479 / 826
四七九
しおりを挟む
「見せてみるがいい。どの程度の物なのかを」
バーデンが挑発する。
良いだろう。
どの道、やらなければならないのだ。
「シッ!」
俺は短く息を吐くと同時に踏み込んだ。
馬の両前脚を揃えて蹴った。
ゴッ!
鈍い音を経てて、馬の両前脚が真横に滑る。
そのまま体勢を崩して馬は横倒しに倒れ込んだ。
「ぬぅ?」
バーデンは素早く馬の転倒を察して、馬上から飛び降りた。
どうっ!
鈍い音を経てて馬が地面に横たわる。
それを挟んで俺とバーデンが対峙する。
「これは……さっきまでとは違うな」
バーデンは興味深そうに俺を視線で舐め回す。
気味の悪いヤツだが、倒してしまえば関係無い。
構わず攻勢を維持する。
「サフィリナックスヒューイット!」
手首の装甲の隙間が開くと、そこから触手が伸びる。
ヒュンヒュンヒュンヒュン
俺は触手をムチのように振り回すと、隙を狙ってバーデンを打つ。
「ふふふ。知っているぞ。猛毒のムチなのだろう?当たったら即死だそうだな?」
そんな事まで知っているのか。
事前の下調べは念入りに行ったようだな。
些細な情報まで良く集めている。
「実に興味深いな。他にももっと見せてみるがいい」
バーデンが攻撃を避けながら言う。
その口もとは笑っている。
この野郎。
俺の攻撃をこれだけかわし続けるだけでも、将軍の戦闘能力がうかがい知れる。
触れただけでも死ぬと判っている攻撃を、これだけかわし続けるのは並大抵の精神力ではない。
「サフィリナックスブレード!」
今度は格闘戦を挑んでみるか。
俺の両腕と両足に、光の線が浮かび上がる。
「とあっ!」
一気に距離を詰めて手刀を放つ。
「む」
バーデンはそれを察知して身をかわした。
マントが翻る。
マントの下には将軍が身に付けている、藍眼鉱の鎧が見えた。
厄介だな。
将軍だけでも手を焼くのに、まだ兵士はほとんどそのまま残っている。
今はこの地形のお陰で何とかなっているが、これが平原のような場所なら状況はもっと厳しかった筈だ。
「その手足は触れると斬れるのだったな?危ない危ない」
バーデンが目を細めて言った。
これもバレている。
いや、どうせ一度使えば知られるのだ。
その程度は問題ない。
ただ、最初から警戒されていては、初撃はなかなか決まらないだろう。
俺は構わず攻め立てた。
左右の手刀を連続で繰り出していく。
バーデンは初めて剣を抜いて、これを受け止めた。
ガキィン!
「ふむ。藍眼鉱の剣なら受け止められるな」
バーデンが確認するように言う。
「ち……っ!」
俺は舌打ちした。
さすがは藍眼鉱と言うしかない。
ミスリル銀と並んで希少とされるだけの事はある。
藍眼鉱は藍眼鉱でしか加工できない。
その為に大量の藍眼鉱を消費する。
研磨するのに必要なのだ。
その為に藍眼鉱の装備類は、価格が青天井である。
バーデンが挑発する。
良いだろう。
どの道、やらなければならないのだ。
「シッ!」
俺は短く息を吐くと同時に踏み込んだ。
馬の両前脚を揃えて蹴った。
ゴッ!
鈍い音を経てて、馬の両前脚が真横に滑る。
そのまま体勢を崩して馬は横倒しに倒れ込んだ。
「ぬぅ?」
バーデンは素早く馬の転倒を察して、馬上から飛び降りた。
どうっ!
鈍い音を経てて馬が地面に横たわる。
それを挟んで俺とバーデンが対峙する。
「これは……さっきまでとは違うな」
バーデンは興味深そうに俺を視線で舐め回す。
気味の悪いヤツだが、倒してしまえば関係無い。
構わず攻勢を維持する。
「サフィリナックスヒューイット!」
手首の装甲の隙間が開くと、そこから触手が伸びる。
ヒュンヒュンヒュンヒュン
俺は触手をムチのように振り回すと、隙を狙ってバーデンを打つ。
「ふふふ。知っているぞ。猛毒のムチなのだろう?当たったら即死だそうだな?」
そんな事まで知っているのか。
事前の下調べは念入りに行ったようだな。
些細な情報まで良く集めている。
「実に興味深いな。他にももっと見せてみるがいい」
バーデンが攻撃を避けながら言う。
その口もとは笑っている。
この野郎。
俺の攻撃をこれだけかわし続けるだけでも、将軍の戦闘能力がうかがい知れる。
触れただけでも死ぬと判っている攻撃を、これだけかわし続けるのは並大抵の精神力ではない。
「サフィリナックスブレード!」
今度は格闘戦を挑んでみるか。
俺の両腕と両足に、光の線が浮かび上がる。
「とあっ!」
一気に距離を詰めて手刀を放つ。
「む」
バーデンはそれを察知して身をかわした。
マントが翻る。
マントの下には将軍が身に付けている、藍眼鉱の鎧が見えた。
厄介だな。
将軍だけでも手を焼くのに、まだ兵士はほとんどそのまま残っている。
今はこの地形のお陰で何とかなっているが、これが平原のような場所なら状況はもっと厳しかった筈だ。
「その手足は触れると斬れるのだったな?危ない危ない」
バーデンが目を細めて言った。
これもバレている。
いや、どうせ一度使えば知られるのだ。
その程度は問題ない。
ただ、最初から警戒されていては、初撃はなかなか決まらないだろう。
俺は構わず攻め立てた。
左右の手刀を連続で繰り出していく。
バーデンは初めて剣を抜いて、これを受け止めた。
ガキィン!
「ふむ。藍眼鉱の剣なら受け止められるな」
バーデンが確認するように言う。
「ち……っ!」
俺は舌打ちした。
さすがは藍眼鉱と言うしかない。
ミスリル銀と並んで希少とされるだけの事はある。
藍眼鉱は藍眼鉱でしか加工できない。
その為に大量の藍眼鉱を消費する。
研磨するのに必要なのだ。
その為に藍眼鉱の装備類は、価格が青天井である。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
週末は迷宮探検
魔法組
ファンタジー
『週末は冒険者』から改題。 神代聖は、普段はアル大陸ファンタジウム王国に暮らすごく普通の女子高校生だけれど。週末になると仲間たちと共に邪竜の地下迷宮にともぐり、魔物と戦い冒険を繰り広げるという週末冒険者なのだ!
職業はレベル四の僧侶と、まだまだ未熟者で半人前だけれど。こう見えてもちょっとは名前の知られたパーティー『スカイ5』のサブリーダーとして時には防御に、時には治療に、また時には肉弾戦にと日夜頑張っているのだった。
だけどリーダーである脳筋朴念仁侍の砂川賢悟や、パーティー仲間の毒舌キショメン魔法使い、吉田敦也には色々苦労と面倒をかけられっぱなし。
冒険者アドバイザーとしてパーティーに参加してくれている、元・本職冒険者の戦士、熊さんこと熊谷雄一さんがことあるごとにフォローしてくれるからまだなんとかなっているけれど。
そんな聖の冒険中の癒しは、絵に描いたようなショタ系美少年である、召喚士の八島愁貴。
年下美少年大好きの聖はことあるごとに愁貴にアピールして、なんとかモノにしてやろうと……もとい、優しく可愛がってあげようとしているのだが。空気の読めない賢悟や敦也に、いつもいつも邪魔されてしまう。
そんな頼りになるような、ならないようないつもの仲間たちと共に、今週もまったりと冒険を楽しむはずの聖だったけれど。一匹狼の盗賊少女、芹沼小夢と出会ったことがきっかけで、とんでもない事件に巻きこまれることになる。
どうやらこの少女、なにか秘密があるようなのだけど……?
剣と魔法と魔物と迷宮がいっぱいの正統派(?)、ウィザードリィー風ファンタジー小説。
転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい
高木コン
ファンタジー
第一巻が発売されました!
レンタル実装されました。
初めて読もうとしてくれている方、読み返そうとしてくれている方、大変お待たせ致しました。
書籍化にあたり、内容に一部齟齬が生じておりますことをご了承ください。
改題で〝で〟が取れたとお知らせしましたが、さらに改題となりました。
〝で〟は抜かれたまま、〝お詫びチートで〟と〝転生幼女は〟が入れ替わっております。
初期:【お詫びチートで転生幼女は異世界でごーいんぐまいうぇい】
↓
旧:【お詫びチートで転生幼女は異世界ごーいんぐまいうぇい】
↓
最新:【転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい】
読者の皆様、混乱させてしまい大変申し訳ありません。
✂︎- - - - - - - -キリトリ- - - - - - - - - - -
――神様達の見栄の張り合いに巻き込まれて異世界へ
どっちが仕事出来るとかどうでもいい!
お詫びにいっぱいチートを貰ってオタクの夢溢れる異世界で楽しむことに。
グータラ三十路干物女から幼女へ転生。
だが目覚めた時状況がおかしい!。
神に会ったなんて記憶はないし、場所は……「森!?」
記憶を取り戻しチート使いつつ権力は拒否!(希望)
過保護な周りに見守られ、お世話されたりしてあげたり……
自ら面倒事に突っ込んでいったり、巻き込まれたり、流されたりといろいろやらかしつつも我が道をひた走る!
異世界で好きに生きていいと神様達から言質ももらい、冒険者を楽しみながらごーいんぐまいうぇい!
____________________
1/6 hotに取り上げて頂きました!
ありがとうございます!
*お知らせは近況ボードにて。
*第一部完結済み。
異世界あるあるのよく有るチート物です。
携帯で書いていて、作者も携帯でヨコ読みで見ているため、改行など読みやすくするために頻繁に使っています。
逆に読みにくかったらごめんなさい。
ストーリーはゆっくりめです。
温かい目で見守っていただけると嬉しいです。
さようなら、家族の皆さま~不要だと捨てられた妻は、精霊王の愛し子でした~
みなと
ファンタジー
目が覚めた私は、ぼんやりする頭で考えた。
生まれた息子は乳母と義母、父親である夫には懐いている。私のことは、無関心。むしろ馬鹿にする対象でしかない。
夫は、私の実家の資産にしか興味は無い。
なら、私は何に興味を持てばいいのかしら。
きっと、私が生きているのが邪魔な人がいるんでしょうね。
お生憎様、死んでやるつもりなんてないの。
やっと、私は『私』をやり直せる。
死の淵から舞い戻った私は、遅ればせながら『自分』をやり直して楽しく生きていきましょう。
【リクエスト作品】邪神のしもべ 異世界での守護神に邪神を選びました…だって俺には凄く気高く綺麗に見えたから!
石のやっさん
ファンタジー
主人公の黒木瞳(男)は小さい頃に事故に遭い精神障害をおこす。
その障害は『美醜逆転』ではなく『美恐逆転』という物。
一般人から見て恐怖するものや、悍ましいものが美しく見え、美しいものが醜く見えるという物だった。
幼い頃には通院をしていたが、結局それは治らず…今では周りに言わずに、1人で抱えて生活していた。
そんな辛い日々の中教室が光り輝き、クラス全員が異世界転移に巻き込まれた。
白い空間に声が流れる。
『我が名はティオス…別世界に置いて創造神と呼ばれる存在である。お前達は、異世界ブリエールの者の召喚呪文によって呼ばれた者である』
話を聞けば、異世界に召喚された俺達に神々が祝福をくれると言う。
幾つもの神を見ていくなか、黒木は、誰もが近寄りさえしない女神に目がいった。
金髪の美しくまるで誰も彼女の魅力には敵わない。
そう言い切れるほど美しい存在…
彼女こそが邪神エグソーダス。
災いと不幸をもたらす女神だった。
今回の作品は『邪神』『美醜逆転』その二つのリクエストから書き始めました。
異世界でゆるゆる生活を満喫す
葉月ゆな
ファンタジー
辺境伯家の三男坊。数か月前の高熱で前世は日本人だったこと、社会人でブラック企業に勤めていたことを思い出す。どうして亡くなったのかは記憶にない。ただもう前世のように働いて働いて夢も希望もなかった日々は送らない。
もふもふと魔法の世界で楽しく生きる、この生活を絶対死守するのだと誓っている。
家族に助けられ、面倒ごとは優秀な他人に任せる主人公。でも頼られるといやとはいえない。
ざまぁや成り上がりはなく、思いつくままに好きに行動する日常生活ゆるゆるファンタジーライフのご都合主義です。
探偵災害 悪性令嬢と怪人たちのギリギリな日常と暗躍
鳥木木鳥
ファンタジー
探偵は間違えない。怪人は間違い続ける。
「名探偵」彼方より降臨し、旧き神々を葬り、新世界を生み出した存在。神のように災害のように、世界を変容させる者。
「怪人」異形へ変じ、異能を操る存在。神に仇なす者。
これは名探偵配下の探偵であり、同時に怪人たちを束ねる組織の首魁である「悪性令嬢」芦間ヒフミと配下の怪人たちによる「探偵殺し」の物語。
「カクヨム」様及び「小説家になろう」様の方にも掲載しております。
秘密集会
櫂 牡丹
SF
ソラは兄が幹部を務める秘密結社ニアーの集会に初参加した。ニアーの目的は支配階級である『ヤツら』へのクーデターである。そこで聞かされた地球の真の歴史はソラにとって驚くべきものだった。▼ショートショートです。空き時間にお気軽に読んで頂きたいお話です♪全2話
収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい
三園 七詩
ファンタジー
旧題:収容所生まれの転生幼女は囚人達に溺愛されてますので幸せです
無実の罪で幽閉されたメアリーから生まれた子供は不幸な生い立ちにも関わらず囚人達に溺愛されて幸せに過ごしていた…そんなある時ふとした拍子に前世の記憶を思い出す!
無実の罪で不幸な最後を迎えた母の為!優しくしてくれた囚人達の為に自分頑張ります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる