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六七三
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カッ
「!?」
女の鎧が割れた。
腹から脇腹に掛けて大きく裂け目が開く。
「まさか……藍眼鉱が!」
「俺の勝ちで良いだろ。それとも死ぬまでやるのか?」
「……」
女はすぐに返事を返せなかった。
「それで、アンタは誰なんだ」
「……私はカッパー王国の王女、サンドラ。そしてヴァルキリーでもある」
王女?
いや待て、ヴァルキリーだと?
嘘か?
冗談言っている場合なのか。
俺は頭の中が『?』で埋まった。
「王国の王女……?」
俺は一つづつ確かめる。
こんな所に王女自らやって来たと言うのか。
ミスリル銀山がどんな所か知らずに来たのか。
これだから育ちの良い世間知らずは。
「馬鹿にするな。知っている」
知っていて来たのか。
しかし、王女が自分で軍を率いて遠征してくるとは、お転婆が過ぎないか。
「お前はヴァルキリーを何だと思っているのだ」
それは……
「ヴァルキリーは神の為の尖兵となる魂をスカウトするのが仕事だ。戦場に赴くのが仕事なのだ。余計な心配は要らん」
そうだった。
自らも勇猛果敢な戦士だった筈だ。
しかし、まさか本物のヴァルキリーに対面する日が来ようとは。
ネオジョルトは何でも呼び寄せるな。
つまり何か、王女はヴァルキリーも副業でやってると。
逆か。
ヴァルキリーが副業で王女をやっているのか。
「たわけ。サンドラの体を間借りしているだけだ」
間借りって。
新解釈だな。
王女を安普請みたいに言いやがって。
「それで、我々をスカウトに来たなんて言うまいな」
「ふふ。話が早くて助かる」
冗談だろ。
死んで生き返って改造人間になって、また死んで甦ったら今度は神の尖兵だと。
伝記を書いたら教会が焚書にするだろうな。
待てよ。
ヴァルキリーと言えば、確か九条晃が言っていた残りのメンバーの一人じゃないか。
コイツがプニーフタールの……
突如、俺の中に怒りが呼び戻される。
夢物語みたいで思わずピンと来なかった。
プニーフタールに与する者は生かしてはおけない。
「プニーフタールに仕えているのだろう……」
自分でも判る。
声に怒気がこもっている。
「……ほう。知っていたか。そうか、アキラか」
ヴァルキリーが、合点がいったと目を見開いた。
「王女には申し訳無いが、お前をこのまま帰す訳にはいかない」
「?」
ヴァルキリーが小首をかしげる。
しらばっくれやがって。
「てっきり、アキラが出て来ると思っていたのだが……ヤツはどうした」
ヴァルキリーは呑気に九条晃の事を口にした。
「ヤツは今、お前たちの所に居るのだろう?知っているぞ」
「それで、裏切り者を消しに来たって訳か……」
そう言って俺は再び構えた。
「何を言っている……私は……」
「問答無用だ。悪魔に与する女神なぞ堕天使も同義。まさか仕えている神が『邪神』だったとはな。今度は俺たちをプニーフタールの尖兵にしようってのか。笑えんぜまったく」
「!?まて、お前は勘違いをしている」
「問答無用だと言った筈だ!覚悟しろ!」
俺は再びヴァルキリーに襲い掛かった。
「くっ!?」
ガキィッ!
俺のパンチを間一髪、鞘から半分だけ抜いた剣で受け止めた。
ぼきっ!
ただし、その剣は一撃で折れた。
「なんと……!」
ヴァルキリーが驚く。
今だ。
「!?」
女の鎧が割れた。
腹から脇腹に掛けて大きく裂け目が開く。
「まさか……藍眼鉱が!」
「俺の勝ちで良いだろ。それとも死ぬまでやるのか?」
「……」
女はすぐに返事を返せなかった。
「それで、アンタは誰なんだ」
「……私はカッパー王国の王女、サンドラ。そしてヴァルキリーでもある」
王女?
いや待て、ヴァルキリーだと?
嘘か?
冗談言っている場合なのか。
俺は頭の中が『?』で埋まった。
「王国の王女……?」
俺は一つづつ確かめる。
こんな所に王女自らやって来たと言うのか。
ミスリル銀山がどんな所か知らずに来たのか。
これだから育ちの良い世間知らずは。
「馬鹿にするな。知っている」
知っていて来たのか。
しかし、王女が自分で軍を率いて遠征してくるとは、お転婆が過ぎないか。
「お前はヴァルキリーを何だと思っているのだ」
それは……
「ヴァルキリーは神の為の尖兵となる魂をスカウトするのが仕事だ。戦場に赴くのが仕事なのだ。余計な心配は要らん」
そうだった。
自らも勇猛果敢な戦士だった筈だ。
しかし、まさか本物のヴァルキリーに対面する日が来ようとは。
ネオジョルトは何でも呼び寄せるな。
つまり何か、王女はヴァルキリーも副業でやってると。
逆か。
ヴァルキリーが副業で王女をやっているのか。
「たわけ。サンドラの体を間借りしているだけだ」
間借りって。
新解釈だな。
王女を安普請みたいに言いやがって。
「それで、我々をスカウトに来たなんて言うまいな」
「ふふ。話が早くて助かる」
冗談だろ。
死んで生き返って改造人間になって、また死んで甦ったら今度は神の尖兵だと。
伝記を書いたら教会が焚書にするだろうな。
待てよ。
ヴァルキリーと言えば、確か九条晃が言っていた残りのメンバーの一人じゃないか。
コイツがプニーフタールの……
突如、俺の中に怒りが呼び戻される。
夢物語みたいで思わずピンと来なかった。
プニーフタールに与する者は生かしてはおけない。
「プニーフタールに仕えているのだろう……」
自分でも判る。
声に怒気がこもっている。
「……ほう。知っていたか。そうか、アキラか」
ヴァルキリーが、合点がいったと目を見開いた。
「王女には申し訳無いが、お前をこのまま帰す訳にはいかない」
「?」
ヴァルキリーが小首をかしげる。
しらばっくれやがって。
「てっきり、アキラが出て来ると思っていたのだが……ヤツはどうした」
ヴァルキリーは呑気に九条晃の事を口にした。
「ヤツは今、お前たちの所に居るのだろう?知っているぞ」
「それで、裏切り者を消しに来たって訳か……」
そう言って俺は再び構えた。
「何を言っている……私は……」
「問答無用だ。悪魔に与する女神なぞ堕天使も同義。まさか仕えている神が『邪神』だったとはな。今度は俺たちをプニーフタールの尖兵にしようってのか。笑えんぜまったく」
「!?まて、お前は勘違いをしている」
「問答無用だと言った筈だ!覚悟しろ!」
俺は再びヴァルキリーに襲い掛かった。
「くっ!?」
ガキィッ!
俺のパンチを間一髪、鞘から半分だけ抜いた剣で受け止めた。
ぼきっ!
ただし、その剣は一撃で折れた。
「なんと……!」
ヴァルキリーが驚く。
今だ。
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