見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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四八八

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 人々の不安を解消してやる。
それから的確に指示を与える。
不安から解放された人の心は、矢継ぎ早に出される的確な指示に、安心と満足感を感じる。
目的と希望を提示し、誇りを持たせる。
その為のサポートを約束する。

 こうして人心を掌握するのか。
俺はオオムカデンダルのやり方を、一歩退いて見ていた。
このやり方は、まるで反乱軍を育てるやり方に見える。
帝国内に内部紛争の火種を起こしているのだ。

 ただ一つ違うのは、煽るだけでは無く自らの勢力に取り込もうとしている所だろう。
つまり、ネオジョルトの外郭組織として、ネオジョルトを拡大しようとしているのだ。

 しかしそうは言っても、ただの民衆を戦闘員にしても、それほど戦力になるとは思えなかった。

「そうでもない」

 蜻蛉洲が言った。

「例えばだ、町一つが特定の組織だったらどう思うか?普段は普通の人々だ。だが、全員が裏で一つの目的の下に繋がっている。ある者は大工、ある者は普通の主婦、またある者は床屋や、料理人だ」

 今一つピンと来ないな。

「お前、軍の兵士に戦闘以外何が出来ると思う?」

 それは。
思い付かない。
人並みにあれこれやるだろうが、専門が兵士なら戦闘が一番得意なんだろう。

「兵士に民衆が戦闘で勝てると思うか?」

 それは無理だ。

「じゃあ戦闘以外の戦いを考えた方が良い。住民が丸ごと戦闘員なら、様々なプロが手に入る」

 戦闘以外の戦闘と言うのが俺にはどうにも理解できなかった。

「まあ、判らんでも問題ない。それに我らの科学力を以てすれば、彼らに一定の戦闘力をもたらす事は容易だからな」

 そう言って蜻蛉洲はニヤリと笑った。
こう言う蜻蛉洲は怖いな。

「戦闘員希望者は、明後日またここに来い。早速指導する。ああ、それと明日はあのヘタレ将軍がまた来るだろうからな。一応、心の準備はしておけよ」

 オオムカデンダルがそう言ってこちらへ歩いて来た。

「何の話だ?」

 オオムカデンダルが言いながら俺の顔と蜻蛉洲の顔を見比べた。

「レオ殿」

 突然背後から声がした。
振り向くと男が一人立っている。
誰だ?

「ソル殿下がお会いになりたいと申しておられます。是非ご一緒に来て頂きたい」

 ソル皇子が?
この出来事と関係のある話か。

「あー、悪いがレオは今忙しい。またにしてくれよな」

 オオムカデンダルが会話に入ってきた。

「貴方様はオオムカデンダル殿ですな」

「よく知ってるな。辞典に載ってたか?」

「ご冗談を……」

 使いの男はそう言ってオオムカデンダルから目を反らした。
オオムカデンダルを怖いと感じているようだ。

「しかし、是非来てもらわなければなりません。どうかお願い致します」

「駄目だ。お前が来いと伝えろ」

 使いの者は驚いてオオムカデンダルを見た。
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