337 / 826
三三七
しおりを挟む
どんっ!
タックルを食らってウロコフネタマイトがホンの少し体を反らした。
「どっせい!」
続けざまにカルタスの剣が、地をはうように下から振り上げられる。
ガキインッ!
甲高い音を発てて剣がウロコフネタマイトのアゴに炸裂した。
「どうだっ!」
カルタスが会心の手応えに思わず声を荒らげた。
「生身にしてはなかなかね」
ウロコフネタマイトはカルタスの問いに素直に答えた。
効いていない。
どうだ!に対して普通に返答できるなんて、効いている訳がない。
「うおおおああっ!」
構わず雄叫びをあげてカルタスが剣を振るう。
狂ったようにウロコフネタマイトを滅多打ちにした。
怒濤の攻撃だ。
迫力も然ることながら、上昇した筋力とスタミナに任せて暴風の如く剣を振るう。
ガインッ!
ガキインッ!
ガンッ!
ガンガンッ!
ガキインッ!
いくらなんでも飛ばしすぎだと心配になる。
たぶんそれだけ打ちのめしても、ウロコフネタマイトには対してダメージは通らない筈だ。
彼女の硬さは俺やオオムカデンダルの比ではない。
俺はそこで気がついた。
なるほど、そう言う事か。
「うおおお!」
ガイイインッ!
一際大きく振りかぶったグレートソードが、ウロコフネタマイトの脳天に直撃した。
「はあっ!はあっ!……今度こそどうだ!」
しかし、ウロコフネタマイトは静かにたたずんで居るだけだった。
「……悪くはないわね。でも、これで大群相手に一方的に押し切るのは無理なんじゃないかしら」
ウロコフネタマイトが静かな口調で言った。
普通は大群相手に単身挑んだりはしない。
そもそもの前提に無理がある。
「うちは規模としては小規模組織だから人員は少数精鋭だって、百足君が聞かないのよ」
それは判るが、これだけ強ければ人数など気にする必要はあるまい。
「……で、どうなんだい?俺たちは合格か?」
カルタスが尋ねた。
「……合格にしてあげたいけど、百足君基準では改造手術は免れないわね。ごめんなさいね」
ウロコフネタマイトが申し訳なさそうに言った。
本当にそう思っているのかは、だいぶ怪しかったが。
「そうかい……じゃあやっぱりもう少し頑張るしかねえな」
カルタスはそう言ったが、言葉とは裏腹に剣を構えて一歩退いた。
ウロコフネタマイトがそれを追って、初めて一歩前に出た。
ここだ。
突然、足下の土の中から鎖が現れた。
ジャラジャラジャラジャラッ!
ガキイイインッ!
突如地中から現れた鎖がウロコフネタマイトの足を絡めとる。
「!?」
カルタスが狂ったようにウロコフネタマイトを滅多打ちにしていた時、オレコは気配を消してこれを仕込んでいたのだ。
タックルを食らってウロコフネタマイトがホンの少し体を反らした。
「どっせい!」
続けざまにカルタスの剣が、地をはうように下から振り上げられる。
ガキインッ!
甲高い音を発てて剣がウロコフネタマイトのアゴに炸裂した。
「どうだっ!」
カルタスが会心の手応えに思わず声を荒らげた。
「生身にしてはなかなかね」
ウロコフネタマイトはカルタスの問いに素直に答えた。
効いていない。
どうだ!に対して普通に返答できるなんて、効いている訳がない。
「うおおおああっ!」
構わず雄叫びをあげてカルタスが剣を振るう。
狂ったようにウロコフネタマイトを滅多打ちにした。
怒濤の攻撃だ。
迫力も然ることながら、上昇した筋力とスタミナに任せて暴風の如く剣を振るう。
ガインッ!
ガキインッ!
ガンッ!
ガンガンッ!
ガキインッ!
いくらなんでも飛ばしすぎだと心配になる。
たぶんそれだけ打ちのめしても、ウロコフネタマイトには対してダメージは通らない筈だ。
彼女の硬さは俺やオオムカデンダルの比ではない。
俺はそこで気がついた。
なるほど、そう言う事か。
「うおおお!」
ガイイインッ!
一際大きく振りかぶったグレートソードが、ウロコフネタマイトの脳天に直撃した。
「はあっ!はあっ!……今度こそどうだ!」
しかし、ウロコフネタマイトは静かにたたずんで居るだけだった。
「……悪くはないわね。でも、これで大群相手に一方的に押し切るのは無理なんじゃないかしら」
ウロコフネタマイトが静かな口調で言った。
普通は大群相手に単身挑んだりはしない。
そもそもの前提に無理がある。
「うちは規模としては小規模組織だから人員は少数精鋭だって、百足君が聞かないのよ」
それは判るが、これだけ強ければ人数など気にする必要はあるまい。
「……で、どうなんだい?俺たちは合格か?」
カルタスが尋ねた。
「……合格にしてあげたいけど、百足君基準では改造手術は免れないわね。ごめんなさいね」
ウロコフネタマイトが申し訳なさそうに言った。
本当にそう思っているのかは、だいぶ怪しかったが。
「そうかい……じゃあやっぱりもう少し頑張るしかねえな」
カルタスはそう言ったが、言葉とは裏腹に剣を構えて一歩退いた。
ウロコフネタマイトがそれを追って、初めて一歩前に出た。
ここだ。
突然、足下の土の中から鎖が現れた。
ジャラジャラジャラジャラッ!
ガキイイインッ!
突如地中から現れた鎖がウロコフネタマイトの足を絡めとる。
「!?」
カルタスが狂ったようにウロコフネタマイトを滅多打ちにしていた時、オレコは気配を消してこれを仕込んでいたのだ。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
冷遇ですか?違います、厚遇すぎる程に義妹と婚約者に溺愛されてます!
ユウ
ファンタジー
トリアノン公爵令嬢のエリーゼは秀でた才能もなく凡庸な令嬢だった。
反対に次女のマリアンヌは社交界の華で、弟のハイネは公爵家の跡継ぎとして期待されていた。
嫁ぎ先も決まらず公爵家のお荷物と言われていた最中ようやく第一王子との婚約がまとまり、その後に妹のマリアンヌの婚約が決まるも、相手はスチュアート伯爵家からだった。
華麗なる一族とまで呼ばれる一族であるが相手は伯爵家。
マリアンヌは格下に嫁ぐなんて論外だと我儘を言い、エリーゼが身代わりに嫁ぐことになった。
しかしその数か月後、妹から婚約者を寝取り略奪した最低な姉という噂が流れだしてしまい、社交界では爪はじきに合うも。
伯爵家はエリーゼを溺愛していた。
その一方でこれまで姉を踏み台にしていたマリアンヌは何をしても上手く行かず義妹とも折り合いが悪く苛立ちを抱えていた。
なのに、伯爵家で大事にされている姉を見て激怒する。
「お姉様は不幸がお似合いよ…何で幸せそうにしているのよ!」
本性を露わにして姉の幸福を妬むのだが――。
魔王統譚レオサーガ・ラシード伝 ~聖戦の獅子王~
鳳洋
ファンタジー
遥か遠い昔、神に背いて楽園を滅ぼした一人の男がいた。
禁断の果実を取って食べたその男は恐るべき魔人【ゼノク】と化し、その血に刻み込まれた魔性の呪い――ゼノクの力は彼の子孫たちへも受け継がれることになった。
それから永い時が流れ――世界は動乱の時代を迎えていた。
聖地エスティムの奪回を掲げ、アレクジェリア大陸の諸国は神の名の下に連合軍を組んで東方のラハブジェリア大陸へと侵攻。
折しも、激戦が続くエスティムの街では超人的な力を持った怪物たち――ゼノクの出現が相次いで報告される。
そんな中、エスティムの攻略を目指すリオルディア王国軍のメリッサ・ディ・リーヴィオ伯爵は、防戦するアラジニア王国軍のマムルークであるラシード・アブドゥル・バキという記憶喪失の青年と戦場で出会い、十年前に死んだはずのリオルディア王家の落胤レオナルド・オルフィーノの面影を彼に見るのだが……
渦巻く戦乱と怪異。
神に背いた原罪がもたらす流血の時代に果たして終わりは訪れるのか。
神々と人間たちがかつてない戦いを繰り広げる混迷の世紀が、今始まる!
間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎
って、何故こんなにハイテンションかと言うとただ今絶賛大パニック中だからです!
何故こうなった…
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
そして死亡する原因には不可解な点が…
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのかのんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
序盤で殺される悪役貴族に転生した俺、前世のスキルが残っているため、勇者よりも強くなってしまう〜主人公がキレてるけど気にしません
そらら
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑
大人気ゲーム「剣と魔法のファンタジー」の悪役貴族に転生した俺。
貴族という血統でありながら、何も努力しない怠惰な公爵家の令息。
序盤で王国から追放されてしまうざまぁ対象。
だがどうやら前世でプレイしていたスキルが引き継がれているようで、最強な件。
そんで王国の為に暗躍してたら、主人公がキレて来たんだが?
「お前なんかにヒロインは渡さないぞ!?」
「俺は別に構わないぞ? 王国の為に暗躍中だ」
「ふざけんな! 原作をぶっ壊しやがって、殺してやる」
「すまないが、俺には勝てないぞ?」
※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル総合週間ランキング40位入り。1300スター、3800フォロワーを達成!
千技の魔剣士 器用貧乏と蔑まれた少年はスキルを千個覚えて無双する
大豆茶
ファンタジー
とある男爵家にて、神童と呼ばれる少年がいた。
少年の名はユーリ・グランマード。
剣の強さを信条とするグランマード家において、ユーリは常人なら十年はかかる【剣術】のスキルレベルを、わずか三ヶ月、しかも若干六歳という若さで『レベル3』まで上げてみせた。
先に修練を始めていた兄をあっという間に超え、父ミゲルから大きな期待を寄せられるが、ある日に転機が訪れる。
生まれ持つ【加護】を明らかにする儀式を受けたユーリが持っていたのは、【器用貧乏】という、極めて珍しい加護だった。
その効果は、スキルの習得・成長に大幅なプラス補正がかかるというもの。
しかし、その代わりにスキルレベルの最大値が『レベル3』になってしまうというデメリットがあった。
ユーリの加護の正体を知ったミゲルは、大きな期待から一転、失望する。何故ならば、ユーリの剣は既に成長限界を向かえていたことが判明したからだ。
有力な騎士を排出することで地位を保ってきたグランマード家において、ユーリの加護は無価値だった。
【剣術】スキルレベル3というのは、剣を生業とする者にとっては、せいぜい平均値がいいところ。王都の騎士団に入るための最低条件すら満たしていない。
そんなユーリを疎んだミゲルは、ユーリが妾の子だったこともあり、軟禁生活の後に家から追放する。
ふらふらの状態で追放されたユーリは、食料を求めて森の中へ入る。
そこで出会ったのは、自らを魔女と名乗る妙齢の女性だった。
魔女に命を救われたユーリは、彼女の『実験』の手伝いをすることを決断する。
その内容が、想像を絶するものだとは知らずに――
Dマシンドール 迷宮王の遺産を受け継ぐ少女
草乃葉オウル
ファンタジー
世界中にダンジョンと呼ばれる異空間が現れてから三十年。人類はダンジョンの脅威に立ち向かうため、脳波による遠隔操作が可能な人型異空間探査機『ダンジョン・マシンドール』を開発した。これにより生身では危険かつ非効率的だったダンジョンの探査は劇的に進み、社会はダンジョンから得られる未知の物質と技術によってさらなる発展を遂げていた。
そんな中、ダンジョンともマシンとも無関係な日々を送っていた高校生・萌葱蒔苗《もえぎまきな》は、突然存在すら知らなかった祖父の葬儀に呼ばれ、1機のマシンを相続することになる。しかも、その祖父はマシンドール開発の第一人者にして『迷宮王』と呼ばれる現代の偉人だった。
なぜ両親は祖父の存在を教えてくれなかったのか、なぜ祖父は会ったこともない自分にマシンを遺したのか……それはわからない。でも、マシンを得たならやるべきことは1つ。ダンジョンに挑み、モンスターを倒し、手に入れた素材でマシンをカスタム! そして最強の自分専用機を造り上げる! それが人を、世界を救うことに繋がっていくことを、蒔苗はまだ知らない。
当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!
犬丸大福
ファンタジー
ユーディリア・エアトルは母親からの折檻を受け、そのまま意識を失った。
そして夢をみた。
日本で暮らし、平々凡々な日々の中、友人が命を捧げるんじゃないかと思うほどハマっている漫画の推しの顔。
その顔を見て目が覚めた。
なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。
数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。
幼少期、最初はツラい状況が続きます。
作者都合のゆるふわご都合設定です。
1日1話更新目指してます。
エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。
お楽しみ頂けたら幸いです。
***************
2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます!
100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!!
2024年9月9日 お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます!
200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる