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冬のお別れ⑦
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「好きなようにさせて、ですか。……そうか。自分の人生なんだから、好きなようにしたらいいんだ」
「ええ! どうぞ、私のことはお気になさらず。今は、お体のご回復におつとめください。私は、公威様がお元気を取り戻すまで待ちます。それが好きなように生きることだから」
自分の言葉に照れくさくなった私は、公威さんではなく、夕陽を背に大きく伸びる公威さんの影を見ていた。
その時、私は気づいた。
あの婚礼の日、公威さんに助けてもらって屋根から飛び降りた時から、私は公威さんのことが好きだったのだ。
彼の大きな背中で、私の全身を受け止めてもらった時から、ずっと。
今、公威さんは、体だけでなく心も弱っているのだろう。
『待つ』などと言ったら、重荷を背負わせてしまうことになるのではないだろうか……。
「公威様。お体が良くなって、ご自分の道が定まったら、私のことなんて、もうどうでもよくなってるかもしれませんわね? 大丈夫! 私は好きなようにやって、勝手にお待ちしているだけだから、お忘れになってくれても構いません」
「文子さん?」
「でも、もし少しでも、私のことが気になるようでしたら、迎えに来てくださったら嬉しいな、なんて」
冗談ぽく言った。そう言わないと、恥ずかしくて。そしてつらくて。
公威さんの影が動き、私の影と重なりそうなくらい近づく。
「迎えに来ます。今すぐにでも、あなたを抱きしめたいくらい嬉しい。でも、左手は、まだ思うように力が入らないから無理です。それに、ここは人目もありますし」
茶目っ気たっぷりに言う公威さんに安心した。
今日ようやく、彼の目をまともに見ることができた瞬間だった。
「ええ! どうぞ、私のことはお気になさらず。今は、お体のご回復におつとめください。私は、公威様がお元気を取り戻すまで待ちます。それが好きなように生きることだから」
自分の言葉に照れくさくなった私は、公威さんではなく、夕陽を背に大きく伸びる公威さんの影を見ていた。
その時、私は気づいた。
あの婚礼の日、公威さんに助けてもらって屋根から飛び降りた時から、私は公威さんのことが好きだったのだ。
彼の大きな背中で、私の全身を受け止めてもらった時から、ずっと。
今、公威さんは、体だけでなく心も弱っているのだろう。
『待つ』などと言ったら、重荷を背負わせてしまうことになるのではないだろうか……。
「公威様。お体が良くなって、ご自分の道が定まったら、私のことなんて、もうどうでもよくなってるかもしれませんわね? 大丈夫! 私は好きなようにやって、勝手にお待ちしているだけだから、お忘れになってくれても構いません」
「文子さん?」
「でも、もし少しでも、私のことが気になるようでしたら、迎えに来てくださったら嬉しいな、なんて」
冗談ぽく言った。そう言わないと、恥ずかしくて。そしてつらくて。
公威さんの影が動き、私の影と重なりそうなくらい近づく。
「迎えに来ます。今すぐにでも、あなたを抱きしめたいくらい嬉しい。でも、左手は、まだ思うように力が入らないから無理です。それに、ここは人目もありますし」
茶目っ気たっぷりに言う公威さんに安心した。
今日ようやく、彼の目をまともに見ることができた瞬間だった。
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