見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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六五九

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「親にとって子はいつまで経っても子だろうが、子はいつまでも幼いままでは無い。産み出したのが仮に神だとしても、いつまでも干渉されてたまるかよ」

 オオムカデンダルがまっすぐに俺を見た。

「この世界を見てみろ。神が親らしい事をしているか?酷い世界だよまったく。いや……どの世界もこんな物かもしれないが……」

 そう言ってオオムカデンダルは小さくため息を吐いた。

「……ま、泣き言を言っても始まらんからな。だったら人間が何とかするしかあるまい」

「それがネオジョルトなんだね!」

 ルガが嬉しそうに言った。

「新入りなのに判っているじゃないか。どっかの行動隊長にも教えてやってくれ。アイツは繊細過ぎていかん」

 何だよ。
俺の事かよ。
これが普通の人間の反応だとは思うが。

「良いだろう。別に今すぐプニーフタールを殺せる訳でもあるまい。だが、利用したらプニーフタールは必ず殺す」

 オオムカデンダルがそう言った。
何だ。
一応俺に気を使っているのか。

「部下の悲願だからな。上司として叶えてやらん訳にはいかんだろ」

 それを聞いて晃が笑った。

「お前がそんなに部下思いのヤツだったとはな」

「失礼な事を言うな。お前たちが勝手に俺たちを極悪人だと決めつけていただけだろう」

「……重要施設を破壊したり、国の重要人物を拉致したり、殺害したり……十分に極悪非道だと思うが?」

 そんな事をしていたのか。
極悪非道じゃないか。

 ……でもまあ、秘密結社だしな。
俺はなんとなく納得した。

「じゃあせめてアジトを知りたい。プニーフタールは最後に取っておいてやる。だが、それを阻む残りのヤツラは排除しておかなければ」

 俺は晃に尋ねた。

「ふむ……」

 晃が少し考えた。

「それは構わんが、そう簡単ではないぞ」

 確かにそうだろうが、俺も強くなっている。
やらないと言う選択肢は無い。

「特に残った、リッチ、バルログ辺りは俺でも勝てん」

「お前でも勝てないのか?」

 ガイが驚いて話に入ってきた。

「単純な力比べでは勝ち目は無い」

 そんなにか。
オオムカデンダルでさえ、ベクターシードの戦闘力は評価していた。
それよりも強いのか。

 リッチの事は知っている。
晃と同じく不老不死を獲て、無限に知識を蓄えた魔導士がリッチだ。
禁忌の術を幾つも身に付け、生身の魔導士では到達できない高みに至った究極の魔法職である。
レベルの低い者は目が合っただけで命を亡くすと言われる危険な存在。

 バルログも以前少しだけ話を聞いた。
エルフ語で『ヴァララウカール』と呼ばれる悪鬼だ。
 暴力を体現したような余りの強さに、ドラゴンでしかバルログを倒す事は出来ないと言われているらしい。

「ビビるなよ」

 オオムカデンダルが言う。

「ドラゴンなら勝てるんだろ?だったらドラゴンより強ければ勝てるって事だ。問題ない」

 オオムカデンダルがうそぶく。
相変わらずの自信の塊だな。
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