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披露宴を終えると
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『何か、まずいことでもあるのかな』ですって?
公威さんは、どういうつもりでそんなことを言ったのだろう。
彼と目が合った。私を悪戯っぽい目で見て微笑んでいる。
昨日お会いした時も思ったが、公威さんは笑うと目尻が下がって、とても優しげになる。この方は私のお味方になってくれそうな気がした。ご自身も複雑なお生まれのようだし……。
隣に座る利晴様の顔をそっと盗み見る。横顔からは、公威さんの言葉をどう思っているかはわからない。
お食事が始まり、招待客であるご親族お一人ずつ順番にご挨拶して下さる。皆様、本当に喜んで下さっているようで、私の胸は何故だか痛くなった。
お料理とお酒も美味しいようで、和やかな雰囲気の中、披露宴は終わりの時間を迎えた。
その頃には雪は止んでいたが、庭の木々には少し雪化粧が施されていた。
お客人を廊下でお見送りして、私は母と律子にも別れの挨拶をした。
「文子さん、またね」
「お姉様、お土産のお話待ってます」
律子が勢い込んで言う。
「そうね、待っててね」
慣習に従って、新婚旅行の後は少し実家に戻らせてもらうことになっている。新婚旅行の話なぞ、律子は本当に興味あるのかしら。
「文子さん、では着替えに」
私を促す利晴様の顔は少し赤い。
招待客の皆さんからお祝いのお酒を注がれ、その全てを飲んでいたので、酔っていらっしゃるのだろう。
私は頷いて、控えの間に着替えに向かうが、気持ちは重く足取りも重い。千代が一緒に行ってくれているが、彼女も無言である。
この後、私は本当の意味で利晴様の妻になるのだ。
(神様、利晴様が酔って動けなくなりますように)
そんなことを神様にお願いしてしまう私だった。
公威さんは、どういうつもりでそんなことを言ったのだろう。
彼と目が合った。私を悪戯っぽい目で見て微笑んでいる。
昨日お会いした時も思ったが、公威さんは笑うと目尻が下がって、とても優しげになる。この方は私のお味方になってくれそうな気がした。ご自身も複雑なお生まれのようだし……。
隣に座る利晴様の顔をそっと盗み見る。横顔からは、公威さんの言葉をどう思っているかはわからない。
お食事が始まり、招待客であるご親族お一人ずつ順番にご挨拶して下さる。皆様、本当に喜んで下さっているようで、私の胸は何故だか痛くなった。
お料理とお酒も美味しいようで、和やかな雰囲気の中、披露宴は終わりの時間を迎えた。
その頃には雪は止んでいたが、庭の木々には少し雪化粧が施されていた。
お客人を廊下でお見送りして、私は母と律子にも別れの挨拶をした。
「文子さん、またね」
「お姉様、お土産のお話待ってます」
律子が勢い込んで言う。
「そうね、待っててね」
慣習に従って、新婚旅行の後は少し実家に戻らせてもらうことになっている。新婚旅行の話なぞ、律子は本当に興味あるのかしら。
「文子さん、では着替えに」
私を促す利晴様の顔は少し赤い。
招待客の皆さんからお祝いのお酒を注がれ、その全てを飲んでいたので、酔っていらっしゃるのだろう。
私は頷いて、控えの間に着替えに向かうが、気持ちは重く足取りも重い。千代が一緒に行ってくれているが、彼女も無言である。
この後、私は本当の意味で利晴様の妻になるのだ。
(神様、利晴様が酔って動けなくなりますように)
そんなことを神様にお願いしてしまう私だった。
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