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第4章 マスコミ
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1.
「手紙は、無事届いたみたいだぞ!」
部屋の中で帰りを待っていた弟のカズに向って、兄が満足げに報告した。
「爆発物処理班らしき人間が、あたふたと駆けつけてきたよ……」兄が、目にした光景を口にする。
手紙の届く時期や手紙が届いた後に相手が取るであろう行動を考え今夜あたりに爆発物処理班が呼ばれるのではないかと予想し、内閣府の入り口が見える場所で張り込みを行っていたのだが、予想が見事に的中した。
兄は、近隣のビルも含めて、午前零時以降の残業が禁止されたという情報も入手していた。
「今頃、総理官邸にも報告が行っているのかな?」弟のカズが、顔を上気させる。
「朝になってからじゃないのかな? 回答期限は二週間後なわけだし、それまでは爆発物を爆破させることはないのだから、朝になるのを待つと思うよ。変に夜中に行動を起こしたらマスコミに感づかれる危険があるし、政府としてもマスコミに漏れるのは避けたいだろうからね」
「兄貴の言う通りかもね。ちなみに、オレたちはどうするの? ひたすら待つしかないのかな?」
「政府からの回答は、待つしかないだろうな。内閣総辞職は総理大臣の権限だけど、やるなら国民を納得させる理由が必要になるし、やった後の政権運営のことも考えなければならないから、考えるのであれば、ギリギリまで考えるだろう」
「兄貴は、政府がオレたちの要求を呑むと思っているのか?」
「十中八九、呑まないだろうな。おそらく、報告を聞いた大村総理が、その場で無視を決定するよ。警察に、全面的に対応を任せることになるのではないかな」
「じゃぁ、どうすればいいんだよ。一応二週間待ったうえで、どこかのスイッチを押すってことになるのか? その後、再度期限を切った手紙を送ることになるのかな」
「カズは、そうするしかないと考えているのか?」
兄が、鋭い眼光を向けてきた。兄なりの考えがあるようであった。
カズは、何か考えがあるのかと聞き返した。
「無視されっぱなしは癪に障るじゃないか。それに、オレたちの目的は、日本という国に対する仕返しだ。政府を混乱させることだけが目的ではない。国全体を混乱させなければ、意味がない」
「……」
「このことを、マスコミにリークしたらいいと思う」
「つまり……、マスコミあてに手紙を送るのか?」
「ああ。官房長官あてに送った手紙のコピーに、爆発物処理班らしき人間が深夜に内閣府の中に入っていった時の写真を添えてね」
兄は、深夜に爆発物処理班らしき人間が内閣府の建物に入っていった時の写真をスマホのカメラに収めていた。
「そうすれば、明後日の朝刊あたりに、オレたちのやったことがでかでかと載って、国民がパニックに陥るってわけか」
「そんなに上手くいくかどうかはクエッションだけどな。内容が内容だから、マスコミも慎重に扱うだろうからな。政府も、そのような脅迫があったことを認めないだろう。ただ、マスコミからの問い合わせが殺到することで、オレたちからの要求を鼻から無視することはできなくなると思う。そうなることで、政府は混乱する。マスコミも、最初のうちは報道を自粛すると思うけど、とんでもない特ダネに、いずれどこかのマスコミがしびれを切らせて報道すると思う。一社が報道すれば、他の報道機関もこぞって報道するはずだ。そうなれば、国全体が混乱に陥ることになるよ」
兄の表情がほころんだ。自分の言葉に酔っているようだ。
「その時のことを想像すると、ものすごくワクワクしてくるな」カズも、表情をほころばせた。
2.
日売新聞編集局長の長船は、政治部長の山根とともに社長室へ向かった。国内の主要施設に爆発物を仕掛けたという人物からの手紙が編集局に届いたからだ。
政府に対して二週間以内に内閣総辞職を行うことを要求したということであり、要求に応じない場合は国内の主要施設に仕掛けた爆発物を爆破するということである。
爆発物は何か所にも仕掛けられており、嘘ではないことを示すために、内閣府の建物の中にダイナマイトを仕掛けたことを内閣官房長官あての手紙の中に記したということである。
送られてきた手紙の中には、警視庁の爆発物処理班のメンバーが深夜に内閣府の建物の中に入っていく姿を写したとする写真が添えられており、当日、辺り一帯のビルで働く人間に対して午前零時以降の残業が禁止されたということも書き記されていた。
警視庁に対して事実かどうかを問い合わせたところ、爆発物処理班を内閣府に派遣したことは否定したが、残業禁止に関しては裏が取れており、写真に映っている人間が警視庁の爆発物処理班のメンバーだということの確認も取れていた。
事実だとすれば、とんでもない特ダネである。
反面、現在の政権運営に係ることでもあり、編集局長といえども安易な決断はできない。
長船は、社長の黒川に決断を任せるべきだと判断した。
手紙に目を通した黒川は、眉根を寄せながら腕を組み、唸り声を上げた。
「他の新聞社にも、同じものが届いているのかね?」視線を長船に向けた。
「どうなのでしょうか。私の耳には、何も聞こえてきておりませんが」
長船は、山根に視線を向けた。山根も、そのようなことは聞いていないことを口にする。
「おそらく、主要マスコミ各社のもとにも同じ内容のものが送られているのだろう」
三年前に、政府に対して福祉政策の改善を要求したという犯人から、そのことを知らせる手紙が送られて来たことがあった。要求が聞き入れられなかった場合は、政府の施設を爆破するという条件付きであった。
そのときは、警察の懸命な捜査により犯人は捕まったが、犯人からの手紙は全国紙五社すべてに送られていた。
今回も、犯人は同じような行動をとっているだろうという前提の下で決断する必要があると黒川は考えていた。
「政府の動きはどうなのかね? 総理や官房長官、閣僚たちの行動に、変わった動きは見られないかね?」
黒川に問われた山根は、特に変わった動きは見られないことを報告した。
政治部長という立場上、総理官邸や各省庁へは頻繁に出入りしているが、特に変わった様子は見られない。ピリピリしているような雰囲気も感じられなかった。
「犯人は内閣官房長官宛に手紙を送ったということですから、もしかしたら内閣官房長官以外の閣僚たちは、このことを知らされていないのではないでしょうか」
「私も、そう思う」
長船の意見に、黒川が頷いた。
「このことを記事にするのは、まずいでしょうか? 警視庁の爆発物処理班が動いたことは間違いないようですし、政府に要求を突きつけたとする本人からの手紙もあるわけですから」
長船は、内心、記事にしたくてウズウズしていた。
日売新聞は、今の政府与党に対する批判的な論調の記事を前面に押し出していた。批判的な見方をする最先鋒が長船である。
日売新聞が定期的に調査している内閣支持率も右肩下がりをたどっており、数日前の記事の中で、これ以上支持率が低下する場合は、首相は内閣総辞職を決断すべきであるとこき下ろしたところでもあった。
「問題は、爆発物を仕掛けたという部分だよ。今回の犯人は、わざと内閣府に仕掛けた爆発物を発見させたと言ってきている。実際に爆発物が仕掛けられていなければ爆発物処理班は動かないだろうから、犯人が言うことは本当なのだろう。このことを記事にしたら、国民を不安に陥れることは間違いない。そうかといって、爆発物が仕掛けられていることには触れずに内閣総辞職要求だけを記事にしても、ニュースバリューに乏しい」
「要するに、社長のお考えは、様子を見ろということなのでしょうか?」
「むろん、ただ指をくわえて見ていろというつもりはない。政府と警察の反応を監視する必要はあると思っている。彼らの反応次第によっては、記事にすることもあり得る」
「政府の反応を確認するためには、どこに問い合わせてみるのがよいのでしょうかね?」
「山根くんは、どう思うかね?」
黒川から意見を聞かれた山根は、内閣府の組織を頭に思い浮かべた。
犯人からの手紙が内閣官房長官の手に渡るまでの間にどの程度の人間が介在したのかはわからないが、少なくとも大臣官房長クラスの人間は事情を知っているはずだ。内閣官房長官自らが対応に応じるとは思えないので、その手前である大臣官房長に問い合わせるのがよいと山根は考えた。
「大臣官房長あたりがよいのではないかと思いますが」山根が、そのように考えた根拠を説明する。
「長船くんは、どう思うかね?」
長船も、山根と同意見であった。事情を知っていそうで問い合わせにも応じてくれそうな内閣官房長官に近い人物として、大臣官房長の顔が浮かんだ。
議論の結果、大臣官房長に対して、文章と電話で問い合わせを行うという方針が決定した。
3.
「こうきたか……」執務机の上に置かれた八通の書面に一通り目を通した内閣官房長官の鷲尾は、ため息をついた。
視線の先には、執務机の前で直立する大臣官房長の藤森の姿があった。彼のところにマスコミ各社からの内閣官房長官宛に脅迫状が送り付けられたというのは事実なのかという問い合わせが相次いだため、そのことを報告するために内閣官房長官室へやってきたのだ。
犯人は、脅迫状のコピーと警視庁の爆発物処理班が内閣府の建物に出入りしたときの姿を写した写真をマスコミ各社に送り付けていた。
「八社とも、電話による問い合わせもしてきているのかね?」
「はい」
「電話に対しては、どのように対応したのかね?」
「そのような事実はないと、きっぱり答えました」
「当然、連中は、納得はしていないだろうね」
「そうでしょうね。私に対して、あれやこれやと質問してきましたから」
「彼らは、マスコミ各社に同じものが届いていることを互いに認識しているのだろうか?」
「電話ではそこらへんのところはわかりませんでしたが、我々は、そのつもりで行動したほうがよいのではないでしょうか」
藤森は、三年前の出来事を思い返していた。総理大臣宛に、福祉政策の改善要求が聞き入れられなければ政府の施設を爆破するという脅迫状が届いた。
そのときは、藤森は大臣官房長の地位にはいなかったが、内閣府の一員としてマスコミの対応に追われていた。
マスコミは、はじめのうちはバラバラな行動を取っていたが、時が経つにつれて、団結して行動するようになった。今回も、同じような展開になるのではないかと藤森は考えていた。
「しかし、予想外の展開だな」鷲尾が、腕を組み、視線を上に向ける。
「何が予想外なのですか?」藤森が問いかける。
「犯人が、マスコミに手紙を送ったことだよ。三年前の時は、実際には爆発物など仕掛けられてはいなかった。政府を脅すための演出効果としてマスコミに手紙をばらまいたんだ。しかし、今回の犯人は、あえて本物の爆発物が仕掛けられている場所を教えてきた。教えてきた理由は、ほかにも爆発物が仕掛けられているのだということを我々にわからせることだ。犯人が要求する内閣総辞職を政府が実行するためには、綿密な戦略を練らなければならない。国民が納得する理由や総辞職後の政権運営についてだよ。政府にそのような対応をしてもらいたいのであれば、静かな環境が必要だ。このような要求があったということを周囲に知られていないという環境がね。それなのに、マスコミに手紙など送ったら、周囲が騒がしくなり、政府としても、対応したくてもできなくなるじゃないか。はっきり言って、犯人の考えていることがわからんよ!」
鷲尾は、警察の捜査に影響が出ることを心配していた。
大村総理の腹は決まっている。このような理不尽な要求に応じるつもりは一切ない。
しかし、実際に爆発物が仕掛けられているのではないかという危機感は抱いていた。アメリカのペギー国務長官の来日も迫っており、政治に混乱を招くような事態は何としても避けなければならない。そのためにも、警察と一体になって一刻も早く犯人を捕まえ爆発物を取り除くという方針を、大村との間で固めていた。
そのような状況下にあって、マスコミに引っ掻き回されるのは避けたいところであった。
「当然、警察は動いているのですよね?」藤森も、不安げな表情を浮かべていた。
「捜査本部を立ち上げたという報告は来ている。捜査状況も毎日報告してもらい、私から総理に報告している」
「警察は、今回のことを、どのように見ているのでしょうか?」
「警察は、単なる愉快犯だとは考えていない。それは、総理や私も同じだ。発見されたダイナマイトにセットされていた起爆装置も精巧な作りだったようだ。このことから、犯人は、爆発物について一定の知識を持っている人物だと警察は考えているようだ」
「そうなのですか……。それで、捜査のほうは進んでいるのでしょうか?」
「防犯カメラの映像の解析をしてもらったのだが、残念ながら犯人らしき人物を特定することはできなかったということだ。内閣府のある建物には毎日たくさんの人間が出入りするし、観葉植物の置かれていた位置は防犯カメラの死角になっていた。現在警察は、爆発物の腺から容疑者の洗い出しを行っているということだ」
「当然ですが、政府としては、今回の要求に応えるつもりは一切ないのですよね?」
「当たり前だ。総理も、はっきりと口にしている。それと、キミに伝えておかなければならないことがあるのだが、今のところ、私以外の閣僚は誰も今回のことを知らない。マスコミが報道すれば知ることになるが、そうなるまでの間は知らせずにおきたい。キミも、そのつもりで行動してほしい」
「わかりました。マスコミからの問い合わせに対しても、今後とも知らぬ存ぜぬで押し通します」
二人は、今後の対応を確認しあった。
4.
「報道されないね」インターネット上のニュースや主要新聞社の記事を調べ終えたカズが、言葉を発した。
マスコミへ手紙を投函してから三日が経過していた。マスコミの反応が気になり四六時中チェックをしていたのだが、内閣官房長官宛に脅迫状が送り付けられ、内閣府が入る建物に爆発物が仕掛けられていたことを報道した記事を見つけることができずにいた。
「当然だと思うよ」
「内容が内容だから、マスコミも慎重になっているということなのかな」
カズは、兄の横顔に視線を向けた。
「愉快犯の仕業だという可能性もあるわけだからな。ちゃんとした裏を取らずに記事にして、その後に誤報だとわかったら袋叩きにあうからね。どこも記事にしたくてウズウズしているのに、できないというジレンマを抱えているわけだよ」兄が笑い声を上げた。
自分たちが設定した二週間の期限が経過する前にマスコミが報道すれば、政府は大混乱に陥る。アメリカの国務長官の来日も中止になるかもしれない。
マスコミが報道を自粛した場合でも、期限後に爆破が起きたときにマスコミの報道合戦が始まるのは必至だ。そうなれば国中が混乱し、政府も国民の命をないがしろにしたと集中砲火を受ける。
いずれの結果であってもよいのだが、後者のシナリオで事が進むだろうと兄は見ていた。
政府が自分たちの要求に屈するとは思えない。警察が、犯人や爆発物を見つけてくれるのを期待しているのだろう。
囮の爆発物を発見させたおかげで爆発物は本当に仕掛けられているのだという認識を持ったと思うが、一昔前の過激派による要求程度に思っている可能性もある。
(どのような顔をするのかが見ものだな)兄は、爆破による被害を知った時の大村総理の顔を想像した。想像を絶する被害に顔が青ざめるだろう。連日報道されているアメリカの国務長官の来日も中止にせざるを得ないはずだ。
自分たちの目的は、日本という国を混乱させることだ。
そのために、政府に呑めない要求を突きつけ、政府が拒む都度仕掛けた爆弾を一つずつ爆破する計画を立てたのだ。
政府にもメンツがある。一度拒んだ要求は、永遠に拒み続けるだろう。
そのような展開になることが、自分たちにとっての最高のシナリオであった。
自分たちは、この世で一番威力のある爆弾を複数の場所に仕掛けた。遠隔操作が可能な起爆装置も取り付けてある。爆破による被害の程度も、正直計り知れない。
そのような爆破を繰り返すことで、国中が大混乱に陥る。国民に、恐怖を与えることもできる。
犯行声明など行わずに黙って爆破させてもよいのだが、今のようなやり方のほうが、より混乱させられると考えていた。日本の国際社会からの信用も地に落ちるであろう。
「兄貴は、政府がオレたちの要求を呑むことはないと思っているんだろう?」
「お前は、どう思っているの?」
「オレも、そう思っているよ。今頃、国の威信をかけて警察が懸命に捜査をしているんだろうな。兄貴の言う通り、ダミーの爆発物を発見させたことがよかったんだろうね。あれがないと、単なるいたずらだと思われて、政府が本気にならなかった可能性もあったからね」
「それだけじゃなくて、今後の展開も違ってくるはずだ。オレたちが仕掛けた爆発物を見つけるのは非常に困難だ。加えて、どう転んでも爆破は起こるわけだけど、そうなったときに、爆発物が仕掛けられているという認識を持っていたのにもかかわらず探し出すことができなかった、あるいは真剣に探さなかったという理由で、政府が国民からつるし上げられる。脅迫状だけだと、愉快犯による仕業かもしれないということで初動対応が遅れたという言い訳が立つかもしれないが、起爆装置の付けられた爆発物が見つかっているのだから、愉快犯による仕業かもしれないなどという言い訳は通用しない」
「当然、警察は動いているよね」
「ああ」
「警察は、オレたちのことをあぶり出すかな?」
「心配しなくても大丈夫だ。オレたちにつながる証拠など何もない。脅迫状から足が付くことはあり得ないし、ダイナマイトを仕掛けた場所も防犯カメラには写らないところだ。本チャンの爆弾を仕掛けた場所も、大勢の人間が出入りする場所だし、お互い不自然な動きにならないように細心の注意を払ったはずだ。それに、オレたちには前科がない。過去に、警察に目をつけられたこともない……」
兄が、警察が自分たちに目をつけることはないと考えていることの理由を並べ立てた。
その言葉を耳にしたカズの胸から不安が取り除かれていった。
「手紙は、無事届いたみたいだぞ!」
部屋の中で帰りを待っていた弟のカズに向って、兄が満足げに報告した。
「爆発物処理班らしき人間が、あたふたと駆けつけてきたよ……」兄が、目にした光景を口にする。
手紙の届く時期や手紙が届いた後に相手が取るであろう行動を考え今夜あたりに爆発物処理班が呼ばれるのではないかと予想し、内閣府の入り口が見える場所で張り込みを行っていたのだが、予想が見事に的中した。
兄は、近隣のビルも含めて、午前零時以降の残業が禁止されたという情報も入手していた。
「今頃、総理官邸にも報告が行っているのかな?」弟のカズが、顔を上気させる。
「朝になってからじゃないのかな? 回答期限は二週間後なわけだし、それまでは爆発物を爆破させることはないのだから、朝になるのを待つと思うよ。変に夜中に行動を起こしたらマスコミに感づかれる危険があるし、政府としてもマスコミに漏れるのは避けたいだろうからね」
「兄貴の言う通りかもね。ちなみに、オレたちはどうするの? ひたすら待つしかないのかな?」
「政府からの回答は、待つしかないだろうな。内閣総辞職は総理大臣の権限だけど、やるなら国民を納得させる理由が必要になるし、やった後の政権運営のことも考えなければならないから、考えるのであれば、ギリギリまで考えるだろう」
「兄貴は、政府がオレたちの要求を呑むと思っているのか?」
「十中八九、呑まないだろうな。おそらく、報告を聞いた大村総理が、その場で無視を決定するよ。警察に、全面的に対応を任せることになるのではないかな」
「じゃぁ、どうすればいいんだよ。一応二週間待ったうえで、どこかのスイッチを押すってことになるのか? その後、再度期限を切った手紙を送ることになるのかな」
「カズは、そうするしかないと考えているのか?」
兄が、鋭い眼光を向けてきた。兄なりの考えがあるようであった。
カズは、何か考えがあるのかと聞き返した。
「無視されっぱなしは癪に障るじゃないか。それに、オレたちの目的は、日本という国に対する仕返しだ。政府を混乱させることだけが目的ではない。国全体を混乱させなければ、意味がない」
「……」
「このことを、マスコミにリークしたらいいと思う」
「つまり……、マスコミあてに手紙を送るのか?」
「ああ。官房長官あてに送った手紙のコピーに、爆発物処理班らしき人間が深夜に内閣府の中に入っていった時の写真を添えてね」
兄は、深夜に爆発物処理班らしき人間が内閣府の建物に入っていった時の写真をスマホのカメラに収めていた。
「そうすれば、明後日の朝刊あたりに、オレたちのやったことがでかでかと載って、国民がパニックに陥るってわけか」
「そんなに上手くいくかどうかはクエッションだけどな。内容が内容だから、マスコミも慎重に扱うだろうからな。政府も、そのような脅迫があったことを認めないだろう。ただ、マスコミからの問い合わせが殺到することで、オレたちからの要求を鼻から無視することはできなくなると思う。そうなることで、政府は混乱する。マスコミも、最初のうちは報道を自粛すると思うけど、とんでもない特ダネに、いずれどこかのマスコミがしびれを切らせて報道すると思う。一社が報道すれば、他の報道機関もこぞって報道するはずだ。そうなれば、国全体が混乱に陥ることになるよ」
兄の表情がほころんだ。自分の言葉に酔っているようだ。
「その時のことを想像すると、ものすごくワクワクしてくるな」カズも、表情をほころばせた。
2.
日売新聞編集局長の長船は、政治部長の山根とともに社長室へ向かった。国内の主要施設に爆発物を仕掛けたという人物からの手紙が編集局に届いたからだ。
政府に対して二週間以内に内閣総辞職を行うことを要求したということであり、要求に応じない場合は国内の主要施設に仕掛けた爆発物を爆破するということである。
爆発物は何か所にも仕掛けられており、嘘ではないことを示すために、内閣府の建物の中にダイナマイトを仕掛けたことを内閣官房長官あての手紙の中に記したということである。
送られてきた手紙の中には、警視庁の爆発物処理班のメンバーが深夜に内閣府の建物の中に入っていく姿を写したとする写真が添えられており、当日、辺り一帯のビルで働く人間に対して午前零時以降の残業が禁止されたということも書き記されていた。
警視庁に対して事実かどうかを問い合わせたところ、爆発物処理班を内閣府に派遣したことは否定したが、残業禁止に関しては裏が取れており、写真に映っている人間が警視庁の爆発物処理班のメンバーだということの確認も取れていた。
事実だとすれば、とんでもない特ダネである。
反面、現在の政権運営に係ることでもあり、編集局長といえども安易な決断はできない。
長船は、社長の黒川に決断を任せるべきだと判断した。
手紙に目を通した黒川は、眉根を寄せながら腕を組み、唸り声を上げた。
「他の新聞社にも、同じものが届いているのかね?」視線を長船に向けた。
「どうなのでしょうか。私の耳には、何も聞こえてきておりませんが」
長船は、山根に視線を向けた。山根も、そのようなことは聞いていないことを口にする。
「おそらく、主要マスコミ各社のもとにも同じ内容のものが送られているのだろう」
三年前に、政府に対して福祉政策の改善を要求したという犯人から、そのことを知らせる手紙が送られて来たことがあった。要求が聞き入れられなかった場合は、政府の施設を爆破するという条件付きであった。
そのときは、警察の懸命な捜査により犯人は捕まったが、犯人からの手紙は全国紙五社すべてに送られていた。
今回も、犯人は同じような行動をとっているだろうという前提の下で決断する必要があると黒川は考えていた。
「政府の動きはどうなのかね? 総理や官房長官、閣僚たちの行動に、変わった動きは見られないかね?」
黒川に問われた山根は、特に変わった動きは見られないことを報告した。
政治部長という立場上、総理官邸や各省庁へは頻繁に出入りしているが、特に変わった様子は見られない。ピリピリしているような雰囲気も感じられなかった。
「犯人は内閣官房長官宛に手紙を送ったということですから、もしかしたら内閣官房長官以外の閣僚たちは、このことを知らされていないのではないでしょうか」
「私も、そう思う」
長船の意見に、黒川が頷いた。
「このことを記事にするのは、まずいでしょうか? 警視庁の爆発物処理班が動いたことは間違いないようですし、政府に要求を突きつけたとする本人からの手紙もあるわけですから」
長船は、内心、記事にしたくてウズウズしていた。
日売新聞は、今の政府与党に対する批判的な論調の記事を前面に押し出していた。批判的な見方をする最先鋒が長船である。
日売新聞が定期的に調査している内閣支持率も右肩下がりをたどっており、数日前の記事の中で、これ以上支持率が低下する場合は、首相は内閣総辞職を決断すべきであるとこき下ろしたところでもあった。
「問題は、爆発物を仕掛けたという部分だよ。今回の犯人は、わざと内閣府に仕掛けた爆発物を発見させたと言ってきている。実際に爆発物が仕掛けられていなければ爆発物処理班は動かないだろうから、犯人が言うことは本当なのだろう。このことを記事にしたら、国民を不安に陥れることは間違いない。そうかといって、爆発物が仕掛けられていることには触れずに内閣総辞職要求だけを記事にしても、ニュースバリューに乏しい」
「要するに、社長のお考えは、様子を見ろということなのでしょうか?」
「むろん、ただ指をくわえて見ていろというつもりはない。政府と警察の反応を監視する必要はあると思っている。彼らの反応次第によっては、記事にすることもあり得る」
「政府の反応を確認するためには、どこに問い合わせてみるのがよいのでしょうかね?」
「山根くんは、どう思うかね?」
黒川から意見を聞かれた山根は、内閣府の組織を頭に思い浮かべた。
犯人からの手紙が内閣官房長官の手に渡るまでの間にどの程度の人間が介在したのかはわからないが、少なくとも大臣官房長クラスの人間は事情を知っているはずだ。内閣官房長官自らが対応に応じるとは思えないので、その手前である大臣官房長に問い合わせるのがよいと山根は考えた。
「大臣官房長あたりがよいのではないかと思いますが」山根が、そのように考えた根拠を説明する。
「長船くんは、どう思うかね?」
長船も、山根と同意見であった。事情を知っていそうで問い合わせにも応じてくれそうな内閣官房長官に近い人物として、大臣官房長の顔が浮かんだ。
議論の結果、大臣官房長に対して、文章と電話で問い合わせを行うという方針が決定した。
3.
「こうきたか……」執務机の上に置かれた八通の書面に一通り目を通した内閣官房長官の鷲尾は、ため息をついた。
視線の先には、執務机の前で直立する大臣官房長の藤森の姿があった。彼のところにマスコミ各社からの内閣官房長官宛に脅迫状が送り付けられたというのは事実なのかという問い合わせが相次いだため、そのことを報告するために内閣官房長官室へやってきたのだ。
犯人は、脅迫状のコピーと警視庁の爆発物処理班が内閣府の建物に出入りしたときの姿を写した写真をマスコミ各社に送り付けていた。
「八社とも、電話による問い合わせもしてきているのかね?」
「はい」
「電話に対しては、どのように対応したのかね?」
「そのような事実はないと、きっぱり答えました」
「当然、連中は、納得はしていないだろうね」
「そうでしょうね。私に対して、あれやこれやと質問してきましたから」
「彼らは、マスコミ各社に同じものが届いていることを互いに認識しているのだろうか?」
「電話ではそこらへんのところはわかりませんでしたが、我々は、そのつもりで行動したほうがよいのではないでしょうか」
藤森は、三年前の出来事を思い返していた。総理大臣宛に、福祉政策の改善要求が聞き入れられなければ政府の施設を爆破するという脅迫状が届いた。
そのときは、藤森は大臣官房長の地位にはいなかったが、内閣府の一員としてマスコミの対応に追われていた。
マスコミは、はじめのうちはバラバラな行動を取っていたが、時が経つにつれて、団結して行動するようになった。今回も、同じような展開になるのではないかと藤森は考えていた。
「しかし、予想外の展開だな」鷲尾が、腕を組み、視線を上に向ける。
「何が予想外なのですか?」藤森が問いかける。
「犯人が、マスコミに手紙を送ったことだよ。三年前の時は、実際には爆発物など仕掛けられてはいなかった。政府を脅すための演出効果としてマスコミに手紙をばらまいたんだ。しかし、今回の犯人は、あえて本物の爆発物が仕掛けられている場所を教えてきた。教えてきた理由は、ほかにも爆発物が仕掛けられているのだということを我々にわからせることだ。犯人が要求する内閣総辞職を政府が実行するためには、綿密な戦略を練らなければならない。国民が納得する理由や総辞職後の政権運営についてだよ。政府にそのような対応をしてもらいたいのであれば、静かな環境が必要だ。このような要求があったということを周囲に知られていないという環境がね。それなのに、マスコミに手紙など送ったら、周囲が騒がしくなり、政府としても、対応したくてもできなくなるじゃないか。はっきり言って、犯人の考えていることがわからんよ!」
鷲尾は、警察の捜査に影響が出ることを心配していた。
大村総理の腹は決まっている。このような理不尽な要求に応じるつもりは一切ない。
しかし、実際に爆発物が仕掛けられているのではないかという危機感は抱いていた。アメリカのペギー国務長官の来日も迫っており、政治に混乱を招くような事態は何としても避けなければならない。そのためにも、警察と一体になって一刻も早く犯人を捕まえ爆発物を取り除くという方針を、大村との間で固めていた。
そのような状況下にあって、マスコミに引っ掻き回されるのは避けたいところであった。
「当然、警察は動いているのですよね?」藤森も、不安げな表情を浮かべていた。
「捜査本部を立ち上げたという報告は来ている。捜査状況も毎日報告してもらい、私から総理に報告している」
「警察は、今回のことを、どのように見ているのでしょうか?」
「警察は、単なる愉快犯だとは考えていない。それは、総理や私も同じだ。発見されたダイナマイトにセットされていた起爆装置も精巧な作りだったようだ。このことから、犯人は、爆発物について一定の知識を持っている人物だと警察は考えているようだ」
「そうなのですか……。それで、捜査のほうは進んでいるのでしょうか?」
「防犯カメラの映像の解析をしてもらったのだが、残念ながら犯人らしき人物を特定することはできなかったということだ。内閣府のある建物には毎日たくさんの人間が出入りするし、観葉植物の置かれていた位置は防犯カメラの死角になっていた。現在警察は、爆発物の腺から容疑者の洗い出しを行っているということだ」
「当然ですが、政府としては、今回の要求に応えるつもりは一切ないのですよね?」
「当たり前だ。総理も、はっきりと口にしている。それと、キミに伝えておかなければならないことがあるのだが、今のところ、私以外の閣僚は誰も今回のことを知らない。マスコミが報道すれば知ることになるが、そうなるまでの間は知らせずにおきたい。キミも、そのつもりで行動してほしい」
「わかりました。マスコミからの問い合わせに対しても、今後とも知らぬ存ぜぬで押し通します」
二人は、今後の対応を確認しあった。
4.
「報道されないね」インターネット上のニュースや主要新聞社の記事を調べ終えたカズが、言葉を発した。
マスコミへ手紙を投函してから三日が経過していた。マスコミの反応が気になり四六時中チェックをしていたのだが、内閣官房長官宛に脅迫状が送り付けられ、内閣府が入る建物に爆発物が仕掛けられていたことを報道した記事を見つけることができずにいた。
「当然だと思うよ」
「内容が内容だから、マスコミも慎重になっているということなのかな」
カズは、兄の横顔に視線を向けた。
「愉快犯の仕業だという可能性もあるわけだからな。ちゃんとした裏を取らずに記事にして、その後に誤報だとわかったら袋叩きにあうからね。どこも記事にしたくてウズウズしているのに、できないというジレンマを抱えているわけだよ」兄が笑い声を上げた。
自分たちが設定した二週間の期限が経過する前にマスコミが報道すれば、政府は大混乱に陥る。アメリカの国務長官の来日も中止になるかもしれない。
マスコミが報道を自粛した場合でも、期限後に爆破が起きたときにマスコミの報道合戦が始まるのは必至だ。そうなれば国中が混乱し、政府も国民の命をないがしろにしたと集中砲火を受ける。
いずれの結果であってもよいのだが、後者のシナリオで事が進むだろうと兄は見ていた。
政府が自分たちの要求に屈するとは思えない。警察が、犯人や爆発物を見つけてくれるのを期待しているのだろう。
囮の爆発物を発見させたおかげで爆発物は本当に仕掛けられているのだという認識を持ったと思うが、一昔前の過激派による要求程度に思っている可能性もある。
(どのような顔をするのかが見ものだな)兄は、爆破による被害を知った時の大村総理の顔を想像した。想像を絶する被害に顔が青ざめるだろう。連日報道されているアメリカの国務長官の来日も中止にせざるを得ないはずだ。
自分たちの目的は、日本という国を混乱させることだ。
そのために、政府に呑めない要求を突きつけ、政府が拒む都度仕掛けた爆弾を一つずつ爆破する計画を立てたのだ。
政府にもメンツがある。一度拒んだ要求は、永遠に拒み続けるだろう。
そのような展開になることが、自分たちにとっての最高のシナリオであった。
自分たちは、この世で一番威力のある爆弾を複数の場所に仕掛けた。遠隔操作が可能な起爆装置も取り付けてある。爆破による被害の程度も、正直計り知れない。
そのような爆破を繰り返すことで、国中が大混乱に陥る。国民に、恐怖を与えることもできる。
犯行声明など行わずに黙って爆破させてもよいのだが、今のようなやり方のほうが、より混乱させられると考えていた。日本の国際社会からの信用も地に落ちるであろう。
「兄貴は、政府がオレたちの要求を呑むことはないと思っているんだろう?」
「お前は、どう思っているの?」
「オレも、そう思っているよ。今頃、国の威信をかけて警察が懸命に捜査をしているんだろうな。兄貴の言う通り、ダミーの爆発物を発見させたことがよかったんだろうね。あれがないと、単なるいたずらだと思われて、政府が本気にならなかった可能性もあったからね」
「それだけじゃなくて、今後の展開も違ってくるはずだ。オレたちが仕掛けた爆発物を見つけるのは非常に困難だ。加えて、どう転んでも爆破は起こるわけだけど、そうなったときに、爆発物が仕掛けられているという認識を持っていたのにもかかわらず探し出すことができなかった、あるいは真剣に探さなかったという理由で、政府が国民からつるし上げられる。脅迫状だけだと、愉快犯による仕業かもしれないということで初動対応が遅れたという言い訳が立つかもしれないが、起爆装置の付けられた爆発物が見つかっているのだから、愉快犯による仕業かもしれないなどという言い訳は通用しない」
「当然、警察は動いているよね」
「ああ」
「警察は、オレたちのことをあぶり出すかな?」
「心配しなくても大丈夫だ。オレたちにつながる証拠など何もない。脅迫状から足が付くことはあり得ないし、ダイナマイトを仕掛けた場所も防犯カメラには写らないところだ。本チャンの爆弾を仕掛けた場所も、大勢の人間が出入りする場所だし、お互い不自然な動きにならないように細心の注意を払ったはずだ。それに、オレたちには前科がない。過去に、警察に目をつけられたこともない……」
兄が、警察が自分たちに目をつけることはないと考えていることの理由を並べ立てた。
その言葉を耳にしたカズの胸から不安が取り除かれていった。
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