1 / 4
1、誕生日の日の朝と出立
しおりを挟む
その日はマリアの10歳の誕生日だった。
「マリア、誕生日おめでとう」
「えへへ、お父さんありがとう」
マリアは父親に頭を撫でられ、嬉しそうに笑い声を漏らした。
「これは父さんからのプレゼントだ。前に約束したこと、覚えているか?」
「えっ? なぁに?」
マリアは差し出された小箱を受け取ると、期待に満ちた目で開いた。
「わぁ~、綺麗」
中に収められていた蔓薔薇がデザインされた金色のバレッタに目を輝かせる。それぞれ葉は翠、花の部分は蒼い石がはまっている。
「気に入ったか?」
「うん、とっても。お父さんありがとう」
「そうか。それは良かった。無理を言って作らせた甲斐があった」
そう言って微笑んだ。
「アランったら、私の誕生日には大したものはくれないくせに、マリアにはそんな高そうなものをあげるなんて」
「そうむくれるなよ、エレナ。これは前々から約束していたものなんだから」
アランは苦笑いをすると、マリアに目で同意を求めた。
「うん。包丁を注文してもらった時に、お父さんが10歳の誕生日になったらくれるって言ってたの」
娘に無邪気な笑顔を向けられ、エレナは呆れたような表情になった。
「包丁って……マリアが3つかそこらの時じゃない。そんなに前から頼んでいたの? いったい幾らしたのよ」
「いや……注文自体はマリアが産まれて少しした頃に……。値段は……内緒だ」
「……はぁ」
訊いても無駄だったと、エレナは溜息を漏らした。
「マリア、貸してみろ。付けてやる」
アランは座れと、椅子を指し示した。
「後で俺の兄さんに会いに行こうな。お前も1度あったことがあるんだが、覚えているか?」
「えっ? ううん。どんな人?」
髪を丁寧に櫛で梳かすと、妙に慣れた手つきで纏め始めた。
「どんな……か。そうだな、頑固で真面目であまり融通が効かない。でも自分の思いを人に伝えるのが苦手なぶきっちょなやつだよ」
「……どんな人なのかイメージができない」
「会えばわかるさ。……できたぞ」
アランから渡された手鏡で髪型を確認する。
サイドの髪は丁寧に編み込まれ、右側頭部でもらったばかりのバレッタで留められていた。
「お父さん、ありがとう」
今日何度目かの礼を口にすると、アランに満面の笑みを向けた。
「どういたしまして。朝食を食べたら出かけるからな。その前にこれに着替えてくると良い。今日の為に用意をしておいたんだ」
そう言ってアランは布包みを手渡した。
「うん」
マリアは包みを抱え、嬉しそうに自室へと駆けていった。
「あなたにお兄さんがいたなんて初めて聞いたわ」
「……言ってなかったからな」
アランはどこか複雑そうな顔をする。
「それで私には服は用意してないの?」
質問という体裁は取っているものの、エレナはもらえると信じて疑っていなかった。
「お前の分はないよ。今日の主役はマリアだからな」
エレナは瞬時に表情を凍りつかせた。
「それに兄さんのところに連れて行く気もない」
「な、なんで……」
「あそこはお前には……居心地が悪いだろうからな。わざわざそんなところに連れて行く気はないよ」
だからわかってくれと、アランは口にした。
「マリアを兄さんに会わせるのは、それが兄さんとの約束だからだ。本当はマリアもあそこにはもう連れて行く気はなかったんだ」
「……そう」
重い沈黙がその場を包み込む。
「お父さん! どうかな? 似合う?」
そこへマリアが真新しい淡い緑のワンピースに身を包んで戻ってきた。
「? どうしたの?」
不穏な空気を感じ取ったのか、マリアは不安そうな表情を浮かべる。
「なんでもないよ。よく似合ってる。流石は俺たちの娘だな」
そう言ってマリアを抱き上げた。その拍子にスカートの裾がふんわりと広がる。
「さっ、朝ご飯を食べちゃおうな。遅くなってしまう」
「うん!」
朝食を食べている間エレナは終始無言で、マリアはそれに疑問を持ったものの、口に出すことはなかった。
ワンピースの上に着慣れた外套を羽織ると、出かける準備は整った。
「じゃあ行ってくるよ」
「……行ってらっしゃい」
2人を見送るエレナの笑顔にはどこか陰りがあった。
「お父さん。お父さんのお兄さんってどこに住んでるの?」
住み慣れた王都の街、その大通りを歩きながら、マリアは興味津々といった様子で尋ねた。
「兄さんは王都に住んでる」
「えっ? でもほとんど会ったことないんだよね?」
アランは苦笑すると口を開いた。
「そうだな。王都とは言ってもここエルドラント王国の王都ではなく、父さんの生まれ故郷、隣国エーデル王国の王都だからな」
「……隣の国」
想像以上に遠い場所にマリアは言葉を失った。
「そんな不安そうな顔をしなくても大丈夫だ。父さんのとっておきで隣国までひとっ飛びだ」
そう言ってマリアの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「お父さん、髪の毛がぐしゃぐしゃになる」
「ああ、ごめんな」
アランは口では謝ってはいるものの、顔は笑っていた。
「もうっ!」
マリアは頬を膨らませたが、それはアランの顔をだらしなく緩ませるだけで終わった。
「いつ見ても思いますけど、似てない親子ですね」
王都の外へと続く門。そこで手続きの順番待ちをしていると、同じく並んでいた冒険者たちがからかいを含んだ声をかける。
「そうそう。あまりにも似ていなさ過ぎて、時々本当にアランさんの子どもなのかと疑問になりますよ」
「……マリアは完全にエレナ似だからな」
マリアもアランも顔立ちは整ってはいるものの、その方向性はまったく違う。マリアは綺麗というよりは可愛いらしいという表現が似合うエレナにそっくりな一方、アランは男らしい精悍な顔立ちをしている。髪の色もマリアは青味がかった銀髪、アランは黒に近い紺色とひどく対象的だった。唯一血の繋がりを感じさせるのは、夏の空を思わせる深い蒼の目ぐらいだった。
「それで今日は娘を連れてどこに行くんだ?」
「んっ、ちょっと兄に顔を見せにな」
「アランさん、兄貴なんていたんだな」
「言ってなかったか?」
「初耳だぞ」
取り留めのない話をしているうちに順番が回ってくる。
「珍しいですね。娘さんとお出かけですか?」
門に詰めている衛兵も、普段はあまり見ない組み合わせに目を見開く。
「ああ、ちょっとな」
「お気をつけて……あなたには無用な言葉のような気もしますが……」
「ははは、そうだな」
王都を出るとアランはマリアを抱き上げ、街道沿いに走り始めた。
「隣の国まで行くってことはアクアに乗っていくの?」
マリアはもう何年も前から見知っている蒼い龍を思い浮かべ、目を輝かせた。
「ああ、そうだな。だから母さんは置いてきたんだ」
「お母さんには内緒だもんね」
そう言ってマリアは楽し気に笑った。
アクアやそれにかかわる一切のことは、例え相手がどのような者であろうと秘密にする。それがマリアが初めてアクアと会った時の約束であり、未だにそれが破られたことはなかった。
「アクアを見るのも久しぶりだなぁ」
「ここのところ、遠出する機会なんてなかったからな」
そんな会話を繰り広げる2人の目の前には、鬱蒼とした森が広がっていた。
「マリア、誕生日おめでとう」
「えへへ、お父さんありがとう」
マリアは父親に頭を撫でられ、嬉しそうに笑い声を漏らした。
「これは父さんからのプレゼントだ。前に約束したこと、覚えているか?」
「えっ? なぁに?」
マリアは差し出された小箱を受け取ると、期待に満ちた目で開いた。
「わぁ~、綺麗」
中に収められていた蔓薔薇がデザインされた金色のバレッタに目を輝かせる。それぞれ葉は翠、花の部分は蒼い石がはまっている。
「気に入ったか?」
「うん、とっても。お父さんありがとう」
「そうか。それは良かった。無理を言って作らせた甲斐があった」
そう言って微笑んだ。
「アランったら、私の誕生日には大したものはくれないくせに、マリアにはそんな高そうなものをあげるなんて」
「そうむくれるなよ、エレナ。これは前々から約束していたものなんだから」
アランは苦笑いをすると、マリアに目で同意を求めた。
「うん。包丁を注文してもらった時に、お父さんが10歳の誕生日になったらくれるって言ってたの」
娘に無邪気な笑顔を向けられ、エレナは呆れたような表情になった。
「包丁って……マリアが3つかそこらの時じゃない。そんなに前から頼んでいたの? いったい幾らしたのよ」
「いや……注文自体はマリアが産まれて少しした頃に……。値段は……内緒だ」
「……はぁ」
訊いても無駄だったと、エレナは溜息を漏らした。
「マリア、貸してみろ。付けてやる」
アランは座れと、椅子を指し示した。
「後で俺の兄さんに会いに行こうな。お前も1度あったことがあるんだが、覚えているか?」
「えっ? ううん。どんな人?」
髪を丁寧に櫛で梳かすと、妙に慣れた手つきで纏め始めた。
「どんな……か。そうだな、頑固で真面目であまり融通が効かない。でも自分の思いを人に伝えるのが苦手なぶきっちょなやつだよ」
「……どんな人なのかイメージができない」
「会えばわかるさ。……できたぞ」
アランから渡された手鏡で髪型を確認する。
サイドの髪は丁寧に編み込まれ、右側頭部でもらったばかりのバレッタで留められていた。
「お父さん、ありがとう」
今日何度目かの礼を口にすると、アランに満面の笑みを向けた。
「どういたしまして。朝食を食べたら出かけるからな。その前にこれに着替えてくると良い。今日の為に用意をしておいたんだ」
そう言ってアランは布包みを手渡した。
「うん」
マリアは包みを抱え、嬉しそうに自室へと駆けていった。
「あなたにお兄さんがいたなんて初めて聞いたわ」
「……言ってなかったからな」
アランはどこか複雑そうな顔をする。
「それで私には服は用意してないの?」
質問という体裁は取っているものの、エレナはもらえると信じて疑っていなかった。
「お前の分はないよ。今日の主役はマリアだからな」
エレナは瞬時に表情を凍りつかせた。
「それに兄さんのところに連れて行く気もない」
「な、なんで……」
「あそこはお前には……居心地が悪いだろうからな。わざわざそんなところに連れて行く気はないよ」
だからわかってくれと、アランは口にした。
「マリアを兄さんに会わせるのは、それが兄さんとの約束だからだ。本当はマリアもあそこにはもう連れて行く気はなかったんだ」
「……そう」
重い沈黙がその場を包み込む。
「お父さん! どうかな? 似合う?」
そこへマリアが真新しい淡い緑のワンピースに身を包んで戻ってきた。
「? どうしたの?」
不穏な空気を感じ取ったのか、マリアは不安そうな表情を浮かべる。
「なんでもないよ。よく似合ってる。流石は俺たちの娘だな」
そう言ってマリアを抱き上げた。その拍子にスカートの裾がふんわりと広がる。
「さっ、朝ご飯を食べちゃおうな。遅くなってしまう」
「うん!」
朝食を食べている間エレナは終始無言で、マリアはそれに疑問を持ったものの、口に出すことはなかった。
ワンピースの上に着慣れた外套を羽織ると、出かける準備は整った。
「じゃあ行ってくるよ」
「……行ってらっしゃい」
2人を見送るエレナの笑顔にはどこか陰りがあった。
「お父さん。お父さんのお兄さんってどこに住んでるの?」
住み慣れた王都の街、その大通りを歩きながら、マリアは興味津々といった様子で尋ねた。
「兄さんは王都に住んでる」
「えっ? でもほとんど会ったことないんだよね?」
アランは苦笑すると口を開いた。
「そうだな。王都とは言ってもここエルドラント王国の王都ではなく、父さんの生まれ故郷、隣国エーデル王国の王都だからな」
「……隣の国」
想像以上に遠い場所にマリアは言葉を失った。
「そんな不安そうな顔をしなくても大丈夫だ。父さんのとっておきで隣国までひとっ飛びだ」
そう言ってマリアの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「お父さん、髪の毛がぐしゃぐしゃになる」
「ああ、ごめんな」
アランは口では謝ってはいるものの、顔は笑っていた。
「もうっ!」
マリアは頬を膨らませたが、それはアランの顔をだらしなく緩ませるだけで終わった。
「いつ見ても思いますけど、似てない親子ですね」
王都の外へと続く門。そこで手続きの順番待ちをしていると、同じく並んでいた冒険者たちがからかいを含んだ声をかける。
「そうそう。あまりにも似ていなさ過ぎて、時々本当にアランさんの子どもなのかと疑問になりますよ」
「……マリアは完全にエレナ似だからな」
マリアもアランも顔立ちは整ってはいるものの、その方向性はまったく違う。マリアは綺麗というよりは可愛いらしいという表現が似合うエレナにそっくりな一方、アランは男らしい精悍な顔立ちをしている。髪の色もマリアは青味がかった銀髪、アランは黒に近い紺色とひどく対象的だった。唯一血の繋がりを感じさせるのは、夏の空を思わせる深い蒼の目ぐらいだった。
「それで今日は娘を連れてどこに行くんだ?」
「んっ、ちょっと兄に顔を見せにな」
「アランさん、兄貴なんていたんだな」
「言ってなかったか?」
「初耳だぞ」
取り留めのない話をしているうちに順番が回ってくる。
「珍しいですね。娘さんとお出かけですか?」
門に詰めている衛兵も、普段はあまり見ない組み合わせに目を見開く。
「ああ、ちょっとな」
「お気をつけて……あなたには無用な言葉のような気もしますが……」
「ははは、そうだな」
王都を出るとアランはマリアを抱き上げ、街道沿いに走り始めた。
「隣の国まで行くってことはアクアに乗っていくの?」
マリアはもう何年も前から見知っている蒼い龍を思い浮かべ、目を輝かせた。
「ああ、そうだな。だから母さんは置いてきたんだ」
「お母さんには内緒だもんね」
そう言ってマリアは楽し気に笑った。
アクアやそれにかかわる一切のことは、例え相手がどのような者であろうと秘密にする。それがマリアが初めてアクアと会った時の約束であり、未だにそれが破られたことはなかった。
「アクアを見るのも久しぶりだなぁ」
「ここのところ、遠出する機会なんてなかったからな」
そんな会話を繰り広げる2人の目の前には、鬱蒼とした森が広がっていた。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
私はいけにえ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」
ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。
私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。
****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。
異世界楽々通販サバイバル
shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。
近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。
そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。
そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。
しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。
「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?
未亡人となった側妃は、故郷に戻ることにした
星ふくろう
恋愛
カトリーナは帝国と王国の同盟により、先代国王の側室として王国にやって来た。
帝国皇女は正式な結婚式を挙げる前に夫を失ってしまう。
その後、義理の息子になる第二王子の正妃として命じられたが、王子は彼女を嫌い浮気相手を溺愛する。
数度の恥知らずな婚約破棄を言い渡された時、カトリーナは帝国に戻ろうと決めたのだった。
他の投稿サイトでも掲載しています。
冤罪をかけて申し訳ないって……謝罪で済む問題だと思ってます?
水垣するめ
恋愛
それは何の変哲もない日だった。
学園に登校した私は、朝一番、教室で待ち構えていた婚約者であるデイビット・ハミルトン王子に開口一番罵声を浴びせられた。
「シエスタ・フォード! この性悪女め! よくもノコノコと登校してきたな!」
「え……?」
いきなり罵声を浴びせられたシエスタは困惑する。
「な、何をおっしゃっているのですか……? 私が何かしましたか?」
尋常ではない様子のデイビットにシエスタは恐る恐る質問するが、それが逆にデイビットの逆鱗に触れたようで、罵声はより苛烈になった。
「とぼけるなこの犯罪者! お前はイザベルを虐めていただろう!」
デイビットは身に覚えのない冤罪をシエスタへとかける。
「虐め……!? 私はそんなことしていません!」
「ではイザベルを見てもそんなことが言えるか!」
おずおずと前に出てきたイザベルの様子を見て、シエスタはギョッとした。
イザベルには顔に大きなあざがあったからだ。
誰かに殴られたかのような大きな青いあざが目にある。
イザベルはデイビットの側に小走りで駆け寄り、イザベルを指差した。
「この人です! 昨日私を殴ってきたのはこの人です!」
冤罪だった。
しかしシエスタの訴えは聞き届けてもらえない。
シエスタは理解した。
イザベルに冤罪を着せられたのだと……。
(完)私の家を乗っ取る従兄弟と従姉妹に罰を与えましょう!
青空一夏
ファンタジー
婚約者(レミントン侯爵家嫡男レオン)は何者かに襲われ亡くなった。さらに両親(ランス伯爵夫妻)を病で次々に亡くした葬式の翌日、叔母エイナ・リック前男爵未亡人(母の妹)がいきなり荷物をランス伯爵家に持ち込み、従兄弟ラモント・リック男爵(叔母の息子)と住みだした。
私はその夜、ラモントに乱暴され身ごもり娘(ララ)を産んだが・・・・・・この夫となったラモントはさらに暴走しだすのだった。
ラモントがある日、私の従姉妹マーガレット(母の3番目の妹の娘)を連れてきて、
「お前は娘しか産めなかっただろう? この伯爵家の跡継ぎをマーガレットに産ませてあげるから一緒に住むぞ!」
と、言い出した。
さらには、マーガレットの両親(モーセ準男爵夫妻)もやってきて離れに住みだした。
怒りが頂点に到達した時に私は魔法の力に目覚めた。さて、こいつらはどうやって料理しましょうか?
さらには別の事実も判明して、いよいよ怒った私は・・・・・・壮絶な復讐(コメディ路線の復讐あり)をしようとするが・・・・・・(途中で路線変更するかもしれません。あくまで予定)
※ゆるふわ設定ご都合主義の素人作品。※魔法世界ですが、使える人は希でほとんどいない。(昔はそこそこいたが、どんどん廃れていったという設定です)
※残酷な意味でR15・途中R18になるかもです。
※具体的な性描写は含まれておりません。エッチ系R15ではないです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる