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お見合い
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合原家とのお見合い場所は、かの有名な椿山荘であった。
椿山荘は、元は山縣有朋元帥の別邸として造られた建物だが、つい先頃、藤田財閥の藤田男爵様が譲り受けたばかり。お庭がとても美しいということで有名なお屋敷である。
政財界で名を成したような方でなければ、とてもじゃないけれど伺うことは叶わないような場所なのだ。それだけでも、合原様が立派な家の方だとわかる。
建物に到着した時には、心臓の音が聞こえるくらいに私の胸はどきどきしていた。
椿山荘の管理をしてらっしゃる方のご案内で、私と母は邸内に招き入れられた。
磨き上げられた広い廊下を渡って、一番奥にある和室まで行く。
そこでは既に、本家筋のおば様と、大日本帝国軍人でいらっしゃる青山様、という方がいらした。
お二人に紹介される間、私は緊張でめまいがしそうだった。
「文子さん、大きくなられたわね! ヤエさん、あなたも苦労したけれど、こんな立派なお嬢さんがいるんですもの。幸せよ、あなた」
おば様が感心したように言って下さるので、身を捩じらんばかりの恥ずかしさにおそわれる。
「本当にお美しいご令嬢だ」
青山様が感に堪えたように仰るので、私は益々身の置き所に困ってしまう。
その時、「お待たせいたしました」という、男性の低い声が部屋の外から聞こえてきた。
椿山荘は、元は山縣有朋元帥の別邸として造られた建物だが、つい先頃、藤田財閥の藤田男爵様が譲り受けたばかり。お庭がとても美しいということで有名なお屋敷である。
政財界で名を成したような方でなければ、とてもじゃないけれど伺うことは叶わないような場所なのだ。それだけでも、合原様が立派な家の方だとわかる。
建物に到着した時には、心臓の音が聞こえるくらいに私の胸はどきどきしていた。
椿山荘の管理をしてらっしゃる方のご案内で、私と母は邸内に招き入れられた。
磨き上げられた広い廊下を渡って、一番奥にある和室まで行く。
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おば様が感心したように言って下さるので、身を捩じらんばかりの恥ずかしさにおそわれる。
「本当にお美しいご令嬢だ」
青山様が感に堪えたように仰るので、私は益々身の置き所に困ってしまう。
その時、「お待たせいたしました」という、男性の低い声が部屋の外から聞こえてきた。
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