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第七章 それぞれの過ごす日々
マリアの1日
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翌日、マリアは上機嫌で1人、王都を歩いていた。
リオナは学園の手続き諸々で今日は身動きが取れない。エリザベートもそれに付き添っており、グレンもアーティスに必要最低限の使用人の仕事を教わっていた。アルフォードは城で国王と久しぶりに親子水入らずの時間を楽しんでいた。……政務付きだが。
「フフフ、私だけランクアップして皆を驚かせるんだ」
季節はすでに初夏を過ぎ夏。暑さも厳しくなってきていた。そのためかマリアは袖なしのふわりとしたデザインのワンピースしか着ていなかった。どこからどう見てもギルドに行く格好ではない。
足取りも軽くギルドに到着すると、マリアは勝手知ったる様子で依頼を見始めた。
そんなマリアの姿を見知っている者は1人でいることを珍し気に見、初めて見る者はなんでこんなガキがいるんだと、不快そうに睨みつけた。
睨みつけた者にとって不幸だったのは、すでに午前の遅めの時間になっており、ギルドにあまり冒険者がいなかったことだろう。
「おい、そこのガキ」
結果、王都のギルドで絶対に絡んではいけないと言われているパーティーのメンバーであるマリアに高圧的に声をかけてしまった。
マリアは自分以外に子どもがいるのかと周囲を見渡し、不思議そうに首を傾げた。そしてすぐに視線を依頼票に戻した。
「お前だよ!そこの銀髪のガキ!」
男は無視されたと激昂した。
「?私ですか?」
「他にどこにガキがいるってんだよ!?」
周りではその様子を見た冒険者たちが額に手を当てていた。
「それで一体何の用です?」
「決まってんだろうが!?ここはガキの遊び場じゃねぇんだ!サッサと帰りな!」
「?別に私、遊んでなんかいませんよ。依頼を見ているのがわからないんですか?」
マリアは不可思議なものを見る目で男を見た。
「依頼を見てる?そりゃあ見ることはできるだろうよ。だがなぁ、そこにいられると依頼を受ける奴の邪魔なんだよ!」
「えっ?だから受ける依頼を選んでいるんですけど……」
「馬鹿を言うんじゃねぇよ!そこはBランク依頼だ。お前みたいなガキが受けられるものなんざねぇよ!」
(((((((まぁ普通はそう思うよな)))))))
冒険者、ギルド職員──その場にいた2人以外の者の思いが一致した。
「えっ?ギルドは年齢で人を選ぶんですか?」
ギルド職員たちはそれは違うと、声を大にして叫びたかったが、それを口することはなかった。
冒険者たちはその問いかけの答えをハラハラと待っていた。
リオナは学園の手続き諸々で今日は身動きが取れない。エリザベートもそれに付き添っており、グレンもアーティスに必要最低限の使用人の仕事を教わっていた。アルフォードは城で国王と久しぶりに親子水入らずの時間を楽しんでいた。……政務付きだが。
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季節はすでに初夏を過ぎ夏。暑さも厳しくなってきていた。そのためかマリアは袖なしのふわりとしたデザインのワンピースしか着ていなかった。どこからどう見てもギルドに行く格好ではない。
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そんなマリアの姿を見知っている者は1人でいることを珍し気に見、初めて見る者はなんでこんなガキがいるんだと、不快そうに睨みつけた。
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「おい、そこのガキ」
結果、王都のギルドで絶対に絡んではいけないと言われているパーティーのメンバーであるマリアに高圧的に声をかけてしまった。
マリアは自分以外に子どもがいるのかと周囲を見渡し、不思議そうに首を傾げた。そしてすぐに視線を依頼票に戻した。
「お前だよ!そこの銀髪のガキ!」
男は無視されたと激昂した。
「?私ですか?」
「他にどこにガキがいるってんだよ!?」
周りではその様子を見た冒険者たちが額に手を当てていた。
「それで一体何の用です?」
「決まってんだろうが!?ここはガキの遊び場じゃねぇんだ!サッサと帰りな!」
「?別に私、遊んでなんかいませんよ。依頼を見ているのがわからないんですか?」
マリアは不可思議なものを見る目で男を見た。
「依頼を見てる?そりゃあ見ることはできるだろうよ。だがなぁ、そこにいられると依頼を受ける奴の邪魔なんだよ!」
「えっ?だから受ける依頼を選んでいるんですけど……」
「馬鹿を言うんじゃねぇよ!そこはBランク依頼だ。お前みたいなガキが受けられるものなんざねぇよ!」
(((((((まぁ普通はそう思うよな)))))))
冒険者、ギルド職員──その場にいた2人以外の者の思いが一致した。
「えっ?ギルドは年齢で人を選ぶんですか?」
ギルド職員たちはそれは違うと、声を大にして叫びたかったが、それを口することはなかった。
冒険者たちはその問いかけの答えをハラハラと待っていた。
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