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第4章〜儀式の始まり…そして…

106話〜タツキとラミアス{☆}

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 ここは名もなき城の、中庭が見える通路。タツキはドルマニールと戦っていた。

 ドルマニールの動きを見ながら、タツキは瞬時に、メニュー画面を操作した。

(さて、まずはヤツの目をくらまし、攻撃を仕掛けていくか)

 手を前に組み、両人差し指を立て、

 《忍法 陽炎‼︎》

 すると、タツキの姿がぼやけていき、1人2人と徐々に増えていった。

「ほう、なるほど。変わった技を、使うようだな。まぁいい。お前はその技で、俺の目をあざむくつもりだろうが……」

 そう言いドルマニールは、数体のタツキを見渡した後、ニヤリと笑った。

「……その中から本物を探しだし、攻撃をすればいいだけの事だ!」

 そうドルマニールが言い、右手を横にかざすと、黒いステッキが現れた。

「おいおい。本当に手品でもするつもりか?」

「フッ、手品か……まぁいい」

 そして、すかさずそのステッキを、バトンのように回しながら、分身しているタツキに向けると、

 《マジカル スクリュー シュート!!》

 ドルマニールの手から、ステッキが放たれ、交差するように、高速で回転しながら、タツキの分身の目の前まで来た。

 だがその時、辺りが急に白黒になり、タツキの分身の目の前で、ステッキが静止した。

 そして、ドルマニールとタツキの分身も、そのままの状態で、ピクリとも動かなくなかった。

 だがスキルを使い、姿を隠していたはずのタツキだけが、何故か動く事が出来た。

「スキルが解けてる!これって?それに、時が止まってるって事は……まさか!?」

 タツキは辺りを見まわした後、バッグの中を覗くと、水晶が青く光っていた。

「やっぱりな」

 そう言うと、水晶から声が聞こえてきた。

「タツキ。聞こえてますね」

「ああ、ラミアス聞こえてる。ってか、何で時を止めた?」

「それは、至急タツキに、やって頂きたい事が出来た為、それに話が長くなるかもしれませんので」

「それは、どういう事だ?」

「この儀式の場には、魔王の器として、召喚された異世界の者がいます」

「ああ。その事は知っている」

「現在、ディスペアーとオルドパルスは、その者の生贄としての呪縛を解き、真の魔王になる為の儀式を、新たに行おうとしています」

 そう言われ、タツキは驚いた。

「ちょと待て!確かグロウディスの話じゃ、魔王の器として、召喚された者は、ユウだったはず。でも、何で?」

「それは、シェルズ城の者たちと戦う為です」

「だとしても、何で魔王なんだ?」

「ユウ・ライオルスは、オルドパルスにより、魔王として、この世界に召喚されたからです」

「なるほどな。それで俺に、やってもらいたい事ってなんだ?」

「やって頂きたい事は、その魔王の儀式を、阻止して頂きたいのです」

「何で止める?」

「タツキ。その理由は……」

 そう言いラミアスは、何故その魔王の儀式を、阻止しなければいけないのかを話した。

「そういう事か……。確かに本来なら、神々の塔で出された試練をクリアした後、正式に勇者の証がもらえる」

「ですが、ホープやハーモニー、いえ今はディスペアーですね。あの2人でも証を与える事は可能です」

 ラミアスは一呼吸おき、

「しかし、それはあくまで、2人揃った場合のみ、証を授ける事が出来るのです」

「だとしても、正式な証とはいえないんじゃ?」

「ええ。ですがホープは、勇者3人と、召喚される予定ではなかった者に、証を与えました」

 少し間をおき、

「しかし、証を与える事が出来たとしても、儀式は不完全だったはずです」

「なるほどな。そうなると……もしユウが、真の魔王になる、儀式をしたとしたら?」

「不完全となるでしょう。いえ、魔王の儀式ですので、最悪の事態も考えられます」

「だから、阻止しろって事か。でも何で、俺なんだ?」

「タツキ。今、それを阻止する事が出来る者は、あなた以外いないのです」

 そう言われタツキは戸惑った。

「だが、今はこいつドルマニールと戦っている。すぐには無理だ!」

「嘘は良くありませんね。あなたの力であればあの者ドルマニールを、容易く倒す事が出来るはずですよね?」

 タツキはそう言われ冷汗をかいた。

「そ、それは……」

「あなたは、ただ単に、本来の力を出さず、戦闘を楽しんでいるだけです」

「楽しんでいる……そうかもな。だが俺は、昔のような……」

「タツキ。分かっています。本当は、昔のような事が起きないようにと、考え行動しているのですよね」

 そう言われタツキは、つらい過去を思い出してしまい、水晶を見つめ俯くと、一雫の涙が右の頬をつたった。

 それを隠すように、前髪を右の方へと払いながら、右手で涙を拭った。

「……さあ、どうなんだろうな。まぁいい。そうなると、早急に片付けねぇとな」

 するとタツキは、真剣な表情へと変わり、ドルマニールの方へと視線を向けた。

「では、そろそろ時を戻します。……お願いしますね」

「ああ、分かった!」

 そう言うと、時が戻り動き出し、ステッキが回転しながら、タツキの目の前まで来ていた。

 タツキはすかさず、刀の鞘に左手を添え、重心を低くし身構えた。

(さてと、そろそろ終わらせるか……)
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