見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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三三二

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「魔導士と言うだけあって魔法の威力は絶大だわ。あらゆる魔法を使いこなすと言うし」

 まさにマジックキングだな。

「でも本当の武器は魔法じゃないわ」

 じゃあ何だと言うのか。

「リッチが真に恐ろしいのは、永遠の命を手に入れた事よ。元来魔導士と言う者は研究熱心なのよ。何日でも閉じ籠って研究に没頭するような人間が魔導士になるの。でも人の一生の内に手に入れられる知識には限りがあるわ」

 なるほど。
無限の時間を生きるリッチには、その制限が無いと言う訳か。

「そうよ。私たちがまだ誰も見たことの無い魔法を有している可能性はいくらでもあるわ。誰も辿り着けなかった知識に触れ、真理に辿り着いているとさえ言われる。それがリッチよ」

 魔法職的にはそれはどれほど凄い事なのか。
剣士の俺には今一つピンと来なかった。
だが、危険だと言う事だけは判る。
強力な魔法を使うのだろう。
賢者サルバスの魔法を見れば、その危険さは想像できる。

 どうもやたら大物モンスターばかり目にする。
これもタレントである、ナイーダや、あの赤ん坊に接した為なのだろうか。
いや、俺はその前からもっと大きな歯車に組み込まれているような気がする。

 プニーフタールに関わった時からだ。
それが全ての始まりだった。
そしてオオムカデンダルたちに出会い、今こうしている。

「じゃあ、バルログってのは?」

 オオムカデンダルがオレコに尋ねた。

「それは、俺も知ってるぜ」

 カルタスが口を挟んだ。

「エルフの言葉で『ヴァララウカール』と発音するんだ。力強き悪鬼と言う意味らしいが、とにかく凶悪凶暴で手に負える者は居ないらしい。唯一人間以外ではドラゴンだけがバルログに勝てるらしい。ま、誰も見た奴は居ないから眉唾物だったが、こんな所で名前が出てくるとはホントに実在したんだな」

 カルタスはそう言いながら肩をすくめた。

「ドラゴンねえ」

 オオムカデンダルはそう言ってモニターを見た。
薄暗いモニターにはほとんど何も映っていない。
わずかに人影らしきものがうごめいているだけだった。

「ま、それは本当にそうか戦ってみないと何とも言えないな」

 オオムカデンダルがあっけらかんと言った。

「本気かよ……ドラゴン以外、誰も敵わないんだぞ?」

 カルタスが目を丸くした。

「その中にまだ俺は入ってないぞ。だって戦ったことが無いんだからな。やってみるまで判るまい」

 簡単に言ってくれる。
オオムカデンダルらしいと言えばらしいのだが。

「敵はそいつだけじゃ無いんだ。他にも居るし、全部引っくるめてもそれが目標じゃない。最終的な目標は邪神だ」

 その言葉に俺たちは目が覚めた。
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