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第四章 護衛依頼
十六日目(11) グレンの冒険者登録
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「それではこちらに必要事項を記入して下さい。必要なら代筆しますし、最低限名前さえ記入されていれば良いですから」
渡された紙は、マリアたちの時と同じく、名前、種族、年齢、職種を記入するようになっていた。
アルフォードはグレンに、名前だけ記入するように指示していた。
「えっ?それだけで良いのか?」
「ああ、というか、書くと逆に面倒くさいことになるぞ」
「わかった」
記入が終わった紙を受付嬢に渡す。
「えっ?……ここに血を垂らしてもらえますか?」
受付嬢は名前しか書かれていない紙を見て、一瞬唖然とした後、すぐに気を取り直して仕事に戻った。どうやら、名前しか書かない者は珍しいようだ。
グレンは渡された針を指に刺したが、針の方がグニャリと曲がってしまい、グレン自身には傷がつかなかった。
「えっ?」
それを見て、受付嬢は完全に固まってしまった。
「おい、曲がっちゃったがどうすれば良い?」
そんな受付嬢に、グレンは気にも留めず声をかけた。
「えっ、あっ、はい。えっと、魔力操作はできないだろうし……どうすれ「それぐらいならできるぞ」ば……えっ?できるの?」
受付嬢は、素っ頓狂な声を上げた。
「これに魔力を通せば良いのか?」
そんなことは気にせず、グレンはカウンターに置かれていたカードをひらひらさせた。
「えっ?あっ、うん」
その返事を聞くや否や、グレンは瞬時にカードに。カードは淡く発光し、登録が完了した。
「本当にできた……」
呆然と呟くのを、マリアたち4人は申し訳なく思いながら聞いていた。
(人化していても、皮膚は鱗と同じ硬さなのかなぁ?)
(目立ちたくないのに目立っちゃったわね。……まぁ、大量の素材を売った辺りで、手遅れだったと思うことにしましょう)
(あ~、これは後で面倒くさいことになるパターンだ)
(なんでギルドに来ると、まともに帰れないんだ……)
グレンは特例で、その場でマリアたちと同じEランクにしてもらえた。これは、針を曲げるほどの防御力と、恐ろしく大量の素材を持ち込んだ4人と一緒だったからだと、飛んできたギルドマスターは語った。どうやら、依頼を受けた時の受付嬢が、マリアのことを覚えていたらしく、それも考慮されたようだ。
渡された紙は、マリアたちの時と同じく、名前、種族、年齢、職種を記入するようになっていた。
アルフォードはグレンに、名前だけ記入するように指示していた。
「えっ?それだけで良いのか?」
「ああ、というか、書くと逆に面倒くさいことになるぞ」
「わかった」
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「えっ?……ここに血を垂らしてもらえますか?」
受付嬢は名前しか書かれていない紙を見て、一瞬唖然とした後、すぐに気を取り直して仕事に戻った。どうやら、名前しか書かない者は珍しいようだ。
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「えっ?」
それを見て、受付嬢は完全に固まってしまった。
「おい、曲がっちゃったがどうすれば良い?」
そんな受付嬢に、グレンは気にも留めず声をかけた。
「えっ、あっ、はい。えっと、魔力操作はできないだろうし……どうすれ「それぐらいならできるぞ」ば……えっ?できるの?」
受付嬢は、素っ頓狂な声を上げた。
「これに魔力を通せば良いのか?」
そんなことは気にせず、グレンはカウンターに置かれていたカードをひらひらさせた。
「えっ?あっ、うん」
その返事を聞くや否や、グレンは瞬時にカードに。カードは淡く発光し、登録が完了した。
「本当にできた……」
呆然と呟くのを、マリアたち4人は申し訳なく思いながら聞いていた。
(人化していても、皮膚は鱗と同じ硬さなのかなぁ?)
(目立ちたくないのに目立っちゃったわね。……まぁ、大量の素材を売った辺りで、手遅れだったと思うことにしましょう)
(あ~、これは後で面倒くさいことになるパターンだ)
(なんでギルドに来ると、まともに帰れないんだ……)
グレンは特例で、その場でマリアたちと同じEランクにしてもらえた。これは、針を曲げるほどの防御力と、恐ろしく大量の素材を持ち込んだ4人と一緒だったからだと、飛んできたギルドマスターは語った。どうやら、依頼を受けた時の受付嬢が、マリアのことを覚えていたらしく、それも考慮されたようだ。
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