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第4章〜儀式の始まり…そして…

番外‥⑲〜その思い個々へと

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 ここはゲームの中の食堂施設。ユウはクレイ・マルスと食堂のテーブル席に座り話をしていた。

「ユウ。昨日の話なんやけどな。リュウキが、いや、リュウキ達の身にあんな事が起こってたなんてな。でも、ホンマにそんな事が……。」

「クレイ。俺も信じられないけど、シュウの様子も未だにおかしいし、リュウキさんの話も実際に異世界に行き経験しないと分からない事ばかりだしな。もし、それが妄想だとしても、恐らくそんな事あの人は思い付かないと思うんだ。」

「おいユウ!誰が何を思いつかねぇって?」

「えっ!?リュウキさん何でここに?てか今の話を何処まで聞いてたんですか?」

 そうリュウキはほんの数秒前にコウキと来ていて話す機会を伺っていた。

「ん~そうだな……確か、俺が妄想しても何も思い付かない。だったか?」

「あ~えっとそれは……あっ、そうだった。昨日はご馳走さまでした。」

「ああ、まぁいいか。ん?クレイ・マルスも一緒か。」

「リュウキ。昨日言うとったあの話はホンマなんやな。ディオンも叔母ちゃんの話やと突然帰って来たと思ったら、ほとんど何もしゃべらんようになったって……俺よりしゃべり 好きなアイツが。」

「そうか、アイツもアイツなりに苦しんでるんだな……。」

「リュウキさん。それで何でここに?」

「あ~そうだった。ん?そういえばコウキは何処に行った?」

「あ~すみません何か話に入れそうになかったんで……ついでに回復アイテム買ってました。」

「……そうか、まぁいい。ユウお前に話がある。」

「俺に?」

「そうなるとやなぁ。俺がここにおると邪魔やって事やな……。」

「クレイ・マルスお前も聞いていて欲しい。コウキ、お前にはある程度の事をさっき話した。だが、一緒に聞いていてくれないか。」

「ああ、分かった。」

「了解です。」

「はい。分かりました。それでリュウキさん、その話って、もしかしてシュウの事ですか?」

「いや違う……。」

 そう言うとリュウキはコウキに話した事と同じ話をした。

「リュウキさん、ギルドを解散するって!?本気なんですか?」

「ああ本気だ。気持ちの整理をしたい。」

「俺は、なんとなくリュウキの気持ちが分かるような気がする。もし、同じ立場になった時、多分俺もどうしてええか分からんと思う。」

「それでな。コウキは、しばらくお前のギルドで面倒見てくれないか。コウキもその方がいいみたいなんでな。」

「俺は構いませんけど。コウキ、本当に俺のギルドでいいのか?」

「はい!それに他にあてもないし。自分でギルド立ち上げるにしてもまだ無理だし、ユウさんのギルドなら自分のレベルも上げれるかと思ったので、よろしくお願いします。」

「コウキ。俺の方こそよろしくな。そうか、ありがとう。お前が来てくれると凄く心強いよ。」

「あっ、そうだ忘れる所だった。」

 そう言うとリュウキはユウのフレンドボックスに鞭とカードを入れた。

「リュウキさん!?これって俺の欲しかった龍の鞭に、あ~えっと、このカードって何ですか?」

「ああ、そのカードか。ビーストマスターなら分かると思ったんだが。そのカードで、魔物や怪物などを封印したり召喚したり出来る超レアカードだ。カードケースの中に1枚だけ封印した物と、後の9枚は何も封印してないカードを入れておいた。それをどう使うかはお前次第だがな。」

「でも、いいんですか?こんな良いものを俺なんかに。」

「ユウ、これはシュウからの情報だけで、本当のお前をちゃんと理解してやれなかった。それに、俺がいなくなってから俺の心配をしてくれた。その詫びと感謝の気持ちとして受け取って欲しい。」

「こんな良いもの貰えないって言いたいけど……リュウキさんに物を貰うなんて絶対ないと思ってたし。ましてやこんな良いものを……。ありがとうございます。大事に保管しておきます。」

「あのなぁ保管て使わねぇと意味ねぇだろう。てか、まぁいいか。ユウがそうしたいならそうすればいい。それに必要になったら使えばいい。」

「はい、そうします。」

「あっ、そうだった。」

 そう言うとリュウキは、クレイ・マルスのフレンドボックスに双頭槍と一対の鎌を入れた。

「リュウキ。これって何で俺なんかにこんなええもんを?」

 そう言うとクレイ・マルスは双頭槍と一対の鎌を食い入るように見ていた。


 その双頭槍はその名の通り真ん中から二本に分かれ、両方共に刃の手前まで龍が巻きついているように飾りが施されている。ただ、残念ながら双龍の槍とは違う。

 そして、一対の鎌は片方が刃が大きく柄も長く刃と柄の間に龍と髑髏の飾りが施されていて、また片方は刃は小さめで柄も短め刃と柄の間に龍と天使の飾りが施されていた。


「クレイ・マルス。お前には、かなり世話になったと思っている。感謝しきれないくらいな。」

「リュウキ。それって半分本当の事で半分は、あの事の……。」

「あ~~いや、クレイ・マルス。その事は、な……。」

「はぁ、まぁええか。それやったら口止め料としてもらっときます。」

 そう言うと自分の倉庫にしまった。

「リュウキさん、俺はユウさんのギルドに入る前に名前を変えようと思ってます。」

「名前を変えるって、何でだ?」

「ユウさんのギルドで、新たな気持ちでやっていく為とリュウキさんが言っていた異世界の話を忘れない為、これは俺自身リュウキさんに近づきたいそうなりたいと思い。ハクリュウと名前を変えるつもりでいます。てか、ダメですか?この名前は?」

「コウキ!お前は、その名前の意味を知ってたよな?何でその名前なんだ?」

「この名前はリュウキさんが異世界で付けられた異名、破紅龍ハクリュウそして、この名前の意味は……。」

「コウキ!それ以上言うな!頼む……俺は………。」

「俺は、少しでもリュウキさんの半分でもその痛みを分けて貰えるならと思ったんですけど。」

「コウキそこまで考えて……分かった!その名前お前に譲る。そして俺はその名前を忘れるように努力する。それでいいんだな。」

「はい、リュウキさんありがとうございます。」

 そう言うとコウキ達はしばらく話した後一旦ログアウトした。
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