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第五章 エイセルの街

アーティス&アルフォード&マリア&グレン

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 ジャンたちに自分たちのことを固く口止めし見送った後、アーティスが再度街に行こうとした時だった。

コンコン

 本日何度目かわからないノックがされた。

「失礼します。犯罪組織『ドラゴン・トーストdragon toast』のメンバーを捕縛しました」
「なんだって!『ドラゴン・トーストdragon toast』と言えば、中々尻尾を出さない奴らじゃないか。よくやった」

 レインは興奮しているのか、口調が崩れていた。

「それが……」

 報告した兵士は言い辛そうに言った。

「捕まえたのは我々ではありません」
「それでは誰が?」

 レインは首を傾げた。頭の片隅にはとある人物の顔が浮かんでいたが、まさかという気持ちの方が強かった。

「信じられないとは思いますが、10歳の子どもです」

 レインは予想が的中したことを悟った。
 アルフォードとアーティスの2人は初めから予想がついており、別段驚くようなことはなかった。

「……それでその子たちは今どこにいますか?」
「保護した身元不明の子どもたちと一緒に1階の応接室の方に」
「それではその2人をここに連れてきて貰えますか?」
「はい!」

 兵士は返事をするとすぐに部屋から出ていった。

◇◆◇

「あれ?」

 部屋から出たところで兵士は首を傾げた。

「俺、2人って言ったっけ?」

◇◆◇

 5分もしない内に先ほどの兵士の手でマリアとグレンが連れてこられた。

「やはりあなたたちでしたか……」

 レインは頭を抑えた。

「?どうかしましたか?」
「いえ、ちょっと頭痛が……それよりも何があって今の状況になったのか説明して下さい」
「わかりました」

 マリアは時系列に沿って話し始めた。

「私たちは色んな店──雑貨屋さんとか洋服屋さんとかを回っていたんです。ちょっと人気がない道に入ったら後ろから襲われて袋に入れられました」
「それを見ていた人がいたらしくて、詰所で騒いでいたよ」

 アーティスが補足説明を加えた。

「そうなの?……それで袋から出されたのは小さな窓しかない部屋でした。そこには私たちの他にも子供がいて、少ししたら偉そうな人が来ました。隙を見てその人たちを倒して、残った建物内の人たちも全員気絶させて警備兵のおじさんたちを呼んで来ました。それでその後この屋敷に連れてこられました。……ところでなんでアーティスがここにいるの?」

 今になって気がついたのか、マリアは不思議そうな顔をした。

「酷い……僕は別件でちょっとね」
「……どうやって倒したのか詳しく訊きたいところですが止めておきます」

 レインはどこか遠い目をしていた。

☆★☆★☆

なぜ組織名のルビが英語なのか?それはカタカナだといやに美味しそうな名前になってしまったからです。意味は辞書を引いてください。
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