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最終章〜終結。そして始まる

115話〜最悪な再会{☆}

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 ここは名もなき城の中庭。クレイとグロウディスとアキリシアとイワノフはノエル達がいる方へと向かっていた。

 だがイワノフは、急に立ち止まり辺りを見渡した後、クレイ達3人を呼び止めた。

「おい!それ以上、進むな。地面の下から嫌な魔力を感じる」

 そう言われクレイ達3人は歩みを止め、イワノフの方へと視線を向ける。

「それはどういう事だ?まさか地中に何者かが潜んでるというのか?」

 グロウディスがそう言うと、イワノフは「ああ」と言い頷き、アキリシアとクレイはそれを聞き、辺りを警戒しながら地面を見つめた。

 グロウディスは地面を見た後、鞘に納まったままの剣を手に持ち、柄の止め金を外し中に仕込んである杖の先を引き出した。

「グロウディス。それって!?」

「アキリシア様。これは……見ての通り、剣に仕込んである杖だが」

「そら分かる。せやけど何で、剣士のはずのグロウディスが杖なんや」

 クレイがそう言うとグロウディスは、一瞬なんて説明したらいいか言葉に詰まった。

「それは……すまない、その理由は後で話す。今は地中にいる奴を引きずり出すのが先だ!」

 そう言われクレイ達3人は頷いた。それを確認するとグロウディスは、杖の先を下にし地面に魔法陣を描き小声で詠唱し始めた。

 《……地に潜む悪しき者に裁きを 聖獣魔召喚 雷光龍!!》

 そう唱えると魔法陣が眩い光を発し中庭全域が揺れだした。

 それと同時にドンッと大きな音がし、あちこちの地中から放電しながら光りの龍が現れ、隠れていた者たちは次々に押し出された。

 それを見ていたグロウディス以外の中庭にいる者たち全員は、今なにが起きたのか分からず、静止したまま凍ったように立ちすくんでいる。

 それを見たグロウディスは、

「……これは、少しばかりやり過ぎたかもしれんな。久々に召喚魔法を使った為か、上手く力を抑え切れなかったみたいだ」

 そう言っていると地上に引きずり出された者……ヒューマンの1人が、よろけながらグロウディスの側まで歩み寄って来た。

「フフッ!これを貴方がねぇ。……それにしても、面白い召喚魔法を使うじゃない。まさか、この異空間魔導師であるアタシの身体に傷をつけるなんてね」

「異空間魔導師!?その赤い髪、そして薄紫の瞳は……。まさかお前、キース・エフドなのか?」

 そう言いグロウディスは一歩引き気味にキースを覗き見た。

「あら?アタシの名前を知ってるなんて……」

「グロウディス。このキースを知ってるんか?」

 そうクレイが聞くとグロウディスは嫌な顔をしながら頷いた。

「グロウディス……まさか!?でも何故ここに……その前に、貴方は剣士のはずでは?」

 そう言いキースは後退りした。

「ああ、そうだ!それよりもお前、いつから女に性転換したんだ?」

 そう言われキースは左目を引きつらせた。

「せ、性転換……って、する分けないでしょっ!!これは、アタシは綺麗な物が好きなだけよ。それよりも、グロウディスこそ、かなり老けたわね」

「……キース。俺はまだ30代だ!いや、まあいい。それより何で、お前ほどの者が奴らに加担している」

「何で貴方に、その事を話さなければいけないの?って言いたい所だけど。幼馴染のよしみで教えてあげるわね」

 そう言いキースはグロウディス目掛けウインクをし、それを見たグロウディスは青ざめ目が合わないよう視線をそらした。

(前から面倒くさい奴だとは思ってたが、更に酷くなっている。さて、どうする?こんな所でコイツと、うだうだしている場合じゃない。
 ……ていうか、そうか要は、俺がキースをここで食い止めていればなんとかなるな。多分……)

「クレイマルス。アキリシア様たちと、ノエル様の所へ向かってくれ。俺はキースと少し話をしてから行く」

 そう言われクレイ達3人はコクリと首を縦に振り、この場をグロウディスに任せノエル達がいる方へと向かった。

(クレイ達は行ったみたいだな。さてと、俺が足止めをどれだけ出来るかだが。キースの異空間魔法は厄介だ。
 アイツは自分だけじゃなく、指定した物を収納したり移動させたり出来る。それが生き物であってもな。それにそれだけじゃない。攻撃もまた……)

「あら、グロウディス。貴方だけになってしまったわね。まあいいわ!あっちには他の者が行くと思うし。じゃ、久しぶりにたっぷりと、お話しましょう」

「ああ、そうだな。お前に聞きたい事は沢山ある」

 そう言うとグロウディスは、いやいやキースの話に耳を傾けた。

 そしてキースは、この状況下で何故か嬉しそうに話をしながら、グロウディスを見ていた。
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