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私はまだ人間じゃない?〜術後十日目、十一日目

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 手術及びリハビリのない土曜日と日曜日。
 ドクターと看護助手の方はお休みです。
 なのに、主治医の先生は、朝八時半いつも通りの時間に病室に来てくれました。非番にも関わらず、担当患者複数名の様子を見に来ているのです。頭が下がります。

 病棟はとても静かです。
 看護師さんに伺うと、私のいる整形外科病棟は現在入院患者六十人ほど。土・日はその患者さんのお世話を、看護師さんは四人(だったと思う、三人だったかも?)で行っているそうです。大変だ。
 しかも、整形外科病棟は、お年を召した方が多いように見受けられる。

 そうそう、ほぼ毎晩のように、どこからかおじいさんの叫び声が聞こえて来てたんですよ。
 看護師さんが来てくれるまで、しばらく何か叫んでる。何を言ってるのかは聞き取れません。
 入院中、叫んでいるのはどんな人なのか、突き止めるようなことはしませんでしたが、なんかいろいろ想像しちゃったなあ。


 [5月21日]
 術後十日目は、初めて廊下の伝い歩きをする。
 夕方、シャワーを浴びたあと靴下を履くのに、またまた一苦労! しかもその際、一瞬脚を組む姿勢を取ってしまい、プチパニックを起こす。

 私のように人工股関節の人間は、再脱臼の危険があるので足を組んではいけないのです。
 ついうっかり『禁忌』とされている体勢を取ってしまう。これからしばらくは、緊張感を持って過ごさねばなりません。


 [5月22日]
 この日も、廊下の伝い歩きの練習。
 なぜか昨日より上手く出来ず。股関節の痛みがあるせい?
 術後ずっと、右脚太腿が痺れたような感じが続いていて、股関節周囲も痛い。


 手術前と変わらない痛みがあるのは何故なにゆえ
 主治医の先生も理学療法士の先生も、「筋肉痛です」と、あっさりキッパリ仰る。
 弱っている筋肉を、リハビリで鍛え直しているので筋肉痛があるらしいのですが、いや~な痛みと痺れは、私を常に不安にさせます。

 今回の入院でしみじみ思ったのは、『自分、アカンすぎるやろ!』ってことですかね。
 自分のことを強い人間とも、経験豊富な人生ゲームの達人とも思ったことはありませんが、少なくとも弱い人間と思ったことはなかったんです。

 それが、こんなにチキンでビビリのアカン奴だったとは。
 しかも、キビキビ働く医療関係者の皆さんを目の当たりにして、自分がいかに『くだらない人間』か、いや、そもそも『人間』と言えるのか? とまで思っちゃいましたよ。
 
 私はあと何年、何十年生きるのかわかりません(!)が、死ぬ時は『自分も人間社会で頑張ったよねぇ』って、納得してから逝きたい。
 死の危険のあるような手術ではなかったけど、入院して『死』というものを身近に感じてしまったことは確かです。重くてすまん。

 どうでもいいけど『チキンでビビリでアカン奴』って言い回し、リズミカルでラップに使えそうだなあ~って。
 真面目に反省したかと思ったら、すぐこういうこと考えてしまうところが、私のあかんところ!
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