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最終章〜終結。そして始まる

127話〜困惑と互いの関係{★}

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 ここは、名もなき城の中庭。そして、中央の祭壇と南側の祭壇の中間に位置する場所である。

 ラシェルは、ひたすら南側の祭壇へと向かい走っていた。

 するとラシェル目の前に、数名のシェルズ城の者が現れ行く手を遮った。

 その中に三毛模様の猫の獣人ハーフの男がいて、ラシェルの方へと近づいてきた。

 猫の獣人ハーフの男は、ラシェルの側までくると品定めをするような目でみる。

「これはこれは……。これほど美しくエレガントな女性は、今まで見たことがありません」

 そう言うと猫の獣人ハーフの男は、ラシェルのまわりを一周した。

「ですが何故、貴女のような方がこのようなところにおられるのですか?」

「何が言いたいのでしょう。なぜ私が、ここにいてはいけないのですか?」

 ラシェルは、行く手を遮られた挙句、わけの分からないことを言われ困惑していた。

「そういう意味ではないのですが。うむ、そうですねぇ。貴女とここで会ってしまった。という事は、ここで僕は貴女と戦わなければなりません」

 猫の獣人ハーフの男は、ラシェルと戦いたくなかったので、どうしたらいいかと模索していた。

「ええ、それは分かります。ですが、私は貴方が何を言いたいのか理解できません」

 そう言うとラシェルは杖を構え、猫の獣人ハーフの男を警戒しながら間合いをとる。

「まあ、いいでしょう。本当は、女性に傷を負わしたくはありませんでした。ですが、この状況では戦うしかないようですしね」

 そう言い猫の獣人ハーフの男は、仲間に待つように指示を出した。

 そして猫の獣人ハーフの男が、ラシェル目掛け魔法を放とうとしたその直後。

 《漆黒の炎犬!!ジェットブラックフレイムドッグ

 そう呪文が聞こえたと同時に、ラシェルの背後から漆黒の炎を纏った犬が現れた。

 その漆黒の炎犬は、勢いよくラシェルの右側を通りすぎ、猫の獣人ハーフの男に飛びかかる。

 だが猫の獣人ハーフの男は、漆黒の炎犬が現れた瞬間それに気づき条件反射で避けた。

 その後、漆黒の炎犬は跡形もなく消えた。

 猫の獣人ハーフの男は、この魔法と誰がこの魔法を得意としていたのかを知っていた。

「こ、この魔法は……。まさか!?」

 猫の獣人ハーフの男は、その魔法を放った者を探した。

「あ~あ。僕の攻撃が避けられちゃったぁ。でもニャムは相変わらずみたいだね」

 アキリシアは、その言葉とは裏腹に、ニャムに対し怒りを露わにしていた。

「ア、アキリシア!?何でお前がここにいる!」

 猫の獣人ハーフの男……いやニャムはまずいと思い後退りする。

「それは僕が聞きたい。何でニャムがこんなところにいるのか。そして、なぜラシェルを攻撃しているのかをね」

 アキリシアは、庇うようにラシェルの前に立ちニャムを睨みつけた。

「アキリシア。これは、どういう事なのですか?それに、あの方とお知り合いのようですが?」

 アキリシアはニャムが何者なのかを話し始めた。

「うん。僕の従兄弟で、ニャム・グレイっていうんだけど。でも、何で王族の君がこんなことをしてるのかなぁ」

 アキリシアはニャムにそう問いかける。

「クッ、アキリシア。まさかこの城に、お前がいるとは思わなかった。これは、かなりの誤算が生じてしまい。さて、どうしましょうか?」

 ニャムは冷や汗をかきながら、どうこの場を切り抜けるか考えている。

 するとそこに、マキシムとローレンスが駆けつけた。

「ラシェル様。お怪我はありませんか?それと、いったいここで、何があったのですか?」

「マキシム、私は大丈夫です。アキリシアが助けてくれましたので怪我はありません」

 マキシムとローレンスはそれを聞きくと、ホッと胸を撫でおろし気持ちを落ちつかせる。

 すると2人は、アキリシアの方へ視線を向ける。

 アキリシアはニャムを鋭い眼光で睨んだまま、ラシェルとマキシムとローレンスに話しかけた。

「ねぇ。話してるところ悪いんだけど。僕がニャムとコイツの仲間の相手をしてる隙に、2人はラシェルを連れてこの城から脱出して」

 それを聞きローレンスは、アキリシアを心配し阻止しようとする。

「アキリシア様。わざわざ、自らの身を危険に晒すおつもりですか!」

「ローレンス。その気持ちは、凄く嬉しいけど。今はこんな話をしてる場合じゃない。だから急いで!」

「ですが。お怪我をされてからでは遅すぎます」

 マキシムは、心配そうな表情でアキリシアをみる。

 ラシェルはマキシムとローレンスが、なぜアキリシアのことを知っているのか不思議に思った。

 だがラシェルは、今の状況では聞けないと思い、あとでマキシムとローレンスにそれとなく聞くことにした。

「僕はニャムと、何度も戦ったことがあるから大丈夫。だから今のうちに、はやく逃げて!」

「アキリシア様。承知しました。お心遣い痛みいります。ですが無理だけはなさらぬよう。では、お言葉に甘え、我々はこれにて失礼させていただきます」

 マキシムはローレンスと共に、アキリシアに深々と頭をさげる。

 そして2人は、ラシェルの護衛をしながらこの場を離れた。

 その時ラシェルは、アキリシアに申しわけないという気持ちでいっぱいになっていた。

 そう思いラシェルは、深々と頭をさげるとこの場をあとにする。

 それを確認するとアキリシアは、ニャムとニャムの仲間の動きを警戒しながら、どう行動したらいいか思考を巡らせていた。

(だけど何で、ニャムがこの一件に関わってるのかな?
 まぁ、じっくり考えてる暇はなさそうだし。とりあえず、捕まえて吐かせた方がはやいよね)
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