたが、敷地を出た途端優雅も何も吹っ飛んだ。指先まで使ってしっかり秘所を塞ぎ、子どものようなへっぴり腰で、足をバタバタ、腰をふるふる、全身全霊の我慢の舞! そしてついに、主催の妃のために用意されている、最も会場に近い、防音処理の施された部屋に飛び込んだ。
扉を閉めた瞬間、少しの安心が命取り、不浄場には一歩届かず、馬桶にすら跨がれないまま、服も脱げずに大決壊、輿入れ後初めての宴後をはるかに超える、巨大な池がみるみる造られた。足をつたうまでもない勢いで床に叩きつけられ、びしゃびしゃとはしたない音が部屋中に響き渡る。
「あっ、ん…あぁー………」
言葉にならない声は、最後の最後でしくじってしまった嘆きと、長時間にわたり溜めていたおしっこを開放した恍惚が入り混じっている。
皇后の地位にあるといえど、アルムはまだ15歳の少女なのだ。
側付きに見守られるなか、全てが終わり立ちつくす彼女の瞳からは大粒の涙が際限なくぼろぼろこぼれ落ちていた。
音楽が切り替わるとともに始まった最後の演目は全く集中できなくて、ただひたすらに早く終わるのを祈っていた。
手拭いがじんわり湿ってきた。限界は刻一刻と近づいている。
「……っ」
尿意の波に小さく喉が鳴る。ああ、あと少しなのだ。がくがく震えそうになる内腿を抑え込み、アルムはじっと動かずやり過ごす。
と、ここで、ようやく最終演目が終わり、あとは皇后の言葉を残すのみとなった。これさえ終われば、陛下の次に場を辞すことが許される。
アルムはまだ完全には波の去っていないまま、微笑みの仮面を貼り付けて立ち上がった。その拍子に今日一番の量が溢れたけれど、もうあとは進む以外の選択肢はない。
「皆さまのおかげで、今宵も無事、月酔の宴を終えることができました。並びに、このような稀なる盛大な宴にしてくださったことを感謝いたします。最後になりますが、澪峯の繁栄を支えるべく、私たち妃一同陛下をお支えいたしましょう」
用意していた挨拶は、途中声が震えつつもなんとか言い切ることができた。主催の状態は予想されるものだから、略式なのが通例だ。だが、腹を圧迫する一礼は作法よりも浅くなってしまったし、その拍子にまた溢れた。手拭いは湿り気という言葉では収まらないほど水気を含んでいる。吸いきれなかったおしっこがつぅーと腿をつたう。裳の内側は水を弾く素材でできているから、外には見えていないことだけが救いか。
こうして、なんとか体裁を繕い、宴を終わらせ、あとは席を辞すだけだ。
会場内では平然とした姿を意識して(もちろん限界なのはバレバレだけれど)姿勢良くゆっくり歩いていたが、敷地を出た途端優雅も何も吹っ飛んだ。指先まで使ってしっかり秘所を塞ぎ、子どものようなへっぴり腰で、足をバタバタ、腰をふるふる、全身全霊の我慢の舞! そしてついに、主催の妃のために用意されている、最も会場に近い、防音処理の施された部屋に飛び込んだ。
扉を閉めた瞬間、少しの安心が命取り、不浄場には一歩届かず、馬桶にすら跨がれないまま、服も脱げずに大決壊、輿入れ後初めての宴後をはるかに超える、巨大な池がみるみる造られた。足をつたうまでもない勢いで床に叩きつけられ、びしゃびしゃとはしたない音が部屋中に響き渡る。
「あっ、ん…あぁー………」
言葉にならない声は、最後の最後でしくじってしまった嘆きと、長時間にわたり溜めていたおしっこを開放した恍惚が入り混じっている。
皇后の地位にあるといえど、アルムはまだ15歳の少女なのだ。
側付きに見守られるなか、全てが終わり立ちつくす彼女の瞳からは大粒の涙が際限なくぼろぼろこぼれ落ちていた。
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