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ニ九五
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「それはどうかな」
勝つことは難しくない。
それは本当だ。
だが、将軍が二人なのはさすがに簡単とは言えない。
ここはカーディナルをカルタスとオレコが引き受けてくれている事に感謝しよう。
ザザザッ!
素早くマザが距離をとる。
仕留め損ねたか。
「お、おい!なんだコイツ!」
突然カルタスの声が聞こえた。
俺はカルタスの方を見る。
「なんだありゃ……」
俺もカルタスと同じ感想を呟いた。
変身だ。
カーディナルたちがそれぞれ変身し始めている。
やはりか。
アイツと同じくコイツらも変身すると思っていた。
コイツらはいったい何なんだ。
グッグッグッと不気味な笑い声を発している。
「おい、よく見てみろ。あれがお前たちの招き入れた仲間だ。満足か?」
俺はメルドルムに言った。
「なんなんだ……あれは」
「……さあな。判ってるのは邪神プニーフタールと関係があるかもしれないって事ぐらいだ」
俺の言葉を聞いてメルドルムとマザは硬直した。
顔は完全に青ざめている。
「良いのか。敵はネオジョルトか?魔界の化け物か?よく考えてみるがいい」
俺はそれだけ言うと、カルタスたちの加勢に走った。
「くっそ!死ね!化け物!」
カルタスが雄叫びをあげながら果敢に化け物に斬りかかる。
こいつ、ホントに怖い物知らずだな。
だが、化け物の周りには目に見えない壁が張り巡らされているらしい。
カルタスの攻撃はすべて弾き返されている。
おそらく、変身中の隙を突かれない為の処置だろう。
「またプロテクションか」
しかし、スクリューシェイブクロウで破壊するほどの時間はない。
もう間もなく、変身は完了する。
「これ本当にカーディナルか?こんな神官いねえだろ?」
カルタスが言った。
そりゃ確かにそうだ。
じゃコイツらは何なんだ?
「……たぶんウォーロックね」
ウォーロック。
確か悪魔が人の姿に擬態している、または悪魔と契約を交わした者を指す名前だった筈だ。
なるほど。
確かにウォーロックだ。
言われてみれば全て当てはまる。
かつては、悪しき魔法使いの正体はウォーロックだと相場が決まっていたらしいが。
ウォーロックとカーディナルじゃ天と地ほども意味が違う。
プロテクションなんぞ使いやがって紛らわしい。
そんな事を言っている間に、ウォーロックは真の姿を現した。
だが、なんだその姿は。
マジシャンやウィザードのようなフード付きのローブをまとっている。
その影に潜む顔は髑髏だった。
貴金属の宝飾品を身に付けている事から、元は高貴な存在だったことをうかがわせた。
風貌だけ見ると、まるで死神だ。
「くっそ……傭兵時代でもこんなのと出合ったことはねえぞ!」
カルタスがぼやき叫んだ。
勝つことは難しくない。
それは本当だ。
だが、将軍が二人なのはさすがに簡単とは言えない。
ここはカーディナルをカルタスとオレコが引き受けてくれている事に感謝しよう。
ザザザッ!
素早くマザが距離をとる。
仕留め損ねたか。
「お、おい!なんだコイツ!」
突然カルタスの声が聞こえた。
俺はカルタスの方を見る。
「なんだありゃ……」
俺もカルタスと同じ感想を呟いた。
変身だ。
カーディナルたちがそれぞれ変身し始めている。
やはりか。
アイツと同じくコイツらも変身すると思っていた。
コイツらはいったい何なんだ。
グッグッグッと不気味な笑い声を発している。
「おい、よく見てみろ。あれがお前たちの招き入れた仲間だ。満足か?」
俺はメルドルムに言った。
「なんなんだ……あれは」
「……さあな。判ってるのは邪神プニーフタールと関係があるかもしれないって事ぐらいだ」
俺の言葉を聞いてメルドルムとマザは硬直した。
顔は完全に青ざめている。
「良いのか。敵はネオジョルトか?魔界の化け物か?よく考えてみるがいい」
俺はそれだけ言うと、カルタスたちの加勢に走った。
「くっそ!死ね!化け物!」
カルタスが雄叫びをあげながら果敢に化け物に斬りかかる。
こいつ、ホントに怖い物知らずだな。
だが、化け物の周りには目に見えない壁が張り巡らされているらしい。
カルタスの攻撃はすべて弾き返されている。
おそらく、変身中の隙を突かれない為の処置だろう。
「またプロテクションか」
しかし、スクリューシェイブクロウで破壊するほどの時間はない。
もう間もなく、変身は完了する。
「これ本当にカーディナルか?こんな神官いねえだろ?」
カルタスが言った。
そりゃ確かにそうだ。
じゃコイツらは何なんだ?
「……たぶんウォーロックね」
ウォーロック。
確か悪魔が人の姿に擬態している、または悪魔と契約を交わした者を指す名前だった筈だ。
なるほど。
確かにウォーロックだ。
言われてみれば全て当てはまる。
かつては、悪しき魔法使いの正体はウォーロックだと相場が決まっていたらしいが。
ウォーロックとカーディナルじゃ天と地ほども意味が違う。
プロテクションなんぞ使いやがって紛らわしい。
そんな事を言っている間に、ウォーロックは真の姿を現した。
だが、なんだその姿は。
マジシャンやウィザードのようなフード付きのローブをまとっている。
その影に潜む顔は髑髏だった。
貴金属の宝飾品を身に付けている事から、元は高貴な存在だったことをうかがわせた。
風貌だけ見ると、まるで死神だ。
「くっそ……傭兵時代でもこんなのと出合ったことはねえぞ!」
カルタスがぼやき叫んだ。
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