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第四章 護衛依頼

二日目(1) 行倒れ

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 次の日、マリアたちはアレキスたちと門のところで合流した。

「昨日は良く眠れましたか?」
「はい」
「アーティスは起きなくて皆に叩き起こされていたけどね」
「ね、寝れないよりは良いじゃないか!」
「確かにそうかもしれないが、それで遅れたら他の人たちに迷惑が掛かる」
「何事も程々が大事ってことよ」
「仲が良くって羨ましいですね」

 アーティスがエリザベートとアルフォードの2人に寝坊したことについて責め立てられていると、アレキスがそう言った。

「そうですか?」

 マリアにはその言葉が理解できなかった。

「ええ」

 マリアに聞き返され、アレキスは笑いながら答えた。

「喧嘩するほど仲が良いと言いますしね」
「そうは言いますけど、毎回あんな感じなんですよ」

 仲が良いとはとても言えないとマリアは溜息を吐いた。

「ハハハ、君にもその内本当の意味がわかると思いますよ。遅くなってしまいますし、そろそろ出発しますよ」

 特に問題もなく門を通過し、街道を進んで行くと、人が倒れていた。

「大変!」
「駄目だ!」

 エリザベートが慌てて近寄ろうとしたのを、アルフォードが制止した。

「何でよ!倒れている人を助けるのは常識でしょ!」
「わかったから落ち着け。その気持ちはわかるが、倒れている者が本当に行き倒れとは限らない。追剥ぎの類だっているんだ。最悪殺されるぞ」
「彼の言う通りです。まず疑って掛かるのが原則です。不用意に近づいては襲ってくれと言っているようなものです」
「……わかったわよ。私が悪かったわ」

 エリザベートが不承不承といった様子で頷いた。
 そんなやり取りをしているうちにマリアは倒れている女性に近づいていた。

「あの~。大丈夫ですか?」

 一応声を掛けながら近づくが、返事はおろか、ピクリとも動かない。
 マリアはすぐ近くまで来ると、まず生きていることを確認した。そして武器の類を隠し持っていないことを確認すると振り向いてその旨を伝えた。

「意識がないだけで生きてます!武器も持っていないみたいです!」
「倒れていた理由はわかるか?」
「目立った怪我はないから多分食べていないんだと思います。この人、かなり痩せているので……」
「そうか、だったら気がつくまで待って話を聞いてみよう。おい!何か食べ物を用意しておけ!」

 女性が意識を取り戻したのは、それからすぐのことだった。
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