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一五七
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オオムカデンダルが沈黙のまま俺と蜻蛉洲を交互に見比べた。
「ベニクラゲを知っているか?地球上で最も寿命が長いと言われている」
蜻蛉洲は説明を続ける。
オオムカデンダルは黙って話の先を待っていた。
「一般的に寿命が長いと言われている生物でも百年か、せいぜい数百年だ。植物なら更に長い。屋久杉みたいに千年、二千年なんてのもある。だがベニクラゲは桁が違う。五億年だ」
五億年。
確かに桁が違う。
違いすぎてよく判らない。
「神代の太古、魔王や神々が争い、人間と精霊が共に暮らしていた頃……なんて言うおとぎ話も裸足で逃げ出す超長寿命だ。ハッキリ言って封印されし邪神なんて者が居たとしたら、ベニクラゲから見れば『青二才』もいいところだ。なんと言っても五億年だからな。それに比べれば人類史など去年から今年に掛けてくらいの出来事だよ」
蜻蛉洲の説明は判りやすいが、スケールが大きすぎてイマイチ入ってこない。
「それに、断っておくが『五億年』生きた個体がいたと言われているだけで、理論上は永遠だ。寿命が来るとポリプになり、そこからもう一度クラゲになって二度目の人生を……いや、クラゲ生をやり直すわけだ。それを永遠に繰り返す」
つまり、老人になったら子供に戻って一からやり直す的な事なのか。
そんな生物がいるのか。
「もちろん、それが無敵と言うわけではない。ベニクラゲは所詮プランクトンだ。捕食される側だ。だがレオは捕食される側ではない。改造人間だからな。それがどういう意味か判るだろう?」
なるほど。
だから『倒せん』と言ったのか。
死なないなら倒せない。
「レオにはこの能力を発展強化してある。ダメージを受けても、最悪死んでも、そこからポリプになり再起動される。永遠にな。これはクライムクリスタルを持つ俺たちが死なないことを、クライムクリスタルを持たないレオが擬似的に実現していると言う事だ」
蜻蛉洲の説明を聞きながら、オオムカデンダルは俺を眺めた。
「……なるほどな。確かに死なないのは凄い。それは判った。だが、あくまでも死なないと言うだけで、負けない訳ではあるまい」
オオムカデンダルが最後の足掻きをみせる。
「もちろんそうだ。だがそれは俺たちも同じことだ。自分より相手が強ければ負けることもある。実際俺たちは『ベクターシード』に負けた結果、この世界にいる訳だしな」
そこで蜻蛉洲は少し自虐的な笑みを見せた。
「……チッ。蜻蛉洲。やっぱりさすがだよ。俺が思っているよりも凄ぇの造ってきたな」
ここでオオムカデンダルは遂に納得した。
「ベニクラゲを知っているか?地球上で最も寿命が長いと言われている」
蜻蛉洲は説明を続ける。
オオムカデンダルは黙って話の先を待っていた。
「一般的に寿命が長いと言われている生物でも百年か、せいぜい数百年だ。植物なら更に長い。屋久杉みたいに千年、二千年なんてのもある。だがベニクラゲは桁が違う。五億年だ」
五億年。
確かに桁が違う。
違いすぎてよく判らない。
「神代の太古、魔王や神々が争い、人間と精霊が共に暮らしていた頃……なんて言うおとぎ話も裸足で逃げ出す超長寿命だ。ハッキリ言って封印されし邪神なんて者が居たとしたら、ベニクラゲから見れば『青二才』もいいところだ。なんと言っても五億年だからな。それに比べれば人類史など去年から今年に掛けてくらいの出来事だよ」
蜻蛉洲の説明は判りやすいが、スケールが大きすぎてイマイチ入ってこない。
「それに、断っておくが『五億年』生きた個体がいたと言われているだけで、理論上は永遠だ。寿命が来るとポリプになり、そこからもう一度クラゲになって二度目の人生を……いや、クラゲ生をやり直すわけだ。それを永遠に繰り返す」
つまり、老人になったら子供に戻って一からやり直す的な事なのか。
そんな生物がいるのか。
「もちろん、それが無敵と言うわけではない。ベニクラゲは所詮プランクトンだ。捕食される側だ。だがレオは捕食される側ではない。改造人間だからな。それがどういう意味か判るだろう?」
なるほど。
だから『倒せん』と言ったのか。
死なないなら倒せない。
「レオにはこの能力を発展強化してある。ダメージを受けても、最悪死んでも、そこからポリプになり再起動される。永遠にな。これはクライムクリスタルを持つ俺たちが死なないことを、クライムクリスタルを持たないレオが擬似的に実現していると言う事だ」
蜻蛉洲の説明を聞きながら、オオムカデンダルは俺を眺めた。
「……なるほどな。確かに死なないのは凄い。それは判った。だが、あくまでも死なないと言うだけで、負けない訳ではあるまい」
オオムカデンダルが最後の足掻きをみせる。
「もちろんそうだ。だがそれは俺たちも同じことだ。自分より相手が強ければ負けることもある。実際俺たちは『ベクターシード』に負けた結果、この世界にいる訳だしな」
そこで蜻蛉洲は少し自虐的な笑みを見せた。
「……チッ。蜻蛉洲。やっぱりさすがだよ。俺が思っているよりも凄ぇの造ってきたな」
ここでオオムカデンダルは遂に納得した。
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