247 / 826
二四七
しおりを挟む
「ひぎゃああああ!ひいぃぃぃぃぃっ!」
キメラが苦痛に絶叫する。
相当に苦しい筈だ。
毒耐性など無ければ、数秒で即死するほどの猛毒だ。
俺にもどんな原理の毒なのかは判らなかったが、データによれば神経を破壊し、細胞を破壊し、血液中の酸素を破壊し、血液の凝固を無効化し、無機物を強力に腐蝕させるとある。
意味は判らずとも、相当にヤバイのだろうと言うことだけはすぐに理解した。
「言え、妹はどこだ」
俺はもう一度キメラに尋ねた。
キメラの脳天に刺さった触手の周囲がただれている。
「わ、我らの神殿だ……そこに送られた……!」
送られただと。
「異界の門を通して一瞬で移動させたのだ。さあ、しゃべったぞ、も、もう良いだろう」
「そんな訳ないだろ。神殿の場所は?」
「そ、それは……」
「言わないつもりか。お前、度胸あるな」
俺はキメラの脳天に毒を微量注入する。
「ぎやあああああああっ!」
キメラが白目をむいて叫んだ。
「さっさと言えよ」
「い、言う!言うがラアッ!」
俺は毒の注入を止めた。
「はあっ、はあっ……西だ。西の渓谷、帝国領の外にある古代の遺跡が……神殿だ」
そんな所に遺跡があったか。
聞いたことがない。
「嘘じゃないだろうな」
「……どうせ調べるのだろう?嘘など言っても仕方があるまい」
確かに一理あるが、そう簡単に信用する訳にもいかない。
「もう一つ答えろ。貴様はプニーフタールを知っているか」
途端にキメラが黙った。
「……もう良いだろう。殺せ」
キメラが諦めたように言った。
そんなに答えるのが嫌なのか。
「そこまで言いたくないって事は、そうだと言っているのと同じよ」
令子が言った。
そうだ。
その通りだ。
やはりコイツらがプニーフタールを崇拝する狂信者どもか。
「ワシも聞きたい。お前……何者だ。なぜそんな力を有している。なぜプニーフタールを知っている?」
キメラが小さなで尋ねた。
まるで誰かに聞かれるのを警戒しているようだ。
「プニーフタールと言うよりも、それを崇拝している狂った奴らに借りがある。プニーフタールはついでだ」
キメラは一瞬黙った。
「ついでだと……?」
「あれが復活したらヤバイ事ぐらいは知っている。だからそれは阻止するが、狂信者どもの殲滅が目的だ。プニーフタールはそのついでだ」
キメラが静かに笑った。
「くくく……うはははは……プニーフタールをついでとは」
可笑しいか。
まあ、可笑しいだろうな。
だが俺は本気だ。
「お前は……いや、お前たちは確かに強い。サイクロプスを退け、キメラをも倒すのだ。並みの強さではない。だが、神であるプニーフタールを倒す気でいるとは」
キメラが苦痛に絶叫する。
相当に苦しい筈だ。
毒耐性など無ければ、数秒で即死するほどの猛毒だ。
俺にもどんな原理の毒なのかは判らなかったが、データによれば神経を破壊し、細胞を破壊し、血液中の酸素を破壊し、血液の凝固を無効化し、無機物を強力に腐蝕させるとある。
意味は判らずとも、相当にヤバイのだろうと言うことだけはすぐに理解した。
「言え、妹はどこだ」
俺はもう一度キメラに尋ねた。
キメラの脳天に刺さった触手の周囲がただれている。
「わ、我らの神殿だ……そこに送られた……!」
送られただと。
「異界の門を通して一瞬で移動させたのだ。さあ、しゃべったぞ、も、もう良いだろう」
「そんな訳ないだろ。神殿の場所は?」
「そ、それは……」
「言わないつもりか。お前、度胸あるな」
俺はキメラの脳天に毒を微量注入する。
「ぎやあああああああっ!」
キメラが白目をむいて叫んだ。
「さっさと言えよ」
「い、言う!言うがラアッ!」
俺は毒の注入を止めた。
「はあっ、はあっ……西だ。西の渓谷、帝国領の外にある古代の遺跡が……神殿だ」
そんな所に遺跡があったか。
聞いたことがない。
「嘘じゃないだろうな」
「……どうせ調べるのだろう?嘘など言っても仕方があるまい」
確かに一理あるが、そう簡単に信用する訳にもいかない。
「もう一つ答えろ。貴様はプニーフタールを知っているか」
途端にキメラが黙った。
「……もう良いだろう。殺せ」
キメラが諦めたように言った。
そんなに答えるのが嫌なのか。
「そこまで言いたくないって事は、そうだと言っているのと同じよ」
令子が言った。
そうだ。
その通りだ。
やはりコイツらがプニーフタールを崇拝する狂信者どもか。
「ワシも聞きたい。お前……何者だ。なぜそんな力を有している。なぜプニーフタールを知っている?」
キメラが小さなで尋ねた。
まるで誰かに聞かれるのを警戒しているようだ。
「プニーフタールと言うよりも、それを崇拝している狂った奴らに借りがある。プニーフタールはついでだ」
キメラは一瞬黙った。
「ついでだと……?」
「あれが復活したらヤバイ事ぐらいは知っている。だからそれは阻止するが、狂信者どもの殲滅が目的だ。プニーフタールはそのついでだ」
キメラが静かに笑った。
「くくく……うはははは……プニーフタールをついでとは」
可笑しいか。
まあ、可笑しいだろうな。
だが俺は本気だ。
「お前は……いや、お前たちは確かに強い。サイクロプスを退け、キメラをも倒すのだ。並みの強さではない。だが、神であるプニーフタールを倒す気でいるとは」
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
辺境の最強魔導師 ~魔術大学を13歳で首席卒業した私が辺境に6年引きこもっていたら最強になってた~
日の丸
ファンタジー
ウィーラ大陸にある大国アクセリア帝国は大陸の約4割の国土を持つ大国である。
アクセリア帝国の帝都アクセリアにある魔術大学セルストーレ・・・・そこは魔術師を目指す誰もが憧れそして目指す大学・・・・その大学に13歳で首席をとるほどの天才がいた。
その天才がセレストーレを卒業する時から物語が始まる。
序盤で殺される悪役貴族に転生した俺、前世のスキルが残っているため、勇者よりも強くなってしまう〜主人公がキレてるけど気にしません
そらら
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑
大人気ゲーム「剣と魔法のファンタジー」の悪役貴族に転生した俺。
貴族という血統でありながら、何も努力しない怠惰な公爵家の令息。
序盤で王国から追放されてしまうざまぁ対象。
だがどうやら前世でプレイしていたスキルが引き継がれているようで、最強な件。
そんで王国の為に暗躍してたら、主人公がキレて来たんだが?
「お前なんかにヒロインは渡さないぞ!?」
「俺は別に構わないぞ? 王国の為に暗躍中だ」
「ふざけんな! 原作をぶっ壊しやがって、殺してやる」
「すまないが、俺には勝てないぞ?」
※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル総合週間ランキング40位入り。1300スター、3800フォロワーを達成!
千技の魔剣士 器用貧乏と蔑まれた少年はスキルを千個覚えて無双する
大豆茶
ファンタジー
とある男爵家にて、神童と呼ばれる少年がいた。
少年の名はユーリ・グランマード。
剣の強さを信条とするグランマード家において、ユーリは常人なら十年はかかる【剣術】のスキルレベルを、わずか三ヶ月、しかも若干六歳という若さで『レベル3』まで上げてみせた。
先に修練を始めていた兄をあっという間に超え、父ミゲルから大きな期待を寄せられるが、ある日に転機が訪れる。
生まれ持つ【加護】を明らかにする儀式を受けたユーリが持っていたのは、【器用貧乏】という、極めて珍しい加護だった。
その効果は、スキルの習得・成長に大幅なプラス補正がかかるというもの。
しかし、その代わりにスキルレベルの最大値が『レベル3』になってしまうというデメリットがあった。
ユーリの加護の正体を知ったミゲルは、大きな期待から一転、失望する。何故ならば、ユーリの剣は既に成長限界を向かえていたことが判明したからだ。
有力な騎士を排出することで地位を保ってきたグランマード家において、ユーリの加護は無価値だった。
【剣術】スキルレベル3というのは、剣を生業とする者にとっては、せいぜい平均値がいいところ。王都の騎士団に入るための最低条件すら満たしていない。
そんなユーリを疎んだミゲルは、ユーリが妾の子だったこともあり、軟禁生活の後に家から追放する。
ふらふらの状態で追放されたユーリは、食料を求めて森の中へ入る。
そこで出会ったのは、自らを魔女と名乗る妙齢の女性だった。
魔女に命を救われたユーリは、彼女の『実験』の手伝いをすることを決断する。
その内容が、想像を絶するものだとは知らずに――
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!
犬丸大福
ファンタジー
ユーディリア・エアトルは母親からの折檻を受け、そのまま意識を失った。
そして夢をみた。
日本で暮らし、平々凡々な日々の中、友人が命を捧げるんじゃないかと思うほどハマっている漫画の推しの顔。
その顔を見て目が覚めた。
なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。
数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。
幼少期、最初はツラい状況が続きます。
作者都合のゆるふわご都合設定です。
1日1話更新目指してます。
エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。
お楽しみ頂けたら幸いです。
***************
2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます!
100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!!
2024年9月9日 お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます!
200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!!
冷遇ですか?違います、厚遇すぎる程に義妹と婚約者に溺愛されてます!
ユウ
ファンタジー
トリアノン公爵令嬢のエリーゼは秀でた才能もなく凡庸な令嬢だった。
反対に次女のマリアンヌは社交界の華で、弟のハイネは公爵家の跡継ぎとして期待されていた。
嫁ぎ先も決まらず公爵家のお荷物と言われていた最中ようやく第一王子との婚約がまとまり、その後に妹のマリアンヌの婚約が決まるも、相手はスチュアート伯爵家からだった。
華麗なる一族とまで呼ばれる一族であるが相手は伯爵家。
マリアンヌは格下に嫁ぐなんて論外だと我儘を言い、エリーゼが身代わりに嫁ぐことになった。
しかしその数か月後、妹から婚約者を寝取り略奪した最低な姉という噂が流れだしてしまい、社交界では爪はじきに合うも。
伯爵家はエリーゼを溺愛していた。
その一方でこれまで姉を踏み台にしていたマリアンヌは何をしても上手く行かず義妹とも折り合いが悪く苛立ちを抱えていた。
なのに、伯爵家で大事にされている姉を見て激怒する。
「お姉様は不幸がお似合いよ…何で幸せそうにしているのよ!」
本性を露わにして姉の幸福を妬むのだが――。
転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す
エルリア
ファンタジー
【祝!第17回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞!】
転売屋(テンバイヤー)が異世界に飛ばされたらチートスキルを手にしていた!
元の世界では疎まれていても、こっちの世界なら問題なし。
相場スキルを駆使して目指せ夢のマイショップ!
ふとしたことで異世界に飛ばされた中年が、青年となってお金儲けに走ります。
お金は全てを解決する、それはどの世界においても同じ事。
金金金の主人公が、授かった相場スキルで私利私欲の為に稼ぎまくります。
元悪の組織の怪人が異能力バトルなどに巻き込まれる話(旧題:世の中いろんなヤツがいる)
外套ぜろ
ファンタジー
狼谷牙人は、いわゆる「悪の組織」に改造手術を受けた「悪の怪人」だった。
その組織が正義のヒーローに敗れて滅亡してからはや一年。正体を隠してフリーター生活を送っていた彼は、ひょんなことから路地裏で「異能力」を操る者たちの戦闘に巻き込まれる。
「君の力も、異能力だ」
「違うな」
謎の勘違いをされた牙人は、異能力の世界へと足を踏み入れることになる……。
どうやら、この現代社会には、牙人のように「不可思議な事情」を抱えた者たちがそれなりに暮らしているらしい。
——これは、そんな彼らの織り成す、少し変わった青春の物語。
不定期更新。
カクヨム、小説家になろうでも連載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる