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本編
不勉強だぜ
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唯桜が美紅の腕を掴まえて引き起こした。
邪神は連携の要が美紅だと気付いた様だった。
「おめえを狙って来るつもりだぞ」
唯桜が言う。
「……狙って来るのが解ってるなら、かえってやり易いわ」
美紅が答えた。
「へっ。上等」
そう言って唯桜が再び邪神へと向かって行く。
激しい打ち合いが続く。
突然、唯桜の背後から牛嶋が現れた。
跳躍して頭上から真っ向唐竹割りだ。
唯桜が咄嗟に飛び退く。
邪神が手をかざして見えない力で牛嶋の刀を受け止めた。
「むう」
牛嶋が万力の如き力で刀を押す。
邪神の力と拮抗していた。
ダダダッ!
短く銃声が鳴り響いた。
唯桜がエネルギー弾を三発発射した。
邪神は牛嶋の刀を受け止めつつ、もう片方の手で宙を払った。
グインと屈折してエネルギー弾の弾道が曲がる。
ボンボボンッ!
邪神の周囲へと逸れて着弾した。
「……ちっ。こんだけの豪雨だとイマイチ直進しねえ」
例え邪神が逸らせたにせよ、もう少し近くに着弾出来れば意味もあるのだが。
不意を突いて邪神の足首をスネーク・ビュートが取った。
右足に巻き付いた所を美紅が引っ張る。
「お前の方から招いてくれるとはな」
邪神が牛嶋の刀を跳ね返し、そのまま美紅の元へとジャンプした。
空中で右腕を振り上げる。
パンチか?
美紅は咄嗟に腕を交差させて受け止めようとした。
ビービービーッ!
警報が鳴る。
頭上注意のサインだ。
美紅は受けるのを中止して、慌てて横っ飛びに飛んだ。
ピシャアアアアンッ!
特大の落雷が美紅のいた場所へ落ちて来た。
紙一重の差である。
「パンチは囮……神様のくせにセコイわね」
美紅が立ち上がって言った。
邪神が心なしか不機嫌そうに見える。
「やはり稲妻を読んでいるな。どうやっているのかは解らんが小癪な」
得意の落雷がまだ一発も決まっていない。
邪神と言えども不機嫌にはなるだろう。
「お前達は何者だ。人間の匂いがするが……」
邪神が尋ねた。
「さあな。人間の様なそうでも無い様な……だが、そんな事は別にどうでも良いだろ。それとも何か、宗教上の理由で改造人間は食べちゃいけねえのか?」
唯桜が答える。
相変わらず戦いに理由など要らないと言わんばかりである。
いや、実際そう言っているのだが。
「改造人間……?」
邪神が何かしら考えている。
聞き慣れない言葉に戸惑っている様に見える。
神様と言えど知らない事はあるもんだ。
唯桜はそれには構わず三度邪神へ襲いかかる。
「ふんっ!」
邪神が右腕を大きく払う。
唯桜は空中で横へ大きく吹き飛ばされた。
背中から泥の中へ落ちる。
「くっそ、時々神様っぽいんだよな」
唯桜が文句を言いながら立ち上がった。
バッ!
邪神の背中に突然羽が生えた。
三人は驚いて目を見張る。
「流石は邪神。何でも有りね」
美紅が感心した。
「ただでも決め手に欠けるのに空まで飛ばれちゃあな……どうすんだこれ」
ボヤく唯桜をよそに、邪神は大鷲の様な羽を羽ばたかせると空へと舞い上がった。
両腕を広げる。
ドガガガガアーンッ!
辺りに十数本、まとめて雷が落ちた。
「うおおおおおっ!」
美紅と唯桜が吹っ飛ぶ。
牛嶋は何とかかわした。
「はははは。風も呼ぼう。嵐だ! それも特大のな!」
集中豪雨に馬鹿みたいな落雷。
この上暴風まで吹き荒れては堪ったもんでは無い。
自然の力には流石の改造魔人も分が悪かった。
「……特大らしいぜ。どうすんだ」
現行戦力では打つ手無しである。
唯桜は両手を腰に当てて邪神を見上げた。
「私を狙って来るのは解ってるから、囮をやってあげるわ。アンタ何とかしなさい」
美紅が言った。
唯桜が美紅を見る。
「何とかって、どうすんだよ。誘導弾なんてねえぞ」
「あるわよ」
美紅の言葉に唯桜が、は? と言った。
そこへ竜巻が発生する。
あっと言う間に発達して、巨大な竜巻が辺りに巻き起こった。
その数三本。
ゲニウスはヘッジ・ブルのアンカーを地面に撃ち込んだ。
「これでそう簡単には飛ばされないぞ。何処まで保つか解んないけど……」
そう言ってゲニウスは苦笑いする。
はっきり言って少々不味い展開だ。
想像していたよりも邪神と言うのは強い。流石は神様だ。
キイイイイイインッ!
突然、大気を切り裂く音がする。
三人が音のする方を見た。
見慣れた物体が飛来するのが見えた。
「あれは……」
「呼んでおいたわよ。何とかしなさい」
驚く唯桜に美紅がそう言って背中を押した。
「へっ、やるじゃねえか」
唯桜が美紅を見た。
拠点強襲爆撃機、チェリー・ブロッサム。
唯桜のマシンだ。
キイイイイイインッ!
邪神の頭上を旋回する。
「……何だこれは?」
邪神が戸惑う。
「流石の神様もご存じ無いって訳だ。どうせ永い事人間の観察なんてして無かったんだろう? 駄目だぜ、不勉強はよ!」
勉強と無縁の男が何を言うか、と美紅が内心突っ込んだ。
「人間め……こんな妙な物を」
唯桜はチェリー・ブロッサムとリンクした。
これで以後、チェリー・ブロッサムは唯桜の指揮下である。
「今度はヤゴスの力を味わわせてやるぜ!」
唯桜が高らかに宣言した。
邪神は連携の要が美紅だと気付いた様だった。
「おめえを狙って来るつもりだぞ」
唯桜が言う。
「……狙って来るのが解ってるなら、かえってやり易いわ」
美紅が答えた。
「へっ。上等」
そう言って唯桜が再び邪神へと向かって行く。
激しい打ち合いが続く。
突然、唯桜の背後から牛嶋が現れた。
跳躍して頭上から真っ向唐竹割りだ。
唯桜が咄嗟に飛び退く。
邪神が手をかざして見えない力で牛嶋の刀を受け止めた。
「むう」
牛嶋が万力の如き力で刀を押す。
邪神の力と拮抗していた。
ダダダッ!
短く銃声が鳴り響いた。
唯桜がエネルギー弾を三発発射した。
邪神は牛嶋の刀を受け止めつつ、もう片方の手で宙を払った。
グインと屈折してエネルギー弾の弾道が曲がる。
ボンボボンッ!
邪神の周囲へと逸れて着弾した。
「……ちっ。こんだけの豪雨だとイマイチ直進しねえ」
例え邪神が逸らせたにせよ、もう少し近くに着弾出来れば意味もあるのだが。
不意を突いて邪神の足首をスネーク・ビュートが取った。
右足に巻き付いた所を美紅が引っ張る。
「お前の方から招いてくれるとはな」
邪神が牛嶋の刀を跳ね返し、そのまま美紅の元へとジャンプした。
空中で右腕を振り上げる。
パンチか?
美紅は咄嗟に腕を交差させて受け止めようとした。
ビービービーッ!
警報が鳴る。
頭上注意のサインだ。
美紅は受けるのを中止して、慌てて横っ飛びに飛んだ。
ピシャアアアアンッ!
特大の落雷が美紅のいた場所へ落ちて来た。
紙一重の差である。
「パンチは囮……神様のくせにセコイわね」
美紅が立ち上がって言った。
邪神が心なしか不機嫌そうに見える。
「やはり稲妻を読んでいるな。どうやっているのかは解らんが小癪な」
得意の落雷がまだ一発も決まっていない。
邪神と言えども不機嫌にはなるだろう。
「お前達は何者だ。人間の匂いがするが……」
邪神が尋ねた。
「さあな。人間の様なそうでも無い様な……だが、そんな事は別にどうでも良いだろ。それとも何か、宗教上の理由で改造人間は食べちゃいけねえのか?」
唯桜が答える。
相変わらず戦いに理由など要らないと言わんばかりである。
いや、実際そう言っているのだが。
「改造人間……?」
邪神が何かしら考えている。
聞き慣れない言葉に戸惑っている様に見える。
神様と言えど知らない事はあるもんだ。
唯桜はそれには構わず三度邪神へ襲いかかる。
「ふんっ!」
邪神が右腕を大きく払う。
唯桜は空中で横へ大きく吹き飛ばされた。
背中から泥の中へ落ちる。
「くっそ、時々神様っぽいんだよな」
唯桜が文句を言いながら立ち上がった。
バッ!
邪神の背中に突然羽が生えた。
三人は驚いて目を見張る。
「流石は邪神。何でも有りね」
美紅が感心した。
「ただでも決め手に欠けるのに空まで飛ばれちゃあな……どうすんだこれ」
ボヤく唯桜をよそに、邪神は大鷲の様な羽を羽ばたかせると空へと舞い上がった。
両腕を広げる。
ドガガガガアーンッ!
辺りに十数本、まとめて雷が落ちた。
「うおおおおおっ!」
美紅と唯桜が吹っ飛ぶ。
牛嶋は何とかかわした。
「はははは。風も呼ぼう。嵐だ! それも特大のな!」
集中豪雨に馬鹿みたいな落雷。
この上暴風まで吹き荒れては堪ったもんでは無い。
自然の力には流石の改造魔人も分が悪かった。
「……特大らしいぜ。どうすんだ」
現行戦力では打つ手無しである。
唯桜は両手を腰に当てて邪神を見上げた。
「私を狙って来るのは解ってるから、囮をやってあげるわ。アンタ何とかしなさい」
美紅が言った。
唯桜が美紅を見る。
「何とかって、どうすんだよ。誘導弾なんてねえぞ」
「あるわよ」
美紅の言葉に唯桜が、は? と言った。
そこへ竜巻が発生する。
あっと言う間に発達して、巨大な竜巻が辺りに巻き起こった。
その数三本。
ゲニウスはヘッジ・ブルのアンカーを地面に撃ち込んだ。
「これでそう簡単には飛ばされないぞ。何処まで保つか解んないけど……」
そう言ってゲニウスは苦笑いする。
はっきり言って少々不味い展開だ。
想像していたよりも邪神と言うのは強い。流石は神様だ。
キイイイイイインッ!
突然、大気を切り裂く音がする。
三人が音のする方を見た。
見慣れた物体が飛来するのが見えた。
「あれは……」
「呼んでおいたわよ。何とかしなさい」
驚く唯桜に美紅がそう言って背中を押した。
「へっ、やるじゃねえか」
唯桜が美紅を見た。
拠点強襲爆撃機、チェリー・ブロッサム。
唯桜のマシンだ。
キイイイイイインッ!
邪神の頭上を旋回する。
「……何だこれは?」
邪神が戸惑う。
「流石の神様もご存じ無いって訳だ。どうせ永い事人間の観察なんてして無かったんだろう? 駄目だぜ、不勉強はよ!」
勉強と無縁の男が何を言うか、と美紅が内心突っ込んだ。
「人間め……こんな妙な物を」
唯桜はチェリー・ブロッサムとリンクした。
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