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三四六
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俺はとりあえず令子のラボを出た。
カルタスたちはまだ武器類を見ながら、あーだこーだと言っている。
まあ、自分に合う武器防具を選ぶのだ。
時間はかけた方が良い。
オオムカデンダルからお呼びが掛かるまでは、特にやる事もなかった。
ハッキリ言えば、暇なのである。
気持ちは焦るが仕方がない。
俺はモヤモヤしながら広間へ向かった。
長く大きなテーブルがある。
この上座にいつも四人が座っている。
俺はその席は避けて下座に座った。
なんとなくため息を吐く。
背もたれに体を預けて天井を見た。
「管理人」
俺は管理人に呼び掛けた。
「なんでしょう。レオさん」
すぐに返事が帰ってくる。
何回、会話しても不思議だ。
「彼女はどうなっているんだい?」
俺はずっと気になっていた彼女の事を尋ねた。
オオムカデンダルたちに任せきりにしていたが、あれ以来一度も経過を聞いたことが無かった。
「レオさんのお仲間の方ですね。現在も集中的かつ継続的な治療が続いています」
「容態はどうなんだ?」
「悪くないと思われますが、詳しい事は百足様か令子様でなければご説明は難しいかと」
オオムカデンダルか令子に聞けと言う事か?
管理人にしては珍しい。
何でも承知の管理人だ。
オオムカデンダルたちでさえも、管理人を頼りにしている節はある。
それなのに、この件に関してはオオムカデンダルたちに聞けと言うのか。
「専門的な分野ですので」
管理人は重ねてそう言った。
「じゃあ、会うことは可能かい?」
「まだ意識は戻っておりません。ずっと眠ったままなのでお会いするのは無理かと存じます」
まだ昏睡状態なのか。
無理もないと言えば無理もない。
普通あの状態ならば死んでいてもおかしく無かったのだ。
「一目見るだけでも良いんだ。彼女の姿が見たいんだ」
俺はいつになく感情的に食い下がった。
自分でも意外だった。
「……」
管理人が言葉に詰まった。
どうした。
今までそんな事は一度も無かっただろう。
「申し訳ありません。私の権限ではこれ以上発言できません」
管理人が言った。
なんだと?
権限?
どういう事だ。
俺のパーティーメンバーだぞ。
長い付き合いだ。
その近況を知る事さえ許可が要ると言うのか。
「管理人。どういう事なんだ。なぜ一目会うだけで許可が要るんだ」
俺は管理人を問い詰めた。
「申し訳ございません。これ以上お答えできません」
管理人はこれ以降、何を言ってもこの言葉を繰り返すだけになってしまった。
なんなんだ、いったい。
俺はイライラが高まってくるのを感じていた。
こうなったら直接オオムカデンダルを問い詰めるしかない。
俺はガタッと椅子から立ち上がると、オオムカデンダルの下へと向かった。
カルタスたちはまだ武器類を見ながら、あーだこーだと言っている。
まあ、自分に合う武器防具を選ぶのだ。
時間はかけた方が良い。
オオムカデンダルからお呼びが掛かるまでは、特にやる事もなかった。
ハッキリ言えば、暇なのである。
気持ちは焦るが仕方がない。
俺はモヤモヤしながら広間へ向かった。
長く大きなテーブルがある。
この上座にいつも四人が座っている。
俺はその席は避けて下座に座った。
なんとなくため息を吐く。
背もたれに体を預けて天井を見た。
「管理人」
俺は管理人に呼び掛けた。
「なんでしょう。レオさん」
すぐに返事が帰ってくる。
何回、会話しても不思議だ。
「彼女はどうなっているんだい?」
俺はずっと気になっていた彼女の事を尋ねた。
オオムカデンダルたちに任せきりにしていたが、あれ以来一度も経過を聞いたことが無かった。
「レオさんのお仲間の方ですね。現在も集中的かつ継続的な治療が続いています」
「容態はどうなんだ?」
「悪くないと思われますが、詳しい事は百足様か令子様でなければご説明は難しいかと」
オオムカデンダルか令子に聞けと言う事か?
管理人にしては珍しい。
何でも承知の管理人だ。
オオムカデンダルたちでさえも、管理人を頼りにしている節はある。
それなのに、この件に関してはオオムカデンダルたちに聞けと言うのか。
「専門的な分野ですので」
管理人は重ねてそう言った。
「じゃあ、会うことは可能かい?」
「まだ意識は戻っておりません。ずっと眠ったままなのでお会いするのは無理かと存じます」
まだ昏睡状態なのか。
無理もないと言えば無理もない。
普通あの状態ならば死んでいてもおかしく無かったのだ。
「一目見るだけでも良いんだ。彼女の姿が見たいんだ」
俺はいつになく感情的に食い下がった。
自分でも意外だった。
「……」
管理人が言葉に詰まった。
どうした。
今までそんな事は一度も無かっただろう。
「申し訳ありません。私の権限ではこれ以上発言できません」
管理人が言った。
なんだと?
権限?
どういう事だ。
俺のパーティーメンバーだぞ。
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その近況を知る事さえ許可が要ると言うのか。
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俺は管理人を問い詰めた。
「申し訳ございません。これ以上お答えできません」
管理人はこれ以降、何を言ってもこの言葉を繰り返すだけになってしまった。
なんなんだ、いったい。
俺はイライラが高まってくるのを感じていた。
こうなったら直接オオムカデンダルを問い詰めるしかない。
俺はガタッと椅子から立ち上がると、オオムカデンダルの下へと向かった。
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