見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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二二八

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「村長。そんなに簡単に忠誠を誓って良いのか?さっきも言ったが、僕たちは慈善事業をしているのではない。裏切り者にはそれ相応の対価を支払ってもらうんだぞ?」

「それは帝国も同じこと。今と大して変わりません。いえ、帝国にはこの村のこの現状は救えますまい。私は何の力もありませんが、それでも村長です。何とぞこの村を」

 村長は更に低く頭を下げた。

「村長……」

 俺は村長の体を起こした。

「蜻蛉洲、頼む。俺からもお願いしたい」

 俺は蜻蛉洲に頭を下げた。

「……」

 蜻蛉洲は沈黙した。
沈黙の時間が長く感じる。

「……そこまで言うなら良いだろう。但し約束を違えたら、この村は消えると思ってもらおう」

 蜻蛉洲は静かにそう言った。
如何に蜻蛉洲と言えど、一人で決定する事に何かしら抵抗があったのかもしれない。

「ありがとうございます!」

 男も慌てて膝をついた。

「ありがとうございます!」

「……ところで令子が遅いな。何をしている」

 言われてみれば確かに遅い。
もうとっくに戻ってきてても良い頃だ。

「令子、何をしている」

 蜻蛉洲が令子を呼び出す。

「あら、ごめんなさい。ちょっと取り込み中なのよ」

 取り込み中?
何をしているんだ。

「……戦闘中か」

 蜻蛉洲が尋ねた。

「まあね」

 まだ戦闘中なのか。
残りわずかだったのだが、実はまだ居たのか。

「レオ、見てきてくれ。必要なら手を貸してやってくれ」

「わかった」

 俺は三度ボードに飛び乗ると、また令子の元へと折り返した。
それにしても、俺が手を貸す事などあるのだろうか。
戦闘は嫌いだと言っていたが、それでも令子に勝てる奴など居ないだろう。

「なんだ、ありゃあ」

 俺は上空から見て呟いた。
竜巻だ。
巨大な竜巻が立ち上っている。
結構距離があるが、もうここまで強い風が吹き荒れている。

「風が強いなと思っていたら……」

 まさか、竜巻だとは。
村までは数キロ。
これ以上接近するようだとかなりまずい。

 令子は。
俺は令子を探した。

「令子さん、居るかい?」

 俺は令子に問いかけた。

「来てくれたの?良かったのに」

 令子の声が風の音で聞き取りにくい。
いったいどこに居るのか。

 俺はよく目を凝らした。

「居た……」

 竜巻の中に人影がある。
あれだ。
何で竜巻の中心に居るんだ? 

 そろそろボードの制御が難しくなってきた。
俺は地上に降りると自力で走った。

 竜巻に近づくにつれて、様々な物が飛んでいるのが判る。
石や木の葉は言うに及ばず、大木が一本丸々飛んでいる。
根こそぎ引き抜かれたのか。
そんなものが何本も渦を巻き、上空へと舞い上がっていく。

 令子はその中でじっと立っていた。
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