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子供時代
7 ろーずてぃーおいしいです
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前世の記憶を取り戻して数ヶ月たち、暖かな日差しが暑く感じるようになった初夏。私は、習い事に勤しんだり、お兄様に甘えたり、武道の先生に技を披露して驚かれたり、何故か3日に1回くらいのペースで遊びに来るミシェルとお茶を飲んだりと充実した日々を過ごしていた。
「あれんおうじが…ですか?」
「ああ。是非ともエミリアと会ってみたいって言い出したんだよ。」
本当は破滅フラグであるミシェルと関わるなど御免だったのだけど、何故か毎度毎度遊びに来るミシェルにも慣れて、普通に友達として話を楽しめるようになった。別にそれはいい。いやよくないけど。アレン王子か…バラハナを思い出すと、腹黒ブラコンだった記憶しかない。いや可愛いけど。けど大好きなお兄ちゃんがアリスちゃんを気になっているのを見て、お兄ちゃんにふさわしいのか気になって近づくんだよ。それでミシェルはアレンもアリスちゃんが好きなのだと勘違いして大切な弟と初恋のアリスちゃんの間で揺れるんだよね。ああ、素晴らしい兄弟愛。BLに目覚めたきっかけであるアレミシェを見れるのは嬉しいけど、腹黒は少し怖い気がする。私が避けてても破滅に突き落とされそう。
「あれ、エミリア?…ちっ、また脳内の世界に引きこもったか…」
「ああ、ミシェル王子。アレン王子もミシェル王子も来ないでいただければ嬉しいとエミリアが言っていますよ。」
「そうなのか!?…いや違うだろ、セシル!」
一緒にお茶を飲んでいたお兄様とミシェルが何かを言い合っているけど私はまだ決めあぐねていた。萌えをとるかあくまで安全を取るか。…………。萌えを取るしかないよね。うんうん。
「もちろん、かんげいいたします。ぜひあれんおうじもつれていらっしゃってください。」
「本当か!?」
「ちっ…」
嬉しそうに笑うミシェル王子となんか黒い表情をしたお兄様が対象的だった。それにしてもミシェル王子は兄弟想いね。いやまあ漫画読んでれば知っている話だけれど、こんなに自分のことのように嬉しそうに笑っているミシェル王子を見ていると許可してよかったと思えた。
☆★☆
数日後、約束通り兄は弟を従えてやってきた。もうミシェルはあまりの高頻度の訪問のせいで慣れているのでメイドによって丁重なお迎えもしなくなっていたが、アレン王子となるとそうはいかない。二人は丁重に迎え入れられた。
「ごきげんよう、みしぇるおうじ。」
「おう」
「そして、おはつにおめにかかります、あれんおうじ。えみりあ=しるうぇすたーともうします。」
淑女の礼をしてみせると、ミシェル王子の後ろにぴったりと隠れていたアレン王子がぴょこっと顔を出した。
「は、はじめまし…て、アレン=セレドニ…ぁ、です…」
潤んだ赤い瞳、ミシェル王子よりも柔らかそうなさらっさらの銀髪、ふにふにと柔らかそうなほっぺはりんごのように赤く、おどおどとした困り眉…全てにおいて最高of最高に可愛い。アレン王子の可愛さにときめいていると、ミシェル王子が「落ち着け」と言いながらアレン王子の頭を撫でていた。くすぐったそうに少し表情を緩めるアレン王子。……っご馳走っ…様です……っっっ!!!久々の腐女子フィルターは加速して、もう食い入るようにみるしかない。
「……エミリア。」
咎めるようなお兄様の声。すみません。でも淑女の前に腐女子なんです。むり。尊い。
アレン王子はどこか私を観察するようにこちらを見ている。多分お兄ちゃんにふさわしい人間なのかを見定めるためなのだろう。私の一挙一動に警戒しているのが分かる。本当にお兄ちゃんが大好きなのね。ふふふ。
「尊い…」
「は?エミリア、大丈夫?頭。」
真面目な顔で覗き込んでくるミシェル王子。む、失礼だぞ。優しい心をもつ成人のお姉さんである私じゃなければ不敬罪で断罪だったんだからな。いや、ミシェルは王子だけどさ。
「あたまはもんだいありませんわ。まあせっかくですし、おちゃをもってこさせましょう。」
コゼットを呼んでお茶とお茶菓子を持ってきてもらう。あ、ローズティーがいいわ。ローズ。ふふ。椅子に座るよう促すと、ミシェル王子の隣にちょこんと座るアレン王子。可愛いかよ…っ!
その間もアレン王子は瞬きながら私を見つめていた。大きな瞳をぱちくりとさせている。もしかして予想外だったのかな?
「それで…あれんさまはどうしてわざわざいらっしゃったのですか?」
「ミシェルが…ぇと、好き…っていってる、エミリア様が、気になったのです。」
やはりこれは、マンガと同じでミシェル王子に相応しい人間か見極めに来た感じみたいだ。いやでも、私は紳士とはいえ悪役令嬢だもの。ヒロインと同じイベントに陥るなんてあるわけないわ。落ち着きなさい、エミリア=シルヴェスター。要は多分、ふさわしいと言うよりは兄に危害を加えないかを見極めに来たのだろう。私は無害ですよー。将来的にも加えるつもりはないですよー。
「そうなのですか。おふたりはとてもなかよしなのですね。」
「ああ。まあ生まれた時からずっといる兄弟だしな。」
「ミシェルは…こんな僕にも、とっても優しいので…」
ローズティーを飲みながらにかっと笑い返事するミシェル王子とほんのり頬を赤らめたアレン王子。もう腐女子フィルターが加速するっ!あーローズティー美味しい。
それはともかくとして、王子と何して遊ぼっかなあ。ミシェル王子とはよく遊んでるけど、アレン王子は武道とかできるかしら。剣技だったら王子の嗜みかな?
「あれんおうじ、みしぇるおうじ、よければけんであそびませんか?」
「剣…ですか?」
大きな垂れ目がちの赤目をまたぱちくりとさせるアレン王子。隣でお兄様がまたぷるぷるふるえている。恐らく王子相手にどんな遊びの提案だとでも言いたいのだろう。ええい、お兄様は黙ってるのだ!私の遊びは武道だ!ほんとうはコスプレも好きだけど唐突に話を出すにはハードすぎる。素材はいいと思うんだけどね。いずれしてもらおう。
二人を促して私のわがままで特設された武道場へいくと、自分用の模造刀を取り出す。うん、いい感じ。
「で、でも、女の方を相手に剣を振るうなど…」
「エミリアは女だけど女じゃねーからいいんだよ」
おい、今失礼なことを言っていたなミシェル王子。聞こえてないとでも思ったか。
「わたしはれでぃですっ」
「でも紳士目指してるって言ってなかったか?」
「しんしなしゅくじょになるんです!」
「…くっ…前々から思っていたけどエミリア、それって矛盾してないかな?…ぷふっ…」
「おにいさまはわらうのやめてください!」
私とお兄様とミシェル王子のやりとりに、戸惑いながらも少し微笑みをみせたアレン王子。あー可愛いなあ…。凄く失礼なお兄様とミシェル王子だけどこの可愛い笑顔に免じて許してやろう。命拾いしたな。
「さて、わたしはひとりでうけますので、あれんおうじ、みしぇるおうじ、かかってきてくださいまし。」
「おう」
「……は?」
若干苦笑いで答えるミシェル王子。なんかアレン王子が変な顔をしているけど気にしない。…さあ、受けて立つ!剣をすちゃっとかまえると、早速ミシェル王子がかかってくる。ふっ、王族とはいえたかが5歳児。容易い!
結果として、私の圧勝だった。思ったよりアレン王子が筋が良くて、お姉さんびっくりしちゃったわ。最初のうちは控えめでたどたどしかったんだけど、段々と強くなっていって、最終的には大人とすら張り合えそうなくらいには強くなっていったから少し焦った。動いたあとのアレン王子はさっきのおどおどした感じとはうってかわって楽しそうに爆笑している。ミシェル王子は悔しかったようでもう一度とせがんでくる。ふっ。何度やっても同じだぜ、坊主。
そうこうしているうちに帰る時間だ。今日はなかなかに楽しかったな。そう思いながら二人を見送る。
「……エミリア様」
「あれんさま、どうしまし、た」
「楽しかったですよ。…もっと、仲良くなれるといいですね?」
そう耳元で囁いたアレン王子の声に何故かぞわりと悪寒がした。なぜだ。
「あれんおうじが…ですか?」
「ああ。是非ともエミリアと会ってみたいって言い出したんだよ。」
本当は破滅フラグであるミシェルと関わるなど御免だったのだけど、何故か毎度毎度遊びに来るミシェルにも慣れて、普通に友達として話を楽しめるようになった。別にそれはいい。いやよくないけど。アレン王子か…バラハナを思い出すと、腹黒ブラコンだった記憶しかない。いや可愛いけど。けど大好きなお兄ちゃんがアリスちゃんを気になっているのを見て、お兄ちゃんにふさわしいのか気になって近づくんだよ。それでミシェルはアレンもアリスちゃんが好きなのだと勘違いして大切な弟と初恋のアリスちゃんの間で揺れるんだよね。ああ、素晴らしい兄弟愛。BLに目覚めたきっかけであるアレミシェを見れるのは嬉しいけど、腹黒は少し怖い気がする。私が避けてても破滅に突き落とされそう。
「あれ、エミリア?…ちっ、また脳内の世界に引きこもったか…」
「ああ、ミシェル王子。アレン王子もミシェル王子も来ないでいただければ嬉しいとエミリアが言っていますよ。」
「そうなのか!?…いや違うだろ、セシル!」
一緒にお茶を飲んでいたお兄様とミシェルが何かを言い合っているけど私はまだ決めあぐねていた。萌えをとるかあくまで安全を取るか。…………。萌えを取るしかないよね。うんうん。
「もちろん、かんげいいたします。ぜひあれんおうじもつれていらっしゃってください。」
「本当か!?」
「ちっ…」
嬉しそうに笑うミシェル王子となんか黒い表情をしたお兄様が対象的だった。それにしてもミシェル王子は兄弟想いね。いやまあ漫画読んでれば知っている話だけれど、こんなに自分のことのように嬉しそうに笑っているミシェル王子を見ていると許可してよかったと思えた。
☆★☆
数日後、約束通り兄は弟を従えてやってきた。もうミシェルはあまりの高頻度の訪問のせいで慣れているのでメイドによって丁重なお迎えもしなくなっていたが、アレン王子となるとそうはいかない。二人は丁重に迎え入れられた。
「ごきげんよう、みしぇるおうじ。」
「おう」
「そして、おはつにおめにかかります、あれんおうじ。えみりあ=しるうぇすたーともうします。」
淑女の礼をしてみせると、ミシェル王子の後ろにぴったりと隠れていたアレン王子がぴょこっと顔を出した。
「は、はじめまし…て、アレン=セレドニ…ぁ、です…」
潤んだ赤い瞳、ミシェル王子よりも柔らかそうなさらっさらの銀髪、ふにふにと柔らかそうなほっぺはりんごのように赤く、おどおどとした困り眉…全てにおいて最高of最高に可愛い。アレン王子の可愛さにときめいていると、ミシェル王子が「落ち着け」と言いながらアレン王子の頭を撫でていた。くすぐったそうに少し表情を緩めるアレン王子。……っご馳走っ…様です……っっっ!!!久々の腐女子フィルターは加速して、もう食い入るようにみるしかない。
「……エミリア。」
咎めるようなお兄様の声。すみません。でも淑女の前に腐女子なんです。むり。尊い。
アレン王子はどこか私を観察するようにこちらを見ている。多分お兄ちゃんにふさわしい人間なのかを見定めるためなのだろう。私の一挙一動に警戒しているのが分かる。本当にお兄ちゃんが大好きなのね。ふふふ。
「尊い…」
「は?エミリア、大丈夫?頭。」
真面目な顔で覗き込んでくるミシェル王子。む、失礼だぞ。優しい心をもつ成人のお姉さんである私じゃなければ不敬罪で断罪だったんだからな。いや、ミシェルは王子だけどさ。
「あたまはもんだいありませんわ。まあせっかくですし、おちゃをもってこさせましょう。」
コゼットを呼んでお茶とお茶菓子を持ってきてもらう。あ、ローズティーがいいわ。ローズ。ふふ。椅子に座るよう促すと、ミシェル王子の隣にちょこんと座るアレン王子。可愛いかよ…っ!
その間もアレン王子は瞬きながら私を見つめていた。大きな瞳をぱちくりとさせている。もしかして予想外だったのかな?
「それで…あれんさまはどうしてわざわざいらっしゃったのですか?」
「ミシェルが…ぇと、好き…っていってる、エミリア様が、気になったのです。」
やはりこれは、マンガと同じでミシェル王子に相応しい人間か見極めに来た感じみたいだ。いやでも、私は紳士とはいえ悪役令嬢だもの。ヒロインと同じイベントに陥るなんてあるわけないわ。落ち着きなさい、エミリア=シルヴェスター。要は多分、ふさわしいと言うよりは兄に危害を加えないかを見極めに来たのだろう。私は無害ですよー。将来的にも加えるつもりはないですよー。
「そうなのですか。おふたりはとてもなかよしなのですね。」
「ああ。まあ生まれた時からずっといる兄弟だしな。」
「ミシェルは…こんな僕にも、とっても優しいので…」
ローズティーを飲みながらにかっと笑い返事するミシェル王子とほんのり頬を赤らめたアレン王子。もう腐女子フィルターが加速するっ!あーローズティー美味しい。
それはともかくとして、王子と何して遊ぼっかなあ。ミシェル王子とはよく遊んでるけど、アレン王子は武道とかできるかしら。剣技だったら王子の嗜みかな?
「あれんおうじ、みしぇるおうじ、よければけんであそびませんか?」
「剣…ですか?」
大きな垂れ目がちの赤目をまたぱちくりとさせるアレン王子。隣でお兄様がまたぷるぷるふるえている。恐らく王子相手にどんな遊びの提案だとでも言いたいのだろう。ええい、お兄様は黙ってるのだ!私の遊びは武道だ!ほんとうはコスプレも好きだけど唐突に話を出すにはハードすぎる。素材はいいと思うんだけどね。いずれしてもらおう。
二人を促して私のわがままで特設された武道場へいくと、自分用の模造刀を取り出す。うん、いい感じ。
「で、でも、女の方を相手に剣を振るうなど…」
「エミリアは女だけど女じゃねーからいいんだよ」
おい、今失礼なことを言っていたなミシェル王子。聞こえてないとでも思ったか。
「わたしはれでぃですっ」
「でも紳士目指してるって言ってなかったか?」
「しんしなしゅくじょになるんです!」
「…くっ…前々から思っていたけどエミリア、それって矛盾してないかな?…ぷふっ…」
「おにいさまはわらうのやめてください!」
私とお兄様とミシェル王子のやりとりに、戸惑いながらも少し微笑みをみせたアレン王子。あー可愛いなあ…。凄く失礼なお兄様とミシェル王子だけどこの可愛い笑顔に免じて許してやろう。命拾いしたな。
「さて、わたしはひとりでうけますので、あれんおうじ、みしぇるおうじ、かかってきてくださいまし。」
「おう」
「……は?」
若干苦笑いで答えるミシェル王子。なんかアレン王子が変な顔をしているけど気にしない。…さあ、受けて立つ!剣をすちゃっとかまえると、早速ミシェル王子がかかってくる。ふっ、王族とはいえたかが5歳児。容易い!
結果として、私の圧勝だった。思ったよりアレン王子が筋が良くて、お姉さんびっくりしちゃったわ。最初のうちは控えめでたどたどしかったんだけど、段々と強くなっていって、最終的には大人とすら張り合えそうなくらいには強くなっていったから少し焦った。動いたあとのアレン王子はさっきのおどおどした感じとはうってかわって楽しそうに爆笑している。ミシェル王子は悔しかったようでもう一度とせがんでくる。ふっ。何度やっても同じだぜ、坊主。
そうこうしているうちに帰る時間だ。今日はなかなかに楽しかったな。そう思いながら二人を見送る。
「……エミリア様」
「あれんさま、どうしまし、た」
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