見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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一三一

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「電撃やレーザーブレードの類いは効果がないようだが、純粋な打撃力は通用するって訳だ。ただし相当硬いようだが……」

 オオムカデンダルがライエルを見据えて言った。

「……なに?」

 ライエルが眉間にしわを寄せた。
何を言っているのか判らないのだろう。
俺もそうだ。

「だが、通用すると判れば話は単純だ。より強い力があればいい……管理人、センチピーダーをよこせ。大至急だ」

 オオムカデンダルはまたしても『管理人』なる者になにがしかを要望した。
いったい誰と話しているのか。

「さて……時間まで少しかかるが」

 オオムカデンダルがそう言いながらライエルをチラリと見た。
挑発しているのか。
現状、何一つ有利になっていないこの状況で、この余裕は何なのか。

「ふふふ。これは驚いた。さっきまでとはまるで態度が違う」

 ライエルが皮肉混じりに笑う。

「それは言いっこなしだ。お前だってその龍が来るまでは同じような物だったぞ?」

 オオムカデンダルの言葉にライエルは言葉を飲み込んだ。
本当の事だから言い返せない。

「ふふ……だったら、今すぐ叩きのめしてやる。時間などやらん」

「焦るなよ、どうせすぐ来る。攻撃をかわすだけなら、なんてこともない」

 ライエルとオオムカデンダルは互いに言葉を交わすと、突然戦いが再開した。

 ギャアアアアアンッ!

 ワイバーンが咆哮する。
そのまま口から火の玉を吐き出した。

 ファイヤー・ボールだ。

「おっと」

 それをオオムカデンダルは軽くかわす。

 ドドオオオオオオンッ!

 地面に着弾したファイヤー・ボールはド派手に火柱を上げて炸裂した。
辺りが炎で明るく照らされる。

 信じられない威力だ。
さっきまで飛んできた上位魔法のフレイム・アローよりも断然威力がある。
ただの炎系下位魔法のファイヤー・ボールが、ワイバーンが放つだけで全く別物のようだった。

「……まさかフレイム・アローも撃てるんじゃないだろうな」

 俺はその威力を想像して思わず呟いた。

「へへっ。さっきよりも気合いが入ってるな」

 オオムカデンダルがファイヤー・ボールの威力を見て嬉しそうに言った。
本当に大丈夫なのか。
この光景を見て、なぜそんなに嬉しそうなのか俺には理解できなかった。
どういう精神構造をしているのか。

 キィィィィィィン! 

 どこからともなく甲高い音が近付いてくる。
俺はあまりの大音量に耳をふさいだ。

 いったい、なんだ!?

 夜空に光の点が見えた。
形が影となって見える。
かなり大きいようだ。
しかし、闇夜でハッキリしなかった。

 だが、間違いない。
こんな訳の判らない物は、オオムカデンダルの物だろう。

「さあ、来たぜ。お待ちかねだ」
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