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第六章 王都への帰路
リオナの装備(2)
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「次に武器ですが……」
店員はそう言って下の箱を開けた。
「剣や、槍などの長物は身長的にやはりサイズが合わないですし、弓もボウガンなどでないと取り回しが効かないと思います。ですからやはりどうしても短剣などの小型のものになってしまいますね。ただ、ドリアン氏が昔半分遊びで作った品なのですが、こんなものが御座いまして」
そう言って取り出されたのは、子供サイズの白銀色だが、どこからどう見ても死神の鎌──デスサイズだった。柄の部分に、薄紫の蔓薔薇が巻き付いているのが可愛らしく、それがより一層禍々しさを醸し出していた。
「本体はミスリルを使用しております。蔓薔薇はヒヒイロカネとオリハルコンの合金です。それでこれが一番大事なことなのですが、ドリアン氏曰く、この鎌は使用者の成長と共に成長していくと、ごめんなさい。よくわからないですよね?」
「ええ、でもなんとなく言いたいことはわかった気がするわ」
「こちら、通常なら大金貨20枚はするんですが、何分売れ残りの品ですので、大金貨15枚に値引きさせて頂きますね」
「ありがとう」
「いえ、合計で大金貨84枚になります」
「あっ、やっぱりブーツはもう1足欲しいのだけれど、あるかしら?」
「1足でしたら御座いますよ。少々お待ち下さい」
店員は1分もしないうちに戻ってきた。
「こちらですね。それでは合計で大金貨93枚になります」
エリザベートは黙ってギルドカードを出した。
「はい、確かに。ありがとうございました!武器の手入れもやっておりますので、ご入用の際はお立ち寄り下さい。皆様でしたら割引いたしますよ」
「フフフ、ありがとう。必要な時はそうさせて頂くわ」
エリザベートは朗らかに笑った。
「なぁ、なんで2足もブーツを買ったんだ?」
会計が終わったところでグレンが不思議そうに訊いた。
「あら、あなたの分よ。それとも要らなかったのかしら?いくら防具が要らないとは言っても、靴はすぐ痛むでしょ?特にあなたの場合は」
そう言って買ったばかりのブーツを片方差し出した。
グレンはそれを嬉しそうに受け取って、いそいそと履き替え始めた。
「ほら、リオも着てみなさい」
リオナも名前を呼ばれてやっと意識が現実に戻ってきた。
「う、うん」
リオナはそれの値段を考えないようにした。
装備一式を付け終わったリオナは、どれもこれも白く、髪の色が淡いことも合わさって、どこか儚気に見えた。そして自分の身長と変わらないデスサイズを持った姿がいやに似合っていた。
「このかまいやに軽いね。これだったら私でも十分振れるよ」
「まぁ、ミスリル製だからな。なんだったら明日の朝、腕試しも兼ねてGランクのランクアップ試験を受けてみるか?」
「うん!」
リオナは瞳を輝かせた。
店員はそう言って下の箱を開けた。
「剣や、槍などの長物は身長的にやはりサイズが合わないですし、弓もボウガンなどでないと取り回しが効かないと思います。ですからやはりどうしても短剣などの小型のものになってしまいますね。ただ、ドリアン氏が昔半分遊びで作った品なのですが、こんなものが御座いまして」
そう言って取り出されたのは、子供サイズの白銀色だが、どこからどう見ても死神の鎌──デスサイズだった。柄の部分に、薄紫の蔓薔薇が巻き付いているのが可愛らしく、それがより一層禍々しさを醸し出していた。
「本体はミスリルを使用しております。蔓薔薇はヒヒイロカネとオリハルコンの合金です。それでこれが一番大事なことなのですが、ドリアン氏曰く、この鎌は使用者の成長と共に成長していくと、ごめんなさい。よくわからないですよね?」
「ええ、でもなんとなく言いたいことはわかった気がするわ」
「こちら、通常なら大金貨20枚はするんですが、何分売れ残りの品ですので、大金貨15枚に値引きさせて頂きますね」
「ありがとう」
「いえ、合計で大金貨84枚になります」
「あっ、やっぱりブーツはもう1足欲しいのだけれど、あるかしら?」
「1足でしたら御座いますよ。少々お待ち下さい」
店員は1分もしないうちに戻ってきた。
「こちらですね。それでは合計で大金貨93枚になります」
エリザベートは黙ってギルドカードを出した。
「はい、確かに。ありがとうございました!武器の手入れもやっておりますので、ご入用の際はお立ち寄り下さい。皆様でしたら割引いたしますよ」
「フフフ、ありがとう。必要な時はそうさせて頂くわ」
エリザベートは朗らかに笑った。
「なぁ、なんで2足もブーツを買ったんだ?」
会計が終わったところでグレンが不思議そうに訊いた。
「あら、あなたの分よ。それとも要らなかったのかしら?いくら防具が要らないとは言っても、靴はすぐ痛むでしょ?特にあなたの場合は」
そう言って買ったばかりのブーツを片方差し出した。
グレンはそれを嬉しそうに受け取って、いそいそと履き替え始めた。
「ほら、リオも着てみなさい」
リオナも名前を呼ばれてやっと意識が現実に戻ってきた。
「う、うん」
リオナはそれの値段を考えないようにした。
装備一式を付け終わったリオナは、どれもこれも白く、髪の色が淡いことも合わさって、どこか儚気に見えた。そして自分の身長と変わらないデスサイズを持った姿がいやに似合っていた。
「このかまいやに軽いね。これだったら私でも十分振れるよ」
「まぁ、ミスリル製だからな。なんだったら明日の朝、腕試しも兼ねてGランクのランクアップ試験を受けてみるか?」
「うん!」
リオナは瞳を輝かせた。
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