37 / 826
三七
しおりを挟む
「別に問題ない。取り敢えず三人としただけだ」
俺は正直に話した。
「そう。なら遠慮なく入らせてもらうわ」
女はそう言って後ろの仲間を招き寄せた。
「私たちは三名で固定パーティーを組んでるの。元は五名だったんだけど、まあ色々あってね」
女もまた正直に話した。
別にそこまで言わなくても良さそうなものだが。
「私はディーレ。ハイパーナイトクラスのエンチャントレスよ」
まず彼女が名乗った。
赤毛は中々珍しい。
短くカットした髪の毛と少しのそばかす。
意思の強そうな眉。
アクティブな彼女の性格が表に出ているように見える。
「俺はガイだ。同じハイパーナイトクラスで衛士をやっている」
男は見た目通りのタンク役か。
大きな頑強そうな盾を持っているので一目でそれと判る。
プレートメイルを着込んで背中にメイスを担いでいる。
守りは相当に堅そうだった。
「アタシはルガ。ハイパーナイトクラスのレンジャーさ」
レンジャーか。
俺は屋敷に置いてきた彼女のことを思い出した。
褐色の肌をした少年だと思っていたが少女だったのか。
しかし、この若さでハイパーナイトクラスとは信じられない。
「……今、ガキのくせにハイパーナイトかよって思ったろ?」
俺は図星を突かれて面食らった。
「アタシはダークエルフだよ。だから歳はアンタよりも歳上。非公開だけど」
そう言ってニカッと笑った。
亜人種は珍しい。
ましてやダークエルフはもっと珍しい。
髪を掻き上げると、確かに尖った耳が見えた。
「彼はバルバ。ハイパーナイトクラスのモンクだ」
俺はまずバルバを紹介した。
「そして俺が依頼主のレオだ。見ての通りの剣士でクラスはミラーナイトだ」
俺がミラーナイトであることを告げると、やはり一瞬空気が固まった。
「まあ、言いたいことは判る。だが時間が惜しいから行きながら話そう」
俺はそう言って強引に話を打ち切った。
「メンバーはこれで良いとして、このまま向かうか?」
俺はバルバに意見を求めた。
「特に用意すべき物がなければこのままでも良いだろう。食料などは行きながら途中で買えよう」
俺は、そうだなとうなずいた。
「場所は外れの廃墟だ。歩けば一時間といったところだ」
目的は全員理解している。
簡単な指示だけで彼らはやってくれるだろう。
なにせ彼らはハイパーナイトクラスなのだ。
斡旋所を出て歩きながら、俺は簡単に事の成り行きを話した。
途中の店で簡単に食料などを買った。
「簡単そうな依頼の割りに報酬がやけに良いなとは思ったのよねぇ」
ディーレが言った。
だが嫌そうではない。笑っている。
「だが真相は何も判らん。行ってみたら、もしかして何てことない案件なのかもしれんぞ」
俺はそう言った。
本当に何も判らないのだ。
プニーフタールを追う手がかりはない。
怪しい案件は片っ端から当たるしかなかった。
俺は正直に話した。
「そう。なら遠慮なく入らせてもらうわ」
女はそう言って後ろの仲間を招き寄せた。
「私たちは三名で固定パーティーを組んでるの。元は五名だったんだけど、まあ色々あってね」
女もまた正直に話した。
別にそこまで言わなくても良さそうなものだが。
「私はディーレ。ハイパーナイトクラスのエンチャントレスよ」
まず彼女が名乗った。
赤毛は中々珍しい。
短くカットした髪の毛と少しのそばかす。
意思の強そうな眉。
アクティブな彼女の性格が表に出ているように見える。
「俺はガイだ。同じハイパーナイトクラスで衛士をやっている」
男は見た目通りのタンク役か。
大きな頑強そうな盾を持っているので一目でそれと判る。
プレートメイルを着込んで背中にメイスを担いでいる。
守りは相当に堅そうだった。
「アタシはルガ。ハイパーナイトクラスのレンジャーさ」
レンジャーか。
俺は屋敷に置いてきた彼女のことを思い出した。
褐色の肌をした少年だと思っていたが少女だったのか。
しかし、この若さでハイパーナイトクラスとは信じられない。
「……今、ガキのくせにハイパーナイトかよって思ったろ?」
俺は図星を突かれて面食らった。
「アタシはダークエルフだよ。だから歳はアンタよりも歳上。非公開だけど」
そう言ってニカッと笑った。
亜人種は珍しい。
ましてやダークエルフはもっと珍しい。
髪を掻き上げると、確かに尖った耳が見えた。
「彼はバルバ。ハイパーナイトクラスのモンクだ」
俺はまずバルバを紹介した。
「そして俺が依頼主のレオだ。見ての通りの剣士でクラスはミラーナイトだ」
俺がミラーナイトであることを告げると、やはり一瞬空気が固まった。
「まあ、言いたいことは判る。だが時間が惜しいから行きながら話そう」
俺はそう言って強引に話を打ち切った。
「メンバーはこれで良いとして、このまま向かうか?」
俺はバルバに意見を求めた。
「特に用意すべき物がなければこのままでも良いだろう。食料などは行きながら途中で買えよう」
俺は、そうだなとうなずいた。
「場所は外れの廃墟だ。歩けば一時間といったところだ」
目的は全員理解している。
簡単な指示だけで彼らはやってくれるだろう。
なにせ彼らはハイパーナイトクラスなのだ。
斡旋所を出て歩きながら、俺は簡単に事の成り行きを話した。
途中の店で簡単に食料などを買った。
「簡単そうな依頼の割りに報酬がやけに良いなとは思ったのよねぇ」
ディーレが言った。
だが嫌そうではない。笑っている。
「だが真相は何も判らん。行ってみたら、もしかして何てことない案件なのかもしれんぞ」
俺はそう言った。
本当に何も判らないのだ。
プニーフタールを追う手がかりはない。
怪しい案件は片っ端から当たるしかなかった。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
元悪の組織の怪人が異能力バトルなどに巻き込まれる話(旧題:世の中いろんなヤツがいる)
外套ぜろ
ファンタジー
狼谷牙人は、いわゆる「悪の組織」に改造手術を受けた「悪の怪人」だった。
その組織が正義のヒーローに敗れて滅亡してからはや一年。正体を隠してフリーター生活を送っていた彼は、ひょんなことから路地裏で「異能力」を操る者たちの戦闘に巻き込まれる。
「君の力も、異能力だ」
「違うな」
謎の勘違いをされた牙人は、異能力の世界へと足を踏み入れることになる……。
どうやら、この現代社会には、牙人のように「不可思議な事情」を抱えた者たちがそれなりに暮らしているらしい。
——これは、そんな彼らの織り成す、少し変わった青春の物語。
不定期更新。
カクヨム、小説家になろうでも連載中。
当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!
犬丸大福
ファンタジー
ユーディリア・エアトルは母親からの折檻を受け、そのまま意識を失った。
そして夢をみた。
日本で暮らし、平々凡々な日々の中、友人が命を捧げるんじゃないかと思うほどハマっている漫画の推しの顔。
その顔を見て目が覚めた。
なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。
数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。
幼少期、最初はツラい状況が続きます。
作者都合のゆるふわご都合設定です。
1日1話更新目指してます。
エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。
お楽しみ頂けたら幸いです。
***************
2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます!
100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!!
2024年9月9日 お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます!
200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!!
千技の魔剣士 器用貧乏と蔑まれた少年はスキルを千個覚えて無双する
大豆茶
ファンタジー
とある男爵家にて、神童と呼ばれる少年がいた。
少年の名はユーリ・グランマード。
剣の強さを信条とするグランマード家において、ユーリは常人なら十年はかかる【剣術】のスキルレベルを、わずか三ヶ月、しかも若干六歳という若さで『レベル3』まで上げてみせた。
先に修練を始めていた兄をあっという間に超え、父ミゲルから大きな期待を寄せられるが、ある日に転機が訪れる。
生まれ持つ【加護】を明らかにする儀式を受けたユーリが持っていたのは、【器用貧乏】という、極めて珍しい加護だった。
その効果は、スキルの習得・成長に大幅なプラス補正がかかるというもの。
しかし、その代わりにスキルレベルの最大値が『レベル3』になってしまうというデメリットがあった。
ユーリの加護の正体を知ったミゲルは、大きな期待から一転、失望する。何故ならば、ユーリの剣は既に成長限界を向かえていたことが判明したからだ。
有力な騎士を排出することで地位を保ってきたグランマード家において、ユーリの加護は無価値だった。
【剣術】スキルレベル3というのは、剣を生業とする者にとっては、せいぜい平均値がいいところ。王都の騎士団に入るための最低条件すら満たしていない。
そんなユーリを疎んだミゲルは、ユーリが妾の子だったこともあり、軟禁生活の後に家から追放する。
ふらふらの状態で追放されたユーリは、食料を求めて森の中へ入る。
そこで出会ったのは、自らを魔女と名乗る妙齢の女性だった。
魔女に命を救われたユーリは、彼女の『実験』の手伝いをすることを決断する。
その内容が、想像を絶するものだとは知らずに――
Dマシンドール 迷宮王の遺産を受け継ぐ少女
草乃葉オウル
ファンタジー
世界中にダンジョンと呼ばれる異空間が現れてから三十年。人類はダンジョンの脅威に立ち向かうため、脳波による遠隔操作が可能な人型異空間探査機『ダンジョン・マシンドール』を開発した。これにより生身では危険かつ非効率的だったダンジョンの探査は劇的に進み、社会はダンジョンから得られる未知の物質と技術によってさらなる発展を遂げていた。
そんな中、ダンジョンともマシンとも無関係な日々を送っていた高校生・萌葱蒔苗《もえぎまきな》は、突然存在すら知らなかった祖父の葬儀に呼ばれ、1機のマシンを相続することになる。しかも、その祖父はマシンドール開発の第一人者にして『迷宮王』と呼ばれる現代の偉人だった。
なぜ両親は祖父の存在を教えてくれなかったのか、なぜ祖父は会ったこともない自分にマシンを遺したのか……それはわからない。でも、マシンを得たならやるべきことは1つ。ダンジョンに挑み、モンスターを倒し、手に入れた素材でマシンをカスタム! そして最強の自分専用機を造り上げる! それが人を、世界を救うことに繋がっていくことを、蒔苗はまだ知らない。
【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】
・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー!
十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。
そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。
その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。
さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。
柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。
しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。
人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。
そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。
冷遇ですか?違います、厚遇すぎる程に義妹と婚約者に溺愛されてます!
ユウ
ファンタジー
トリアノン公爵令嬢のエリーゼは秀でた才能もなく凡庸な令嬢だった。
反対に次女のマリアンヌは社交界の華で、弟のハイネは公爵家の跡継ぎとして期待されていた。
嫁ぎ先も決まらず公爵家のお荷物と言われていた最中ようやく第一王子との婚約がまとまり、その後に妹のマリアンヌの婚約が決まるも、相手はスチュアート伯爵家からだった。
華麗なる一族とまで呼ばれる一族であるが相手は伯爵家。
マリアンヌは格下に嫁ぐなんて論外だと我儘を言い、エリーゼが身代わりに嫁ぐことになった。
しかしその数か月後、妹から婚約者を寝取り略奪した最低な姉という噂が流れだしてしまい、社交界では爪はじきに合うも。
伯爵家はエリーゼを溺愛していた。
その一方でこれまで姉を踏み台にしていたマリアンヌは何をしても上手く行かず義妹とも折り合いが悪く苛立ちを抱えていた。
なのに、伯爵家で大事にされている姉を見て激怒する。
「お姉様は不幸がお似合いよ…何で幸せそうにしているのよ!」
本性を露わにして姉の幸福を妬むのだが――。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す
エルリア
ファンタジー
【祝!第17回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞!】
転売屋(テンバイヤー)が異世界に飛ばされたらチートスキルを手にしていた!
元の世界では疎まれていても、こっちの世界なら問題なし。
相場スキルを駆使して目指せ夢のマイショップ!
ふとしたことで異世界に飛ばされた中年が、青年となってお金儲けに走ります。
お金は全てを解決する、それはどの世界においても同じ事。
金金金の主人公が、授かった相場スキルで私利私欲の為に稼ぎまくります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる