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五五五
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「……」
プニーフタールは何も言わない。
まさか、今ので決着が着いたのか。
「フィエステリアーム!遊ぶな、早くしろ!」
蜻蛉洲が叫ぶ。
蜻蛉洲にしては珍しく余裕が無いな。
「判った」
フィエステリアームは大人しく蜻蛉洲に従う。
遂に撒くのか。
俺は緊張した。
オオムカデンダルたちが恐れるフィエステリアームの毒。
たかが毒くらいでと思わなくも無い。
どんな攻撃を食らってもびくともしない連中が、フィエステリアームの毒は危険だと言う。
いったいどれほど危険な物なのか。
「もっと離れてろ」
オオムカデンダルは位置を気にしながら、ライエルを掴まえて遠くに放り投げた。
「うおっ!?」
ライエルは驚きの声をあげながら、放物線を描いて飛んだ。
離れていたのにまだ近いと言うのか。
フィエステリアームは何もしていない。
ただ立っているように見える。
なんだ。
毒を撒かないのか?
俺は不思議に思ったが、すぐに気が付いた。
フィエステリアームの足下の草が、赤く枯れている。
それがフィエステリアームを中心に、円を描くように拡がっているのが判る。
もう始まっている。
俺はドキッとした。
音も色も匂いも無い。
知らない間にもう攻撃は始まっているのだ。
しかも見たことも無いほど速効性だ。
植物が一瞬で枯れるなど、見たことも聞いたことも無い。
草は赤茶色になり、一瞬で枯れた。
しかもそれだけでは無い。
石や土も白く変色している。
枯れた草花は枯れた後、泡状になってグズグズに溶けた。
ホンの数秒の後に、フィエステリアームの周りには何も無くなった。
文字通り、草木一本残っていない。
これが、フィエステリアームの毒。
無機物である筈の石や土にまで、何らかの影響を及ぼしている。
「……触るなよ。お前も分解されるぞ」
蜻蛉洲が俺に向かって言った。
心なしか蜻蛉洲もわずかに後ろへ後ずさっていた。
ここまで半径数十メートル。
しかも屋外だ。
それでも危険か。
「……!?」
プニーフタールが何かを察知した。
明らかに挙動がおかしい。
「ム!ググッ……!」
妙な声をあげてプニーフタールが震え出す。
効いているのか。
「ナンダ コレハ……」
よく見ると、プニーフタールの体表に小さな泡が発生している。
それが現れては消えを繰り返していて、まるで油で肉を揚げたような状況に見えた。
「細胞が破壊と再生を繰り返している……」
蜻蛉洲が呟く。
プニーフタールの体表が毒によって破壊され、そのそばから新しい肉体が再生されている。
破壊と再生がせめぎ合っている。
これはウロコフネタマイトの消化液が、プニーフタールを消化するスピードよりも格段に速い。
「……溶かしているのでは無い。細胞を殺しているからな。プニーフタール本体にも直接影響がある。奴の体の中は今大忙しだろうな」
蜻蛉洲は難しい顔でそう言った。
プニーフタールは何も言わない。
まさか、今ので決着が着いたのか。
「フィエステリアーム!遊ぶな、早くしろ!」
蜻蛉洲が叫ぶ。
蜻蛉洲にしては珍しく余裕が無いな。
「判った」
フィエステリアームは大人しく蜻蛉洲に従う。
遂に撒くのか。
俺は緊張した。
オオムカデンダルたちが恐れるフィエステリアームの毒。
たかが毒くらいでと思わなくも無い。
どんな攻撃を食らってもびくともしない連中が、フィエステリアームの毒は危険だと言う。
いったいどれほど危険な物なのか。
「もっと離れてろ」
オオムカデンダルは位置を気にしながら、ライエルを掴まえて遠くに放り投げた。
「うおっ!?」
ライエルは驚きの声をあげながら、放物線を描いて飛んだ。
離れていたのにまだ近いと言うのか。
フィエステリアームは何もしていない。
ただ立っているように見える。
なんだ。
毒を撒かないのか?
俺は不思議に思ったが、すぐに気が付いた。
フィエステリアームの足下の草が、赤く枯れている。
それがフィエステリアームを中心に、円を描くように拡がっているのが判る。
もう始まっている。
俺はドキッとした。
音も色も匂いも無い。
知らない間にもう攻撃は始まっているのだ。
しかも見たことも無いほど速効性だ。
植物が一瞬で枯れるなど、見たことも聞いたことも無い。
草は赤茶色になり、一瞬で枯れた。
しかもそれだけでは無い。
石や土も白く変色している。
枯れた草花は枯れた後、泡状になってグズグズに溶けた。
ホンの数秒の後に、フィエステリアームの周りには何も無くなった。
文字通り、草木一本残っていない。
これが、フィエステリアームの毒。
無機物である筈の石や土にまで、何らかの影響を及ぼしている。
「……触るなよ。お前も分解されるぞ」
蜻蛉洲が俺に向かって言った。
心なしか蜻蛉洲もわずかに後ろへ後ずさっていた。
ここまで半径数十メートル。
しかも屋外だ。
それでも危険か。
「……!?」
プニーフタールが何かを察知した。
明らかに挙動がおかしい。
「ム!ググッ……!」
妙な声をあげてプニーフタールが震え出す。
効いているのか。
「ナンダ コレハ……」
よく見ると、プニーフタールの体表に小さな泡が発生している。
それが現れては消えを繰り返していて、まるで油で肉を揚げたような状況に見えた。
「細胞が破壊と再生を繰り返している……」
蜻蛉洲が呟く。
プニーフタールの体表が毒によって破壊され、そのそばから新しい肉体が再生されている。
破壊と再生がせめぎ合っている。
これはウロコフネタマイトの消化液が、プニーフタールを消化するスピードよりも格段に速い。
「……溶かしているのでは無い。細胞を殺しているからな。プニーフタール本体にも直接影響がある。奴の体の中は今大忙しだろうな」
蜻蛉洲は難しい顔でそう言った。
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