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四五〇
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俺はその背中をしばらく見ていたが、言われたように瓦礫を片付けた。
情けない。
ヴァンパイアは倒せたが、それだけだ。
他は全部その代償として失くしたのだ。
それが俺の物ならば別にそれで構わない。
だが失くした物は全て、関係の無い人たちの物だった。
俺は確かに化け物だし、正義の味方でも無い。
むしろ秘密結社の一員で、世界を征服しようと言う者たちの手下なのだ。
だから、多少の犠牲は気にしないのか。
多少?
多少かこれは。
俺は自分が破壊した建物の瓦礫を、一つ一つ持ち上げながら自問自答した。
ただの瓦礫が、その一つ一つが重たかった。
改造人間の俺にとって、砂粒のような軽さの石が途方も無く重たく感じられる。
ここに人の生活があった。
住んでる人の人生がこの下にはあったのだ。
多少ではない。
「レオ、倒したのか!」
カルタスとオレコがいつの間にか近くに来ていた。
瓦礫を片付ける俺を見て不思議そうな顔をした。
「ああ……」
俺は素っ気なく返事するのが精一杯だった。
二人は何も言わなかったが、何かを察してくれたらしい。
それ以上は特に何も言わずに、黙って俺を手伝った。
「おい、人の手だ。この下に人がいるぞ!」
カルタスが言った。
俺はすぐにその瓦礫をどける。
下から性別不明の死体が出てきた。
焼け焦げて潰れて人だと言う事以外、何も判らない。
「メタルシェルに運ぶんだ」
「え?なぜ?」
オレコが意外そうに反応した。
「オニヤンマイ……蜻蛉洲の指示だ」
「……判ったわ」
その後も人が見つかる度に、二人はアイアンシェルへとそれを運んだ。
全ての瓦礫を片付けた時、オニヤンマイザーが戻ってきた。
珍しいな、変身は解かないのか。
「この姿の方がインパクトがある。君もそのままで居ろ」
オニヤンマイザーはそう言ってから、野次馬たちに向かって言った。
「一月経ったらまた戻ってくる。それまでこの建物の敷地には近づくな。もし近づいて何かあっても責任は持たない」
野次馬たちから何となく返事が返ってくる。
意外と素直だな。
俺は思わず笑いを漏らした。
「笑うな。この姿だから効果がある」
オニヤンマイザーが小声で言った。
「今日からこの一帯は我ら、ネオジョルトが仕切る。大小様々な組織がある事は知っているが、それはもう無くなったと思え。文句がある者は一月後ここへ来たまえ」
オニヤンマイザーは流暢に宣言した。
この野次馬の中にはそれぞれの組織の人間が必ず混じっているだろう。
そいつらに向かって言っているのだ。
「その時はこのヴァンパイアを倒した、怪人サフィリナックスが相手をしよう」
オニヤンマイザーはあえて低い声でそう言った。
その言い方だと俺が相当恐ろしい者に聞こえるんだが。
情けない。
ヴァンパイアは倒せたが、それだけだ。
他は全部その代償として失くしたのだ。
それが俺の物ならば別にそれで構わない。
だが失くした物は全て、関係の無い人たちの物だった。
俺は確かに化け物だし、正義の味方でも無い。
むしろ秘密結社の一員で、世界を征服しようと言う者たちの手下なのだ。
だから、多少の犠牲は気にしないのか。
多少?
多少かこれは。
俺は自分が破壊した建物の瓦礫を、一つ一つ持ち上げながら自問自答した。
ただの瓦礫が、その一つ一つが重たかった。
改造人間の俺にとって、砂粒のような軽さの石が途方も無く重たく感じられる。
ここに人の生活があった。
住んでる人の人生がこの下にはあったのだ。
多少ではない。
「レオ、倒したのか!」
カルタスとオレコがいつの間にか近くに来ていた。
瓦礫を片付ける俺を見て不思議そうな顔をした。
「ああ……」
俺は素っ気なく返事するのが精一杯だった。
二人は何も言わなかったが、何かを察してくれたらしい。
それ以上は特に何も言わずに、黙って俺を手伝った。
「おい、人の手だ。この下に人がいるぞ!」
カルタスが言った。
俺はすぐにその瓦礫をどける。
下から性別不明の死体が出てきた。
焼け焦げて潰れて人だと言う事以外、何も判らない。
「メタルシェルに運ぶんだ」
「え?なぜ?」
オレコが意外そうに反応した。
「オニヤンマイ……蜻蛉洲の指示だ」
「……判ったわ」
その後も人が見つかる度に、二人はアイアンシェルへとそれを運んだ。
全ての瓦礫を片付けた時、オニヤンマイザーが戻ってきた。
珍しいな、変身は解かないのか。
「この姿の方がインパクトがある。君もそのままで居ろ」
オニヤンマイザーはそう言ってから、野次馬たちに向かって言った。
「一月経ったらまた戻ってくる。それまでこの建物の敷地には近づくな。もし近づいて何かあっても責任は持たない」
野次馬たちから何となく返事が返ってくる。
意外と素直だな。
俺は思わず笑いを漏らした。
「笑うな。この姿だから効果がある」
オニヤンマイザーが小声で言った。
「今日からこの一帯は我ら、ネオジョルトが仕切る。大小様々な組織がある事は知っているが、それはもう無くなったと思え。文句がある者は一月後ここへ来たまえ」
オニヤンマイザーは流暢に宣言した。
この野次馬の中にはそれぞれの組織の人間が必ず混じっているだろう。
そいつらに向かって言っているのだ。
「その時はこのヴァンパイアを倒した、怪人サフィリナックスが相手をしよう」
オニヤンマイザーはあえて低い声でそう言った。
その言い方だと俺が相当恐ろしい者に聞こえるんだが。
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