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六八三
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「あら、珍しいわね。何かしら?」
令子が通信に出た。
「プニーフタールに興味ないか?」
「興味?どう言う事?」
令子は話が見えずに聞き返した。
「プニーフタールが宇宙から来た生命体だって話が出てな。ちょっと見てみたくないか?」
「ふーん」
令子が少し考えるような間をとった。
「百足君は見たいのね」
令子はそう言って、ふふっと笑った。
「そりゃあね。宇宙人にはさすがにお目に掛かった事がないからなあ」
「で、会ってどうするの?」
令子は反対するでも賛成するでも無く、淡々とオオムカデンダルの話を聞いた。
「どうするって……判んねえけど。それは見てから決めても良いんじゃないか?」
そりゃ、まあそうだが。
いやいやいや、駄目だろ。
復活なんて認められない。
危うく同調しそうになる。
俺もオオムカデンダルに毒されているのか。
「みんなは何て言っているの?」
「あー、それなんだが……」
「なるほどね。半々だから私に決めさせようって事ね」
鋭いな。
オオムカデンダルの事は全てお見通しか。
「……じゃあ、レオ君に決めてもらいましょ」
なに?
「あー、いや、レオは都合が悪い」
「どうして?」
「俺が反対したから」
俺はすかさず側から口を出した。
「あ、てめ!言うんじゃねえよ!」
オオムカデンダルが怒った。
知った事か。
思い通りにはさせん。
「あはははは。断られたのね。そりゃあそうよねえ」
令子は始めから判っていたのか。
「決めてもらうって言っても意見を聞くんじゃ無くて……」
令子が含みを持たせた言い方をする。
「プニーフタール復活の阻止には、まだ一人問題児が居るんでしょ?」
バルログの事か。
「それ倒さなきゃ復活するんだから、バルログの相手をレオ君がすれば良いのよ」
それは……そうだが。
プニーフタール復活阻止の為にはバルログを倒す。
これは規定路線だ。
それを倒す事も当然考えていた。
しかし、俺一人でか。
言われてみれば令子の意見は至極もっともだ。
反対するなら俺がバルログを倒せば良いのだ。
オオムカデンダルや蜻蛉洲の手を少しも借りずに、俺が完全に一人でバルログに挑む。
それは考えていなかった。
心のどこかで、みんなと一緒に戦うものだと勝手に思っていた。
知らず知らずのうちに、俺はオオムカデンダルたちに甘えていたのか。
俺は拳をギュッと握り締めた。
俺がミーアを救うのだ。
彼女の仇も、仲間の仇も、俺が討たなくてどうする。
一人でもやると決めた筈じゃ無かったのか。
俺は命からがら逃げ出した、あの日の事を思い出した。
「俺がやる」
俺は静かに切り出した。
「お?やるか?」
オオムカデンダルが意外そうに俺を見た。
「俺がバルログを倒せればプニーフタールは復活しない。俺が負けたら復活する。シンプルだ」
俺は死なない。
だが負ければ俺の蘇生に三ヶ月ほど掛かる。
その間にプニーフタールは復活するし、最悪の場合、俺が気が付いたら世界が終わっている可能性だってある。
「ふふふ、レオが勝つか負けるかがそのまま掛けになる訳か。面白い。良いだろう」
オオムカデンダルは嬉しそうに令子の意見を承諾した。
令子が通信に出た。
「プニーフタールに興味ないか?」
「興味?どう言う事?」
令子は話が見えずに聞き返した。
「プニーフタールが宇宙から来た生命体だって話が出てな。ちょっと見てみたくないか?」
「ふーん」
令子が少し考えるような間をとった。
「百足君は見たいのね」
令子はそう言って、ふふっと笑った。
「そりゃあね。宇宙人にはさすがにお目に掛かった事がないからなあ」
「で、会ってどうするの?」
令子は反対するでも賛成するでも無く、淡々とオオムカデンダルの話を聞いた。
「どうするって……判んねえけど。それは見てから決めても良いんじゃないか?」
そりゃ、まあそうだが。
いやいやいや、駄目だろ。
復活なんて認められない。
危うく同調しそうになる。
俺もオオムカデンダルに毒されているのか。
「みんなは何て言っているの?」
「あー、それなんだが……」
「なるほどね。半々だから私に決めさせようって事ね」
鋭いな。
オオムカデンダルの事は全てお見通しか。
「……じゃあ、レオ君に決めてもらいましょ」
なに?
「あー、いや、レオは都合が悪い」
「どうして?」
「俺が反対したから」
俺はすかさず側から口を出した。
「あ、てめ!言うんじゃねえよ!」
オオムカデンダルが怒った。
知った事か。
思い通りにはさせん。
「あはははは。断られたのね。そりゃあそうよねえ」
令子は始めから判っていたのか。
「決めてもらうって言っても意見を聞くんじゃ無くて……」
令子が含みを持たせた言い方をする。
「プニーフタール復活の阻止には、まだ一人問題児が居るんでしょ?」
バルログの事か。
「それ倒さなきゃ復活するんだから、バルログの相手をレオ君がすれば良いのよ」
それは……そうだが。
プニーフタール復活阻止の為にはバルログを倒す。
これは規定路線だ。
それを倒す事も当然考えていた。
しかし、俺一人でか。
言われてみれば令子の意見は至極もっともだ。
反対するなら俺がバルログを倒せば良いのだ。
オオムカデンダルや蜻蛉洲の手を少しも借りずに、俺が完全に一人でバルログに挑む。
それは考えていなかった。
心のどこかで、みんなと一緒に戦うものだと勝手に思っていた。
知らず知らずのうちに、俺はオオムカデンダルたちに甘えていたのか。
俺は拳をギュッと握り締めた。
俺がミーアを救うのだ。
彼女の仇も、仲間の仇も、俺が討たなくてどうする。
一人でもやると決めた筈じゃ無かったのか。
俺は命からがら逃げ出した、あの日の事を思い出した。
「俺がやる」
俺は静かに切り出した。
「お?やるか?」
オオムカデンダルが意外そうに俺を見た。
「俺がバルログを倒せればプニーフタールは復活しない。俺が負けたら復活する。シンプルだ」
俺は死なない。
だが負ければ俺の蘇生に三ヶ月ほど掛かる。
その間にプニーフタールは復活するし、最悪の場合、俺が気が付いたら世界が終わっている可能性だってある。
「ふふふ、レオが勝つか負けるかがそのまま掛けになる訳か。面白い。良いだろう」
オオムカデンダルは嬉しそうに令子の意見を承諾した。
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