見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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六一七

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「アキラをどうするつもりだ!」

 ガイがオオムカデンダルに詰め寄る。
敵の懐の中でよくやる。
その瞬間、メタルシェルがガクンと揺れた。
四人に動揺が広がった。

「な、なんだ……!?」

「ただの気圧の変化だ。騒ぐなよ」

 オオムカデンダルが変身を解いてそう言った。
見ればフィエステリアームも普段の姿に戻っている。
何だか恥ずかしいから俺も戻っておこう。

「お前らもそれ、取れば?」

 オオムカデンダルが、ふふっと笑いながら言った。
無茶言うな。
敵のど真ん中で武装解除出来る訳が無い。

「うるさい!俺の質問に答えろ!」

 ガイが声を一段大きくした。
コイツ、こんな感じの奴だったか?
まあ一度パーティーを組んだだけだから、俺もハッキリと覚えている訳では無いが。

「別にどうもしない。まだ聞きたい事があるだけだ」

「聞きたい事?もう亡くなっている。亡骸を渡せ」

「お前らに?なんで?」

「な、なんでだと?むしろ貴様らがなんでアキラの亡骸が要るんだ!」

「聞きたい事があるからだと言っただろ?記憶力に問題でもあるのか?」

 遊ばれてるな。
俺はガイを見ながら思った。
それは普段、蜻蛉洲の役目だ。

「く……!貴様……大人しくしていればいい気になりやがって!」

「俺を倒したら墜落するが、それでも良いのか?」

「な、なに!?」

「ははっ、心配するな。お前らには俺を倒せないから安心しろ」

 突っ掛かれば突っ掛かるだけ、おちょくられるのがオチだ。
黙っていれば良いものを。

「……アキラとまだ話が出来ると言うの?」

 ディーレがオオムカデンダルに尋ねた。

「たぶんな」

「たぶん?」

「なにぶんもう死んでいる。話せるかどうかは晃次第だ」

 ディーレは少し沈黙してから口を開いた。

「良く判らないけど、まだ諦めるには早いって事で良いのかしら」

「まあ、だいたいそれで問題ない」

「判ったわ。ここはアナタに任せる」

 ガイが慌てた。

「お、おい。コイツの言う事を信じるのか?」

「どうせ私たちには、このままアキラを見送る事しか出来ないわ。だったら少し任せてみましょう」

「……出来なかったら?」

 ガイがディーレを直視する。

「その時は……力ずくで取り返すまでよ」

 まあ、それがまず無理なんだがな。
アジトに行けば蜻蛉洲も令子も居る。
サルバスもカルタスも、オレコも居る。
だが一番怖いのはたぶん管理人だ。
話がややこしくなるから、黙っていよう。

「そろそろ着くぞ」

 オオムカデンダルが言った。

「え?もう?」

 四人は驚いて窓の外を見る。

「本当だ……ミスリル銀山だ」

「と言うか飛んでいるな……」

 ルガとバルバが口々に呟く。

 本当に招き入れる気か。
どうする気なんだ。
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