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四九八
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店を出て、やっと現場に向かう。
俺たちは下見を兼ねて辺りを散策した。
城門前の大通りは人目につく。
俺たちはそれを避けて、一本入った裏通りを歩いた。
「この辺りが城門の正面辺りね」
オレコが言った。
「なら、もう少し行った辺りがベストだな。少し斜めから城門を狙える」
カルタスが答える。
「じゃあアタシはこっち。アンタは反対側の同じ位置に段取りして」
「判った」
オレコとカルタスは互いに位置を確認しあった。
カルタスはカルタスソードで砲撃を加えるつもりだ。
オレコはさっき買ったばかりの矢を、弓で射かける。
「アナタはどうするの?」
オレコが俺に尋ねた。
「俺はこの辺りで待機する。奴らが出てきたら仕掛けるから、そうしたら攻撃を始めてくれ。合図はテクノセクトでする」
俺は自分の肩にセクトビートルを乗せた。
オレコもセクトパピヨンを胸に止まらせる。
カルタスはセクトホッパーを肩に置いたが、ホッパーはピョンと跳ねるとカルタスの頭に乗った。
「……なんだコイツ」
カルタスが頭の上のホッパーを見上げる。
当然自分では見えないが。
「まあ、どこでも問題ない。ホッパーはお前の頭の上が良いと判断したんだろ」
俺は笑いを殺して、そう言った。
「じゃあ、アタシはそろそろ準備に入るわね」
オレコはそう言うと、目星をつけた家の屋根によじ登る。
二階建ての民家の屋根に陣取ると、オレコは煙突の陰に身を潜めた。
下からカルタスが矢筒を次々に上へと投げる。
オレコはそれをキャッチして、自分の周りに並べていった。
それから巨大弓を取り出すと、玄の張りを確認する。
「じゃあ俺たちは、あっちの屋根に陣取るか」
カルタスは矢筒を全部投げ終わると、今度は自分の場所へ、トラゴスと歩いて行った。
俺は路地から正面の城門を覗き見る。
まだ何の動きも無い。
今夜は徹夜だ。
奴らが奇襲を掛けるとすれば、深夜か早朝だ。
それまでは結構時間がある。
とは言え、それはあくまでも予想である。
予想に反して突然奴らが動き出さない確証は無い。
だから、いつでも仕掛けられるように、今からスタンバイするのだ。
俺は路地裏の壁に寄りかかって、じっと城門を見つめた。
オレコもカルタスも一切通信は無く、彼らもまた、じっと静かにその時を待った。
いつの間にか陽は消えかかっていた。
地平線に沈み行く太陽が、あとわずかで完全に姿を消す。
家々の窓から明かりが漏れはじめている。
どこからとも無く、良い匂いが辺りにたちこめた。
どの家からも旨そうな匂いが漂ってくる。
「夕飯時か……」
俺は誰にともなく呟いた。
「おい!出てくるぞ!」
突然、カルタスの声がセクトビートルから聞こえた。
なんだと!
予想よりもずいぶん早いじゃないか。
俺は慌てて城門を見る。
確かに、ゆっくりと跳ね橋が降りるのが見えた。
俺たちは下見を兼ねて辺りを散策した。
城門前の大通りは人目につく。
俺たちはそれを避けて、一本入った裏通りを歩いた。
「この辺りが城門の正面辺りね」
オレコが言った。
「なら、もう少し行った辺りがベストだな。少し斜めから城門を狙える」
カルタスが答える。
「じゃあアタシはこっち。アンタは反対側の同じ位置に段取りして」
「判った」
オレコとカルタスは互いに位置を確認しあった。
カルタスはカルタスソードで砲撃を加えるつもりだ。
オレコはさっき買ったばかりの矢を、弓で射かける。
「アナタはどうするの?」
オレコが俺に尋ねた。
「俺はこの辺りで待機する。奴らが出てきたら仕掛けるから、そうしたら攻撃を始めてくれ。合図はテクノセクトでする」
俺は自分の肩にセクトビートルを乗せた。
オレコもセクトパピヨンを胸に止まらせる。
カルタスはセクトホッパーを肩に置いたが、ホッパーはピョンと跳ねるとカルタスの頭に乗った。
「……なんだコイツ」
カルタスが頭の上のホッパーを見上げる。
当然自分では見えないが。
「まあ、どこでも問題ない。ホッパーはお前の頭の上が良いと判断したんだろ」
俺は笑いを殺して、そう言った。
「じゃあ、アタシはそろそろ準備に入るわね」
オレコはそう言うと、目星をつけた家の屋根によじ登る。
二階建ての民家の屋根に陣取ると、オレコは煙突の陰に身を潜めた。
下からカルタスが矢筒を次々に上へと投げる。
オレコはそれをキャッチして、自分の周りに並べていった。
それから巨大弓を取り出すと、玄の張りを確認する。
「じゃあ俺たちは、あっちの屋根に陣取るか」
カルタスは矢筒を全部投げ終わると、今度は自分の場所へ、トラゴスと歩いて行った。
俺は路地から正面の城門を覗き見る。
まだ何の動きも無い。
今夜は徹夜だ。
奴らが奇襲を掛けるとすれば、深夜か早朝だ。
それまでは結構時間がある。
とは言え、それはあくまでも予想である。
予想に反して突然奴らが動き出さない確証は無い。
だから、いつでも仕掛けられるように、今からスタンバイするのだ。
俺は路地裏の壁に寄りかかって、じっと城門を見つめた。
オレコもカルタスも一切通信は無く、彼らもまた、じっと静かにその時を待った。
いつの間にか陽は消えかかっていた。
地平線に沈み行く太陽が、あとわずかで完全に姿を消す。
家々の窓から明かりが漏れはじめている。
どこからとも無く、良い匂いが辺りにたちこめた。
どの家からも旨そうな匂いが漂ってくる。
「夕飯時か……」
俺は誰にともなく呟いた。
「おい!出てくるぞ!」
突然、カルタスの声がセクトビートルから聞こえた。
なんだと!
予想よりもずいぶん早いじゃないか。
俺は慌てて城門を見る。
確かに、ゆっくりと跳ね橋が降りるのが見えた。
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