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本編
ついに判明
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「なあ、あんた達」
突然見知らぬ男が話を割って闖入して来た。
若い男は怪訝そうに闖入者を見た。
「何だお前。楽しく飲んでる俺達に余興でも見せようってのか」
「楽しく飲んでるのはアンタ一人よ」
「うるせえ大介。大体てめえ、旦那の事は牛嶋さんとか言うくせに何で俺はアンタ呼ばわりなんだよ」
「アンタなんかアンタで十分でしょ。それとも大神さんて呼んで欲しいわけ? それと私は大介じゃない」
せっかく話に割って入ったのに、ものの2秒で蚊帳の外となった。
闖入者はめげずにもう一度トライした。
「あ、いや、アンタらあんまり見ない顔だなぁと思ってね」
「あ? なんだとこの野郎。この辺に縄張りでもあるってのか。面白ぇどこのどんな奴らの集まりだよ。見せてみやがれ」
一言ご機嫌でも伺おうとしただけで、こんなに凄まれる事もそうは無いだろう。
闖入者もわずかに気色ばむ。
「いや違う違う。随分楽しそうにしてるから少し仲間に入りたくてね。なに、ただでなんて言わねえよ。どうだい少し奢らせちゃくれねぇかい。な?」
随分と要領の良い男だった。
三人がまだなんにも返事をしないうちに、しれっと大神と美紅の間に陣取った。
そう、若い男の名前は『大神 唯桜』(おおかみ いお)と言う。
ついでに言うと、美紅は『蛇穴 美紅』(さらぎ みく)、牛嶋は『牛嶋 五郎次』(うしじま ごろうつぐ)と言う。
ここまで長かった。
「お、なんだ奢ってくれるのか。悪いな、お前案外良い奴じゃねえか」
「へへ、良いって事よ兄弟」
奢りと聞いて唯桜の態度は豹変した。
「おおい! こっちに酒だ、もっとジャンジャン持ってきてくれよ!」
注文しながら、ようやくこっちのペースになってきたなと闖入者はほくそ笑んだ。
「おっと、挨拶が遅れちまったな。俺ぁヤーゴってモンだ。この辺り……」
「で?」
「え?」
ヤーゴと名乗った男が話を続けようとするのを唯桜がさえぎった。
「え、じゃねえよ、とぼけやがって。つまんねえ前置きは止しやがれ。俺達に何を頼みてぇんだ」
ヤーゴはギクリとした。
「解るんだよ。悪党は悪党を知るってな。てめぇが相当のクズだってよ」
「な、なにを……」
「良いんだよ、てめぇがクズでも俺達にゃあ関係ねえ。まあ、そんだけの汚ねぇ目にはなかなかお目にかかれねぇけどな」
「……言い方、他に無いのかしら」
美紅はそう言いながらも、成り行きのターニングポイントを的確に嗅ぎ取ってえぐってくる唯桜の嗅覚には一目置いていた。
「どうした。顔色悪いぜ?」
ヤーゴは久しぶりに冷や汗をかいた。
「へ、へへ……。流石は俺が目をつけただけの人達だ。じゃあ、変な細工は一切無しでいくぜ」
さっきまでの人懐っこい感じは、もうヤーゴの顔には無かった。
突然見知らぬ男が話を割って闖入して来た。
若い男は怪訝そうに闖入者を見た。
「何だお前。楽しく飲んでる俺達に余興でも見せようってのか」
「楽しく飲んでるのはアンタ一人よ」
「うるせえ大介。大体てめえ、旦那の事は牛嶋さんとか言うくせに何で俺はアンタ呼ばわりなんだよ」
「アンタなんかアンタで十分でしょ。それとも大神さんて呼んで欲しいわけ? それと私は大介じゃない」
せっかく話に割って入ったのに、ものの2秒で蚊帳の外となった。
闖入者はめげずにもう一度トライした。
「あ、いや、アンタらあんまり見ない顔だなぁと思ってね」
「あ? なんだとこの野郎。この辺に縄張りでもあるってのか。面白ぇどこのどんな奴らの集まりだよ。見せてみやがれ」
一言ご機嫌でも伺おうとしただけで、こんなに凄まれる事もそうは無いだろう。
闖入者もわずかに気色ばむ。
「いや違う違う。随分楽しそうにしてるから少し仲間に入りたくてね。なに、ただでなんて言わねえよ。どうだい少し奢らせちゃくれねぇかい。な?」
随分と要領の良い男だった。
三人がまだなんにも返事をしないうちに、しれっと大神と美紅の間に陣取った。
そう、若い男の名前は『大神 唯桜』(おおかみ いお)と言う。
ついでに言うと、美紅は『蛇穴 美紅』(さらぎ みく)、牛嶋は『牛嶋 五郎次』(うしじま ごろうつぐ)と言う。
ここまで長かった。
「お、なんだ奢ってくれるのか。悪いな、お前案外良い奴じゃねえか」
「へへ、良いって事よ兄弟」
奢りと聞いて唯桜の態度は豹変した。
「おおい! こっちに酒だ、もっとジャンジャン持ってきてくれよ!」
注文しながら、ようやくこっちのペースになってきたなと闖入者はほくそ笑んだ。
「おっと、挨拶が遅れちまったな。俺ぁヤーゴってモンだ。この辺り……」
「で?」
「え?」
ヤーゴと名乗った男が話を続けようとするのを唯桜がさえぎった。
「え、じゃねえよ、とぼけやがって。つまんねえ前置きは止しやがれ。俺達に何を頼みてぇんだ」
ヤーゴはギクリとした。
「解るんだよ。悪党は悪党を知るってな。てめぇが相当のクズだってよ」
「な、なにを……」
「良いんだよ、てめぇがクズでも俺達にゃあ関係ねえ。まあ、そんだけの汚ねぇ目にはなかなかお目にかかれねぇけどな」
「……言い方、他に無いのかしら」
美紅はそう言いながらも、成り行きのターニングポイントを的確に嗅ぎ取ってえぐってくる唯桜の嗅覚には一目置いていた。
「どうした。顔色悪いぜ?」
ヤーゴは久しぶりに冷や汗をかいた。
「へ、へへ……。流石は俺が目をつけただけの人達だ。じゃあ、変な細工は一切無しでいくぜ」
さっきまでの人懐っこい感じは、もうヤーゴの顔には無かった。
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