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第七章 それぞれの過ごす日々

マリアの1日(12)

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 走ること30分。ようやく王都の外壁が見えてきた。

「……あっ、ベル。一応フードの中に入っててくれる?」
「ウン」

 そこからさらに門に着くまで5分ほど。

「おっ、嬢ちゃん。帰りは歩きかい?」
「うん。……あっ、この子も中に入れて良いですか?」

 ギルドカードと一緒にベルも見せた。

「……嬢ちゃん、これは……」
「ちょっと召喚契約したんだけど、この子弱いから1人にするのが心配で……。頭が良いから迷惑はかけないと思うの」
「う~ん、偶にそういう人がいるから大丈夫だが、覚えておけ。周りにその子?が迷惑をかけたら嬢ちゃんの責任だからな?」
「わかりました」

 それ以外は特に何もなく門を通過することができた。最後にあまり人目に触れさせない方が良いと、親切心から忠告されたが。

「じゃあお昼食べてからギルド行こっか?あっ、ベルって何を食べるの?」
「……キノミ、ニク」
「……何でもってことかな?」
「ソウ。イッパイ、タベル、デキル、スル、ナイ」
「んっ、わかった」

 マリアは迷いなく足を進める。向かったのは──。

「ルアンおじさん、お久しぶりです」

 ルアンの経営している宿だった。
 入り口でルアンを見つけ、にこやかに挨拶をする。

「おっ、久しぶりだな、マリア」
「前にお昼は食堂もやってるって聞いたから」
「……1人か?」
「う~ん、1人と言えば1人かな?」

 マリアは曖昧に微笑んだ。

「……どいうことだ?」
「ん~、ちょっとこの子も一緒だから」

 そう言って周りに見えないようにベルを見せた。

「……どこで拾ってきた?」
「ちょっと酷いよ。……さっき幻想の森で引っ付かれて、お昼まだだからお願いできる?」
「おう、勿論だ。その代わりに今まであったことを吐いてもらうからな」
「……わかった」

 流石のマリアも、今までやらかしたあれこれを誤魔化しきることは不可能だと判断した。それ以前に噂話が耳に入ってる可能性も高い。

「料理はこっちのお勧めで良いか?」
「うん!」

 マリアは食堂に入ると、適当な空いてる席に座った。

『えっ?確かあの子……』
『最近噂になっている子だよな?』
『ルアンと話していたけど……』
『どういう繋がりだ?』
『今久しぶりって言ったよな?』

 食堂は騒然となった。
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