368 / 826
三六八
しおりを挟む
「ネオジョルト行動隊長だとぅ……」
ファズが片眉を上げる。
そうか。
まだネオジョルトの名前は裏社会でもそこまで知られてはいないか。
まあ、当然だろう。
「教えてやる。俺たちは世界征服を目指している組織だ。当然、裏の社会も例外じゃない。貴様ら全部我々の傘下だ……と、口で言っても判らんだろうから、それを今から身をもって判らせてやる」
俺はそう言うとファズを人指し指で手招きした。
「掛かってこい」
ファズのこめかみに血管が浮かび上がる。
相当に短気だなコイツ。
「面白ぇ、どんなジョークか聞かせてもらおうか!」
ファズが手にした斧を再び振り上げる。
「速さが売りのお前にそんな武器が扱えるか」
「るせえっ!」
ファズが怒りに任せて斧を振り下ろす。
俺はそれをわずかに体を反らせてかわした。
遅い。
やはり非力だなコイツ。
「どうした?当たらんな」
「くそっ!当たりさえすればテメエなんかイチコロよ!」
「それはどうかな。当たらんし、当たってもお前では無理だろ」
ファズは益々激昂した。
「っせえ!死ねえッ!」
ファズが斧を怒りに任せて振り回す。
がしっ!
俺は何回目かの攻撃を左手で捕まえた。
「!?」
「当たらんどころか取られちまったらどうするんだ?」
ファズが斧を何度も押したり引いたりするが、斧は微動だにしなかった。
人間と改造人間の間には馬鹿みたいな開きがある。
これは仕方がない事だ。
中には帝国の将軍たちのように改造人間に迫る超人も居るが、あんなのは例外だろう。
「くっ!?」
ファズの顔に焦りが見える。
「どうした?少しも動かんな?」
言われてファズは斧を手放した。
「欲しいならくれてやる!」
ファズはそう言って高速パンチを俺の顔面に叩き込んだ。
ガッ!
「くあっ!いってえぇー!」
放った拳を押さえてファズは後ろへ後ずさった。
俺の体は生身の場所など一ミリも残っていない。
全て硬い金属の装甲だ。
もちろん顔面もだ。
あんな高速で、しかも素手で殴れば自分の拳が砕ける。
「判っただろう?たかが裏社会のチンピラごときに刃向かう事など出来ん」
ファズは拳を押さえながら忌々しそうに俺を睨んだ。
「もう一度言うぞ。今後二度とキロに近付くな。忠告を聞かなければ、どうなるか判らんぞ」
俺はそう言ってファズに近付いた。
この程度の脅しで大人しくなるなんて、俺も思ってはいない。
「チキショウ……!」
ファズはもうそれしか言う言葉が見つからなかった。
「ふんっ!」
俺は駄目押しにファズを掴まえると、そのまま店の入り口に放り投げた。
バゴオッ!
木の壁を突き破り、大きく開いた穴からファズは外へと消えていった。
ファズが片眉を上げる。
そうか。
まだネオジョルトの名前は裏社会でもそこまで知られてはいないか。
まあ、当然だろう。
「教えてやる。俺たちは世界征服を目指している組織だ。当然、裏の社会も例外じゃない。貴様ら全部我々の傘下だ……と、口で言っても判らんだろうから、それを今から身をもって判らせてやる」
俺はそう言うとファズを人指し指で手招きした。
「掛かってこい」
ファズのこめかみに血管が浮かび上がる。
相当に短気だなコイツ。
「面白ぇ、どんなジョークか聞かせてもらおうか!」
ファズが手にした斧を再び振り上げる。
「速さが売りのお前にそんな武器が扱えるか」
「るせえっ!」
ファズが怒りに任せて斧を振り下ろす。
俺はそれをわずかに体を反らせてかわした。
遅い。
やはり非力だなコイツ。
「どうした?当たらんな」
「くそっ!当たりさえすればテメエなんかイチコロよ!」
「それはどうかな。当たらんし、当たってもお前では無理だろ」
ファズは益々激昂した。
「っせえ!死ねえッ!」
ファズが斧を怒りに任せて振り回す。
がしっ!
俺は何回目かの攻撃を左手で捕まえた。
「!?」
「当たらんどころか取られちまったらどうするんだ?」
ファズが斧を何度も押したり引いたりするが、斧は微動だにしなかった。
人間と改造人間の間には馬鹿みたいな開きがある。
これは仕方がない事だ。
中には帝国の将軍たちのように改造人間に迫る超人も居るが、あんなのは例外だろう。
「くっ!?」
ファズの顔に焦りが見える。
「どうした?少しも動かんな?」
言われてファズは斧を手放した。
「欲しいならくれてやる!」
ファズはそう言って高速パンチを俺の顔面に叩き込んだ。
ガッ!
「くあっ!いってえぇー!」
放った拳を押さえてファズは後ろへ後ずさった。
俺の体は生身の場所など一ミリも残っていない。
全て硬い金属の装甲だ。
もちろん顔面もだ。
あんな高速で、しかも素手で殴れば自分の拳が砕ける。
「判っただろう?たかが裏社会のチンピラごときに刃向かう事など出来ん」
ファズは拳を押さえながら忌々しそうに俺を睨んだ。
「もう一度言うぞ。今後二度とキロに近付くな。忠告を聞かなければ、どうなるか判らんぞ」
俺はそう言ってファズに近付いた。
この程度の脅しで大人しくなるなんて、俺も思ってはいない。
「チキショウ……!」
ファズはもうそれしか言う言葉が見つからなかった。
「ふんっ!」
俺は駄目押しにファズを掴まえると、そのまま店の入り口に放り投げた。
バゴオッ!
木の壁を突き破り、大きく開いた穴からファズは外へと消えていった。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
追い出された万能職に新しい人生が始まりました
東堂大稀(旧:To-do)
ファンタジー
「お前、クビな」
その一言で『万能職』の青年ロアは勇者パーティーから追い出された。
『万能職』は冒険者の最底辺職だ。
冒険者ギルドの区分では『万能職』と耳触りのいい呼び方をされているが、めったにそんな呼び方をしてもらえない職業だった。
『雑用係』『運び屋』『なんでも屋』『小間使い』『見習い』。
口汚い者たちなど『寄生虫」と呼んだり、あえて『万能様』と皮肉を効かせて呼んでいた。
要するにパーティーの戦闘以外の仕事をなんでもこなす、雑用専門の最下級職だった。
その底辺職を7年も勤めた彼は、追い出されたことによって新しい人生を始める……。
収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい
三園 七詩
ファンタジー
旧題:収容所生まれの転生幼女は囚人達に溺愛されてますので幸せです
無実の罪で幽閉されたメアリーから生まれた子供は不幸な生い立ちにも関わらず囚人達に溺愛されて幸せに過ごしていた…そんなある時ふとした拍子に前世の記憶を思い出す!
無実の罪で不幸な最後を迎えた母の為!優しくしてくれた囚人達の為に自分頑張ります!
傭兵少女のクロニクル
なう
ファンタジー
東部戦線帰りの英雄、凄腕の傭兵、武地京哉(たけちきょうや)は旅客機をハイジャックした。
しかし、そのもくろみは失敗に終り旅客機は墜落してしまう。
からくも一命を取り留めた彼だったが、目を覚ますと、なぜか金髪碧眼の美少女になっていた。
運がいい、そう思ったのも束の間、周囲には墜落を生き延びた乗客、修学旅行中の高校生まるごと1クラスがいた。
彼がハイジャック犯だとばれたら命はない。
「わ、私はナビーフィユリナ11歳。ハイジャック犯ですか? し、知らないですねぇ……、くっ……、くっころ……」
そう、こんな少女の身体ではすぐに捕まってしまう……。
だが、しかし、
「え? これが、私?」
そう、痛んだ髪をしっかりトリートメントされ、汚れた服も白いワンピースに着替えさせられてしまったのだ。
※小説家になろう様、ハーメルン様、カクヨム様にも投稿しています。
秘密集会
櫂 牡丹
SF
ソラは兄が幹部を務める秘密結社ニアーの集会に初参加した。ニアーの目的は支配階級である『ヤツら』へのクーデターである。そこで聞かされた地球の真の歴史はソラにとって驚くべきものだった。▼ショートショートです。空き時間にお気軽に読んで頂きたいお話です♪全2話
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
王立ミリアリリー女学園〜エニス乙女伝説・傾国騒動編〜
竹井ゴールド
ファンタジー
ミリアリリー王国の王都ラサリリーにある王立ミリアリリー女学園。
昨年度の2月の中旬のお別れ会の舞踏会で能力を覚醒した生徒達。
更には昨年の御前対校戦を見て、入学してきた新入生達がミリアリリー女学園に加わる中・・・
3年生になったエニスの学園生活が始まる。
【2022/12/2、出版申請、12/15、慰めメール】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる