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第六章 王都への帰路

ヨルの森(6)

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「「「「「「いただきます!」」」」」」

 森の中に声が響き渡った。
 今日のメニューは野菜スープと事前に買っておいたパン、それにアイテムポーチの中に入っていたオーク肉のセトーク(ステーキ)だった。パンはマリアこだわりのふわふわパンだった。

「マリアちゃん、このパン柔らかくておいしいよ」
「エヘヘ、ありがとう。前にパン屋のおじさんに作り方を教わったことがあるの。喜んでもらえて嬉しいよ。大量に作り置きしてあるから好きなだけ食べてね」
「……パン屋のおじさんに作り方を教えてもらったって、普通そんなことできないんだけど……」

 リオナが呆れ顔でマリアを見た。

「うん、そうらしいね。私の場合は前にローザさん関係で色々あってその関係で……」

 マリアは言葉を濁した。

「いろいろって、私その内容が気になる。それとローザさんってだれ?」
「え~、でも聞いても面白くないと思うよ?あっ、ローザさんは私の魔術の師匠だよ」
「私も聞きたいわ。何があったのか」
「エリザまで~!?」

 マリアは少し考えた後、渋々と言った。

「もう、しょうがないなぁ。大まかなことだけだよ?」
「それでいいから!」

 リオナが光の速さで答えた。
 マリアがエリザベートの方を見ると無言で頷いた。
 さっきまで他の話をしていた男3人も話をやめ、マリアを見ていた。

コホン

 マリアは咳払いすると話し始めた。

「私が学園に入学する前、今から半年ぐらい前かな?パン屋のおじさんが仕事中に大火傷を負っちゃって、奥さんがローザさんのところにポーションを買いに来たの」
「ローザさんって、ポーションを売ってるの?」
「正確にはポーションもだね。本業は魔道具屋さんだって前に言ってた気がする。私もポーションを作るお手伝いをしていたから、低級ポーションぐらいだったら材料があれば作れるよ」
「本当に!?マリアちゃんすごい!」

 リオナが目を丸くした。

「ありがとう。意外と簡単だから今度教えてあげるね」
「うん!」
「話が逸れているわよ」
「あっ、ごめん。話を戻すね。パン屋のおじさんの怪我は酷くて、中級ポーションが何本も必要だったの。リオも大凡の値段ぐらいは知っているでしょ?」
「うん、確か1本で大銀貨1枚はするって聞いたことがある」
「ポーションって高いんだよね。流石に一般家庭のパン屋さんにはその金額が払えるほど貯金がなくて、代案としてローザさんが足りない分のお金は、私にパン作りを仕込めば無しにしてやるって言ったの」
「あ~、だからかぁ。それならあまりいいたくないよね」

 リオナは納得の色を浮かべた。

「「「「?」」」」
「言っとくけど大銀貨って、一般家庭の1か月分の生活費だからね?それほどお金に余裕がないの」

 マリアは一般常識が無い4人に嘆息しながら説明してやった。
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