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八〇〇
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「ま、待て!いくら何でも無茶苦茶だ!」
男たちが言う。
無茶苦茶だ?
それは突然理不尽に連れ去られ、過酷な重労働に従事させられた子供たちの言葉だ。
お前たちがそれを口にする権利は無い。
「今から貴様らがどんな目に遭おうとも、俺は少しも同情しない。ザマを見ろと思うだけだ」
俺の言葉に、男たちはより一層に震え上がった。
顔に疵を持つ強面な男どもが、一カ所に身を寄せ合い震えている。
滑稽だ。
我が身ならここまで震えるのに、あんな小さな子供たちに同じ思いをさせたのだ。
あまつさえ、何人も殺している。
断じて許せん。
ヤツらの態度に怒りが増幅される。
「おおっと!動くんじゃねえ!」
背後から声がする。
俺はゆっくりと振り返った。
なんだと。
耳飾りの男が立っている。
いや、そんな事よりもその背後だ。
モンスターだ。
複数のモンスターが様々に入り交じって揃っていた。
そして。
「うわああんっ!助けてぇー!」
男の腕には子供が捕まえられていた。
まだ五歳にも満たないであろう、とても小さな子供だ。
こいつもか。
クソ外道が。
俺は怒りに拳が震えた。
「貴様の目的はガキどもだろう?依頼されて取り返しに来たのか?」
「……何故そう思う」
俺は尋ね返した。
「この船には刺客が来るほど重要な物と言ったら、こいつらしか積んでねえからだよ!貴様のような化け物がわざわざ食料や衣類を奪いに来るか!バーカ!」
なるほどな。
金目の物や麻薬はこの船じゃなく別の便なのか。
こう言うケースを想定してだとすれば相当に用心深いな。
それにしても、このモンスターたちは何なんだ。
耳飾りの男を襲わないとすれば、ヤツが使役していると言う事になるが。
俺は男の手を見た。
召喚の指輪は無い。
当たり前か。
あんなレアなアイテムが、そうポンポンポンポン出てきて堪るか。
だとしたら、これはヤツの能力なのか。
テイマースキルと言う物は確かに存在する。
しかし、その使い手はほとんど見ない。
俺も見た事は無い。
相当に難しい職種であり、目指そうとする命知らずはほとんど居ないからだ。
調教中にテイマーの方が食われてしまう事故が後を絶たない。
これが理由だ。
馬鹿みたいに当然な理由だ。
相当な腕が無ければモンスターを使役するなんてのは、夢のまた夢なのだ。
それなのにこいつ、こんなに数を。
しかも複数種のモンスターを同時にだと。
どんなテイマーレベルなんだ。
俺は内心驚嘆した。
「さあ、動くなよ。このガキがどうなっても知らんぞ」
本職の悪党には恐れ入る。
あんなセリフはまだ今の俺には無理だな。
「へへへへへ……」
背後の男たちも形勢逆転を察して近付いて来た。
判りやすいヤツらだ。
「……面白い。それで何が出来るのかやって見ろ」
俺は棒立ちのまま言った。
「なに?」
「良いからやって見ろよ。貴様らに何が出来るのか俺も知りたい」
「何ぃ、なめやがって!」
男たちは激昂した。
ふん。
さっきまで刃が立たなかった事をもう忘れたのか、鶏め。
「死ねええ!」
男たちが、かさに掛かって襲い掛かる。
しかし、どんな攻撃も俺に傷一つ付けられない。
無駄だ。
人力で何が出来る。
俺はひとしきり攻撃を浴びた所で、回転しながら蹴りを見舞った。
ドカドカドカドカドカドカッ!
「うおあああ!」
「わああああ!」
一蹴りで数人が吹っ飛んだ。
何名かが海へと転落した。
「!?」
それだけで男たちは簡単に後ずさる。
「……どうした?終いか?」
「……くっくっくっく。馬鹿げた強さだ。剣も矢も弾き返すとはな。それは鎧か?最初はモンスターだと思ったが貴様は人間だろう」
ほう。
良くわかったな。
「ふふふ。俺は使役できるかどうか判断出来るからな。貴様は使役出来ん。だから人間だ」
男が自信満々に答えた。
なるほどね。
男たちが言う。
無茶苦茶だ?
それは突然理不尽に連れ去られ、過酷な重労働に従事させられた子供たちの言葉だ。
お前たちがそれを口にする権利は無い。
「今から貴様らがどんな目に遭おうとも、俺は少しも同情しない。ザマを見ろと思うだけだ」
俺の言葉に、男たちはより一層に震え上がった。
顔に疵を持つ強面な男どもが、一カ所に身を寄せ合い震えている。
滑稽だ。
我が身ならここまで震えるのに、あんな小さな子供たちに同じ思いをさせたのだ。
あまつさえ、何人も殺している。
断じて許せん。
ヤツらの態度に怒りが増幅される。
「おおっと!動くんじゃねえ!」
背後から声がする。
俺はゆっくりと振り返った。
なんだと。
耳飾りの男が立っている。
いや、そんな事よりもその背後だ。
モンスターだ。
複数のモンスターが様々に入り交じって揃っていた。
そして。
「うわああんっ!助けてぇー!」
男の腕には子供が捕まえられていた。
まだ五歳にも満たないであろう、とても小さな子供だ。
こいつもか。
クソ外道が。
俺は怒りに拳が震えた。
「貴様の目的はガキどもだろう?依頼されて取り返しに来たのか?」
「……何故そう思う」
俺は尋ね返した。
「この船には刺客が来るほど重要な物と言ったら、こいつらしか積んでねえからだよ!貴様のような化け物がわざわざ食料や衣類を奪いに来るか!バーカ!」
なるほどな。
金目の物や麻薬はこの船じゃなく別の便なのか。
こう言うケースを想定してだとすれば相当に用心深いな。
それにしても、このモンスターたちは何なんだ。
耳飾りの男を襲わないとすれば、ヤツが使役していると言う事になるが。
俺は男の手を見た。
召喚の指輪は無い。
当たり前か。
あんなレアなアイテムが、そうポンポンポンポン出てきて堪るか。
だとしたら、これはヤツの能力なのか。
テイマースキルと言う物は確かに存在する。
しかし、その使い手はほとんど見ない。
俺も見た事は無い。
相当に難しい職種であり、目指そうとする命知らずはほとんど居ないからだ。
調教中にテイマーの方が食われてしまう事故が後を絶たない。
これが理由だ。
馬鹿みたいに当然な理由だ。
相当な腕が無ければモンスターを使役するなんてのは、夢のまた夢なのだ。
それなのにこいつ、こんなに数を。
しかも複数種のモンスターを同時にだと。
どんなテイマーレベルなんだ。
俺は内心驚嘆した。
「さあ、動くなよ。このガキがどうなっても知らんぞ」
本職の悪党には恐れ入る。
あんなセリフはまだ今の俺には無理だな。
「へへへへへ……」
背後の男たちも形勢逆転を察して近付いて来た。
判りやすいヤツらだ。
「……面白い。それで何が出来るのかやって見ろ」
俺は棒立ちのまま言った。
「なに?」
「良いからやって見ろよ。貴様らに何が出来るのか俺も知りたい」
「何ぃ、なめやがって!」
男たちは激昂した。
ふん。
さっきまで刃が立たなかった事をもう忘れたのか、鶏め。
「死ねええ!」
男たちが、かさに掛かって襲い掛かる。
しかし、どんな攻撃も俺に傷一つ付けられない。
無駄だ。
人力で何が出来る。
俺はひとしきり攻撃を浴びた所で、回転しながら蹴りを見舞った。
ドカドカドカドカドカドカッ!
「うおあああ!」
「わああああ!」
一蹴りで数人が吹っ飛んだ。
何名かが海へと転落した。
「!?」
それだけで男たちは簡単に後ずさる。
「……どうした?終いか?」
「……くっくっくっく。馬鹿げた強さだ。剣も矢も弾き返すとはな。それは鎧か?最初はモンスターだと思ったが貴様は人間だろう」
ほう。
良くわかったな。
「ふふふ。俺は使役できるかどうか判断出来るからな。貴様は使役出来ん。だから人間だ」
男が自信満々に答えた。
なるほどね。
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