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覆水盆に返らず
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這うようにベッドから抜け出して、荒い息を整えることもできないまま、澪理は小さすぎる一歩でちまちま進んでいく。腹を庇う前屈みの姿勢と痛いほどの内股のせいで、動きがぎこちない。
「……っはぁ……ぁあっ……っぅ…はぁ……」
もう視線を上げることすら辛かった。
必死に抑えつけていた尿意はとっくに限界で、じゅ……じょゎ……と吹き出し始める。隙間なく太ももを擦り付けているせいで、行き場を失ったおしっこの跡をくっきり残していた。
澪理の通ったあとには、もはやおちびりとは言いがたい小さな水溜りがぽつりぽつりとできている。
でも、まだ、括約筋は頑張っている。ひくひく痙攣して時折少しの水流を許してしまってはいるものの、膨らみきった膀胱にはまだまだたくさんおしっこが蓄えられているのだ。
完全に止められなくなっていないならまだおもらしではない。おちびり事体年頃の乙女としてはアウトなのだけれども、おもらしは抒情酌量の余地なく完全アウト。
それだけは避けたい一心で澪理は決死の我慢を続けている。
そうして、目と鼻の先のトイレの目前までたっぷり30分かけて辿り着いた。
「あ、開かないっ! なんで……あぁ、あとちょっと…ちょっとだから……うぅ……ちょっとだけ待って……はぁあん……」
家賃を抑えたせいで少し古めの澪理の借家のトイレは建て付けの悪い引戸のユニットバス。開けるのに少しコツがいるのだ。
普段ならなんてことない障害だけど、一刻を争う今は致命傷になりかねない。
扉を開けるために手を使うせいで決壊を食い止める壁も一つ減り、欲求を逃がす足踏みが止まらない。そして身体が揺れるせいで上手く扉を噛み合わせられずなかなか開けられない。焦りが尿意を高めますます身体のくねりが激しくなる。
負のスパイラルに嵌まり込み、その間にも溢れ出しだらだら内腿をつたったおしっこは水溜りを作り出した。
なんとか最悪の悪循環を断ち切り、スパンと扉を開けそのまま転がり込む。目の前には何度も夢想した待ちに待った便器ーーおしっこをしてもいいところ。
「え、あ、ダメっ!」
一瞬の気の緩み、それは緊急時には取り返しのつかない惨事を引き起こす。もう出してもいい、我慢しなくてもいいと誤認した澪理の身体は、我慢の手を緩めてしまった。
ギリギリおちびりと主張できる断続的な小決壊は、途切れない水流となり、さらに勢いを増して、もはやおもらしとしか言えない有様。ここまで来てしまうと澪理の意思なんて関係ない。出してしまうまでは止められない。
慌ててそのまま便器に座るも、よく見ていなかったせいで蓋は閉まったまま。
「あ、あぁぁ……はぁぁん…………」
それでも、もう一度立って、蓋を開けて、座り直すなんてこと、力の抜けきった澪理にはできなかった。
16時間近く抱え続けたおしっこを解放できる心地よさにただただ思考を奪われていた。あんなに阻止したかったはずなのに、限界まで我慢したあとのおしっこは例えおもらしでも気持ちいい。
澪理は敗北おもらしに羞恥することすら浮かばないまま、しばらくは身体に力が入らず放心していた。
「……っはぁ……ぁあっ……っぅ…はぁ……」
もう視線を上げることすら辛かった。
必死に抑えつけていた尿意はとっくに限界で、じゅ……じょゎ……と吹き出し始める。隙間なく太ももを擦り付けているせいで、行き場を失ったおしっこの跡をくっきり残していた。
澪理の通ったあとには、もはやおちびりとは言いがたい小さな水溜りがぽつりぽつりとできている。
でも、まだ、括約筋は頑張っている。ひくひく痙攣して時折少しの水流を許してしまってはいるものの、膨らみきった膀胱にはまだまだたくさんおしっこが蓄えられているのだ。
完全に止められなくなっていないならまだおもらしではない。おちびり事体年頃の乙女としてはアウトなのだけれども、おもらしは抒情酌量の余地なく完全アウト。
それだけは避けたい一心で澪理は決死の我慢を続けている。
そうして、目と鼻の先のトイレの目前までたっぷり30分かけて辿り着いた。
「あ、開かないっ! なんで……あぁ、あとちょっと…ちょっとだから……うぅ……ちょっとだけ待って……はぁあん……」
家賃を抑えたせいで少し古めの澪理の借家のトイレは建て付けの悪い引戸のユニットバス。開けるのに少しコツがいるのだ。
普段ならなんてことない障害だけど、一刻を争う今は致命傷になりかねない。
扉を開けるために手を使うせいで決壊を食い止める壁も一つ減り、欲求を逃がす足踏みが止まらない。そして身体が揺れるせいで上手く扉を噛み合わせられずなかなか開けられない。焦りが尿意を高めますます身体のくねりが激しくなる。
負のスパイラルに嵌まり込み、その間にも溢れ出しだらだら内腿をつたったおしっこは水溜りを作り出した。
なんとか最悪の悪循環を断ち切り、スパンと扉を開けそのまま転がり込む。目の前には何度も夢想した待ちに待った便器ーーおしっこをしてもいいところ。
「え、あ、ダメっ!」
一瞬の気の緩み、それは緊急時には取り返しのつかない惨事を引き起こす。もう出してもいい、我慢しなくてもいいと誤認した澪理の身体は、我慢の手を緩めてしまった。
ギリギリおちびりと主張できる断続的な小決壊は、途切れない水流となり、さらに勢いを増して、もはやおもらしとしか言えない有様。ここまで来てしまうと澪理の意思なんて関係ない。出してしまうまでは止められない。
慌ててそのまま便器に座るも、よく見ていなかったせいで蓋は閉まったまま。
「あ、あぁぁ……はぁぁん…………」
それでも、もう一度立って、蓋を開けて、座り直すなんてこと、力の抜けきった澪理にはできなかった。
16時間近く抱え続けたおしっこを解放できる心地よさにただただ思考を奪われていた。あんなに阻止したかったはずなのに、限界まで我慢したあとのおしっこは例えおもらしでも気持ちいい。
澪理は敗北おもらしに羞恥することすら浮かばないまま、しばらくは身体に力が入らず放心していた。
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