見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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五四八

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 くそ、こんな時に俺は動けないのか。
俺は自分の状況を恨んだ。

「斬っても焼いても駄目となると……」

「貴様、魔法は?」

 ライエルが尋ねた。

「あん?魔法なんか使えるかよ。あんな非常識なモン」

「……俺にはお前の方が非常識に思えるがな」

 ライエルが呆れたように言った。

「そうか……魔法か」

 オオムカデンダルは思い出したように管理人を呼び出した。

「おい、じいちゃんを出してくれ」

 サルバスを呼び出している。

「おお、じいちゃん。魔法効かないかな?そう、プニーフタールだ。いや、違う指だよ指」

 なるほど。
魔法なら有効な対抗策が有るかもしれない。
サルバスは賢者だ。
この世界の知識で、彼に勝る者は居ない。

「は?……うん。じゃあどうするんだよ……それはどうやってやるんだ?」

 オオムカデンダルはプニーフタールを相手にしながら通信を続けている。
何だかあまり良い反応では無さそうだ。

「無茶言うなよ。俺に魔法は無理だ。もっと科学的な方法で言ってくれ」

 それこそ無理と言う物だろう。
サルバスは賢者だが、科学なんて言うこの世界の常識に無い物を言われてもさすがに判るまい。

「ん?……なんだ蜻蛉洲か。うん?ああ。なるほどねぇ。けどよ……被害がデカいんじゃないのか?」

 なんだ。
何か妙案でも出たか。

「……判った。早くしろよ」

 そう言って通信は終わったようだった。

「おい、しばらく時間稼ぎだ」

「……何か良い案でもあるのか」

 ライエルがプニーフタールの舌を打ち返しながら言った。
剣で斬れない以上、ライエルは剣を鞘に収めたまま『斬らない』ように戦っている。

「仲間が来る。だが、あんまり良い案かどうかは判らんがな。効果も未知数だ、期待はするな」

「なんだ。頼りないな」

「……うるせえ」

 二人はそう言ってから、しばらくプニーフタールと戦った。
オオムカデンダルは本体と、ライエルは舌と。
オオムカデンダルはその間も色々と試していたが、有効打は無かった。

 そもそも物理的な攻撃が効いていない。
斬っても駄目なら当然貫いても駄目だし、焼いても駄目なら炎系、爆発系は全て駄目だろう。

 後はなんだ。
何が出来る。
風の魔法はほとんどが切断系だ。
土の魔法は物理的な攻撃だし、後は水とか氷とか、雷か。

 俺はそんな事を思いながら二人の戦いを眺めていた。

「おい、迎えはまだなのか?」

 カルタスが俺を引きずりながら言った。

「くそ。重てえな、お前はよ」

 済まんな、改造人間だからな。

 その時だった。
頭上にメタルシェルが到着した。
来たか。

 メタルシェルがゆっくりと着陸する。

「あら、大変。生きているかしら」

 令子が降りてきて俺を覗きこんだ。
後ろから蜻蛉洲とフィエステリアームの姿も現れ、最後にサルバスまで現れた。
なんだ、全員来たのか。
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